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秀逸ラストシーン

2015-07-12 23:17:49 | 鑑賞感想
ダーリンおすすめの作品



『善き人のためのソナタ』
原題DAS LEBEN DER ANDEREN




2006年ドイツ 監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 主演ウルリッヒ・ミューエ


盗聴と密告、なんでもありの管理で体制維持してた旧・東ドイツ


ベルリンの壁崩壊直前、その東ドイツを舞台にしたフィクションなんだけど、ほんとにあったかも?って思えちゃうお話


共産主義体制の中枢シュタージ(秘密警察っていうらしい)の工作員と、反体制派としてマークされ、彼らに監視される芸術家たち

シュタージ工作員ヴィースラー大尉の任務は劇作家ドライマンの監視

実はこの任務、ドライマンの恋人である舞台女優を狙ってる大臣の個人的な欲望からのもの

そんなことは知らない工作員、国を裏切るは許せないってドライマンのアパート屋根裏で仕掛けた盗聴器にかじりついて、せっせとメモメモしちゃうヴィースラー

家に帰っても、殺風景な部屋でお皿にチューブのなんか搾り出して食事したり、馴染みの売春婦呼んで虚しいひと時すごしたり

とにかく仕事一筋の工作員生活

でも、毎日盗聴を続けていくうちに彼の中の何かが変わっていくの

芸術家カップルの人間らしい自由な思想、愛情に溢れた生活

盗聴器から流れてきた美しいピアノの音色に無表情で冷酷な工作員の心が動いてしまう

それがドライマンが友人から贈られた、切ない旋律の「善き人のためのソナタ」という曲

信頼を断ち、絆も引き裂いてしまう監視国家の非道さに気づき始めるヴィースラー

そして人間として変化していく様が描かれてくの

まずい内容が聞こえてきてもメモしなかったり、劇作家が使った反政府運動の書類を作った証拠になるタイプライター(作成者の身元隠すために、協力者がわざわざ国外から持ち込んだもの)を家宅捜索のときに隠してあげたり

家宅捜索のとき錯乱した舞台女優が事故死したのは、彼女の弱みに付け込んでプレッシャーかけてた大臣の責任が大きいはず

時が流れて・・・


東西統一後、新作を書かなくなっていた劇作家は自分が監視されていたことを知り、自分の監視記録を開示

そして工作員のことも調べて、彼のことを一冊の本にするの

ラスト、ふたりの交錯シーン

実際に声を交わすことも握手することもないけど、ヴィースラーが本屋さんに並べられたドライマンの本を手にしたとき、確かにふたりの人生は交錯してた




こんな風に変化した工作員の記録はないと思う

まぁ、いたとしても隠しちゃってるでしょ

でも、工作員ヴィースラー演じているウルリッヒ・ミューエは旧東ドイツ出身で、シュタージに監視されてたらしい

そういう時代の空気を知る人が演じるリアルが作品に深みを与えてるのかも

鑑賞後、しばし無言のあたしたち・・・・・

いろんな想いと歴史の重み、素晴らしい作品

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