「その前からもう 破局に向かっていたから。そこに向こうからもういいって言われた。あと、お父さんが倒れたから、お父さんの会社を手伝いに福岡に帰るって言われたんだ。…東京でのことは全て忘れますって振られた…」
カイもびっくりしていた。
「それ本当なの?」
うん、とうなずいたものの、俺はカイの気持ちを知ったけれど、どうしていいかわからない。
すると カイの方が、
「さっきの続きだけど俺、高井神社から帰ろうとしたらいい香りが漂ってきたんだよ」
「線香っていうこと?」
俺はてっきり霊が近寄ってきた証と言われる線香の香りかと思ったのだ。
「違う。違うよ。 線香 じゃなくて 、オミの香水の香り」
「え?どうして?」
「俺にも分からない。
でも、それにびっくりして、オミが来てるのかなってキョロキョロしてしまったら次の瞬間、足を踏み外してこんなことに…」
カイと俺はなんとなく見つめ合ってしまった。
「カイ、頼みがあるんだけど」
「内容による」
そのきっぱりとした口調が、いつものカイになったような気がして俺は嬉しかった。
「じゃあ俺も 、カイの頼みを1つだけ聞くから」
するとカイは絶対にオミには無理なんだと思うよ 偉そうに言い、
俺も ムキになって
「何だよ 言ってみろよ」
するとカイは早口で
「俺と付き合って彼氏になって 婚約して結婚して…」
なぜか ドヤ顔された 。
しかし俺は負けじとこう答えていた。
「簡単じゃん」
「は? 」
小説なかなかおもしろいですね。
これからも‐読ませて貰います。