goo blog サービス終了のお知らせ 

いろはにほへと

Corro atras do meu sonho.

「saudade」に思ふ。

2005年09月28日 | 日本語学校センセイ時代

大人の生徒ちゃんからの質問。
「センセイ、SAUDADEって日本語でどういう意味?」
時々日本語に訳しづらいものがあって困る。
「・・・懐かしいとか寂しいとかですかねえ」と
答えたけどブラジル人の持つ言葉のイメージに近いのかはちょっと自信がない。
かといって「望郷」とか「郷愁」では難しすぎるし、ズレもあるかも。

「saudade」は某バンドが歌った「サウダージ」という曲で
言葉だけは知っていたけれどブラジルに来てからこの言葉の重みを感じる。
その昔、ブラジルがまだ奴隷制をとっていた頃にアフリカから
連れてこられた人たちが自分たちの境遇と故郷を思って
発せられた言葉だったという。
長い歴史の中でそれはブラジルを象徴する言葉となった。
移民国家ならではのことなんだろう。
今でもみなさんけっこう気軽に使う言葉だけど
たぶんわたしが何年ブラジルに住んだって
この言葉の本当のニュアンスは理解できないと思う。

学生時代に漢文の先生が中国のことわざを教えてくれた。
 「文字は言葉を伝えることはできない
        言葉は思いを伝えることはできない」
日本語のセンセイをしているわたしがこんなことを
言っていては元も子もなくなる。でもその通りなんです。
だけど、だからこそヒトはどうにかして自分の思いを伝えたいのだと
わたしは思う。そしてどんな言葉を使えばいいか、感性を磨く。

2年やそこらで生徒ちゃんたちにそんな表現力をつけさせるのは
ほぼ不可能だけど「saudade」ひとつでちょっと初心に戻った。

好きじゃない。

2005年08月18日 | 日本語学校センセイ時代

新学期に入って4週間経過。
おかげさまで日本語学校生徒ちゃんたちは
毎回パワフルにやって来る。
初めて習う人がたくさんいたから、大人の授業は
急きょ「入門クラス」を開講。みなさん熱心です。

子どものクラスには新入生はゼロ。
前学期に続いて全員元気に・・・と書きたいところだけど
新学期になって1回来ただけで来なくなった生徒ちゃんが1名。
理由は「日本語学校が好きじゃない」。

ほかの子は異常に早く登校したり、授業が終わっても
学校の教材で遊んだり、授業中に興奮して満面の
「わかった!」顔を見せてくれたりするんだけど、
どうにも彼女はゲーム以外はノッてこなかった。
もともと休みがちだし、なんだかやる気もなさそうだったけど。
もうすぐ日本に行くことになっているから
親に言われて通っていたのかも。

ブラジルの日本語学校の生徒ちゃんは、「日系だから」という理由で
通ってくる子も少なくない。
それでも、そのうち日本語学校にハマっていく子もたくさんいる。
全員にウケるとは思っていないけど
そんなにおもしろくなかったのか。。。
センセイはその生徒ちゃんのことも好きだからちょっと寂しいです。

今日は風が強くて、久しぶりに雨のニオイがした。
IPÊの花も落ちちゃうかな。

初めの教科書。

2005年08月04日 | 日本語学校センセイ時代

何年振りかで小学校1年生の国語教科書を見た。
見開きでB5サイズ。・・・大きい。
字も大きい。子どもの目で見たらもっと大きく見えるんだろうな。
最初は1ページのなかに「あおい そら」しか書いてなかったり
(それだけかっ?!)「あいうえお」の口の形、しりとり、あいさつなど
絵本並みに絵がたくさんで、とにかくかわいい。

わたしは小学校の入学式のことをなぜかものすごく
鮮明に覚えている。
入学式2日前に引っ越しをして、段ボールの中から
なんとか入学式用の服と靴を取り出した。
入学式は大雨。友達や知り合いはゼロ。
引っ越しのため、入学手続きがギリギリだったせいか
あいうえお順で並んだ席のはずが、なぜかいちばん後ろのはじっこ。
オマケ席みたいだった。子ども心にちょっとヘコんだけど
机に積まれていた新しい教科書が嬉しかった。
いちばん好きだったのは、国語の教科書だった。

ブラジルで日本語学校のセンセイをやっている今、
日本語の教科書のほかにも、日本の国語教科書をよく見る。
ひらがなとカタカナからどうやって漢字に移っていくのか。
どうやって自分の気持ちを表す言葉を身につけていくのか。
どうやって物語を読めるようになっていくのか。
・・・まあこう見えても一応国語教員志望でしたから。。。

それはともかく、懐かしくてなんだか見入ってしまう今日この頃。

新学期。

2005年07月26日 | 日本語学校センセイ時代

日本語学校の新学期スタート。
3週間の冬休みでだいぶ忘れてるんだろうなと
思っていたけど・・・ところがドッコイ。
意外にも(失礼)しっかりアタマに残ってるじゃありませんか。
休み中遊びほうけていたのはセンセイだけだったかも。。。

3週間ぶりに会う生徒ちゃんたちは
3週間分オトナになっていました。
背が伸びた子、髪が伸びた子、ちょっと反抗期に入りかけた子。

帰国する2年後、年を取るのはわたしだけじゃなくて
この子たちもなんだなあ。
そう考えると、貴重な時間に一緒にいられることが
とても嬉しい。

ありがとう。

2005年07月01日 | 日本語学校センセイ時代

日本語学校前学期終了。
おつかれさま。パチパチパチ。
「口頭試問」もなんとか終わり勉強したことが
まあまあアタマに入っていたことがわかって
センセイはホッとしました。
なによりも「日本語学校が楽しかった」と
言ってくれた生徒ちゃんが多かったので
んもう、十分でしょう。

写真は「日本語学校での反省」をさせるために
自分で自分に点数をつけさせたプリント。
たどたどしい字で「せんせいありがとう」と
書いてくれた子も。

7歳の男の子の一言コメント。
「せんせい ありがと
Obrigado por me ensinar nihongo com paciência.」
「ぼくに日本語を教えてくれてありがとう」という意味だけど
最後の「com paciência」は直訳では「辛抱強く」の意。

7歳くんに言われちゃったよ。そんなに必死に見えましたか。
・・・根気強いだけが取り柄なんです、わたし。。。

し・け・ん。

2005年06月29日 | 日本語学校センセイ時代
冬休みを目前に、「口頭試問」をすることに。
日本語学校で何を勉強して覚えたかを
少しでも知りたいし、親御さんにもお知らせしたい。

我が校の目標は、
「少し書けて少し読めてたくさん話せるようになりましょう」。
なので試験も口頭でのみ。
挨拶、自己紹介、時間と日にちの言い方、色の名前、
動詞を使った簡単な会話などなど。

正しく言えるのももちろん大事だけど
自分が言っている意味がちゃんとわかって
相手に伝えられることがいちばん大事。

始まったばかりの日本語学校で
何を教えられたか、わたしにとっての試験でもあります。。。

それゆけニホンゴガッコウ。

2005年06月24日 | 日本語学校センセイ時代

日本語学校の前期の授業は
あと1週間で終わり。
2月に再開校して4か月間
生徒ちゃんもセンセイもがんばりました。

昨日の夜は全生徒ちゃんとその家族が集合して
「夕食会兼自己紹介大会」をしました。
授業に来るのは週2日で、90分の授業が
終わったらダッシュで帰る生徒ちゃんたちは
実はお互いに知らないから。

子どもも大人も日本語で自己紹介。
センセイは拙いポルトガル語でご挨拶。
生徒ちゃんの親たちにペコペコ。

学校らしく、センセイらしく、わたしらしくいきたいです。

我が校を思ふ。

2005年05月24日 | 日本語学校センセイ時代
先週の研修旅行で別の地区の日本語学校を見た。
とにかく生徒がオトナシイ。
3歳ちゃんや4歳ちゃんまでが椅子に座って
ひらがなを読んだり書いたりしていて衝撃的な光景だった。
授業参観で知らないセンセイたちがわんさか
押しかけたせいでもあるんだろうけど
とにかくオトナシかった。

比べちゃイカンが、わたしの町の日本語学校生徒ちゃんは
ハッキリ言って暴れ放題。
今日も授業開始早々に「早くゲームやろうよー」。
ゲームとかお遊びはちゃんと勉強してからだってば。
・・・とか言いながらもシッカリ遊びの準備をしているわたし。
センセイのお遊び加減がいちばんイカンのかしら。。。

写真は「1匹(いっぴき)、2匹(にひき)、
3匹(さんびき)・・・」を教えるために急きょ作った
魚釣りゲームの魚たち。

気味の悪い魚を作りながら、思う。
ウチはこれでいいんだ(たぶん)。


生徒ちゃんたち。

2005年05月15日 | 日本語学校センセイ時代
日本語学校の生徒数、現在約35名。
大人の生徒ちゃんは仕事や家庭の都合で
来たり来なかったりするから
レギュラーで毎授業やって来るのは30名弱。
いやはや、開始3か月で結構集まったもんだあ。

写真は生徒ちゃんたちの名札。
我が校では授業開始の際に自分の名札を
センセイに見えるように机の上に置くことがキマリです。

名前を覚えてないんじゃないのよ。
時々混乱するだけ。。。

やっぱクーピーでしょう。

2005年05月10日 | 日本語学校センセイ時代
「日本語学校」「子ども」ときたら
何はともあれ教材選びに気を遣います。
ツマラナイとまったくノッてこないから。
反応が正直なので授業の前はちょっと緊張します。

わたしの町の日本語学校は、しばらく閉鎖されていた上に
それ以前も歴史が新しいのか、あんまり教材の在庫もナシ。
かろうじて妙な絵の付いたカードがあるけど
ハッキリ言ってかわいくない。
悪くはないんだけど絵がつまらんのです。
カワイイだけじゃだめだけど、かわいくないのはよろしくない。

そこで必殺手作り絵カード。
コピー用紙に絵を描いて画用紙に貼る。
週末にしこしこ描いたり、時には平日の真夜中に描いたり。
おかげさまで子どもにも大人にも評判は上々。
「センセイすごい」とか言われちゃって調子に乗ってます。
売り出しちゃおうかしら。。。

前の職場の方々に日本から「サクラクーピー」を
送ってもらったので嬉しくなって今夜もお絵かきです。
色鉛筆もいいけど、やっぱクーピーでしょう。

教材作りにかこつけて、実は自分が楽しんでいるのかも。。。

あいうえお。

2005年05月05日 | 日本語学校センセイ時代
ブラジルの日本語学校はほとんどが「複式授業」。
レベルがバラバラな生徒が集まり、それぞれの課題を
それぞれのペースでする授業です。
しかーし!我が校は強引にも「一斉授業」。
みんなでわいわい授業をします。
偶然にもレベルが似ている生徒ちゃんが集まったからなんだけど。。。

本日はひらがな「あいうえお」をお勉強。
カタカナと比べて形が丸いからちょっと書きにくいそうな。
レベルは一緒だけど年齢は超バラバラ。
これもある意味で「複式授業」か。

マジなんです。

2005年04月12日 | 日本語学校センセイ時代
日本語学校開始当初はおとなしかった生徒ちゃんたちも
最近は暴れ放題。もはや学級崩壊です。
日本語学校が楽しいのはいいけれど、さすがに授業がちっとも進まないのは困りもの。

一瞬ブチ切れ思わず日本語で怒ります。「人の話をちゃんと聞きなさい!」
まあ、でもガミガミ言っても相手は子ども。
ここはちょっと逆手にとってたまには思い切り遊んじゃいますか。
本日は日付と曜日の言い方をかるくおさらいして全員でカレンダー作り。
各月の担当を決め、絵と日付を書いて、自分の名前も入れること。
教室に貼ってみんなで毎日見るからカッチョいいのを作ってちょうだい。

おもしろいほどみなさん真剣です。マジなんです。
時間内に終わらなかった子はお家で完成させてくると言い張る熱心さ。
いつもの授業もそのくらい一生懸命やってよね。。。

漢字に挑戦。

2005年04月01日 | 日本語学校センセイ時代
近くの日本語学校をいろいろと巡回指導している
先生が我が校にも来てくれました。
巡回指導とは学校の様子を見に来ること。
それだけでは帰しません。
せっかくだから、お得意の書道の授業もしちゃってください。
図々しいオネガイをなんとかゴリ押ししてしまいました。

筆と硯を初めて見る生徒も多くてみんな興味津々。
巡回指導の先生に、ブラジル名に漢字をつけてもらっておそるおそる初習字。
カタカナ、ひらがなもまだまだ覚えてないけど漢字に挑戦です。
アウグスト君は「亜宇具巣都」。
レオナルド君は「礼尾奈留土」。
ジョニルソン君は「徐荷留尊」。
スエーレンちゃんは「寿絵連」。

漢字を当てるのって人によってだいぶ違う。わたしの考えたとは結構違ってました。
さて、アナタはどんな漢字を思い浮かべましたか。

うさぎの日?

2005年03月24日 | 日本語学校センセイ時代
2月25日は「Páscoa(パスコア)」というキリスト教の祭日です。
復活祭(イースター)だそうです。
このテのイベントはよくわからないけれど、うさぎがタマゴを運んでくるという
謎の設定があるらしく、町にはうさぎのぬいぐるみやうさぎ形の物、
タマゴ形の物がなんとなく増えます。
意味はわからないけど楽しそう。うさぎ好きにはたまりません。
子どもには学校や家で、小さなオモチャの入った、
タマゴ形のチョコレートをあげるらしい。
これまたわからないけどカワイイから私も欲しいな。

日本語学校ではPáscoaはどうすべきか。
宗教に関わりなく季節的イベントは大好きだけど
肝心の私がまったくこのイベントをわかっていないのでお話になりませぬ。
でもまあ、とりあえずひとりずつにチョコレートを配ることにしました。
なかには学校に着くなり「Páscoaのチョコレートは?!」と聞いてくる子もいたから
子どもにとっては一大イベントだったらしい。
チョコレートなしだったらかなりガッカリだっただろうね。ヨカッタ。

写真は生徒ちゃん(10歳くらい)が書いてくれた顔。
親指を上手に動かすとよりイヒヒでニヤリな顔になると教えてくれました。
センセイはとてもおもしろかった。

行け行け!ニホンゴ学校!!

2005年03月22日 | 日本語学校センセイ時代
月曜日と水曜日はにぎやかな子どもの生徒ちゃんクラスがあります。
年齢は8歳~15歳。
前から日本語を勉強していた子、まったく初めて勉強する子。
レベルは違うけど、このクラスは敢えて一斉に同じ項目を教えています。

ブラジルの日本語学校はいろんなレベル、いろいろな年齢の子が
同じ教室でひとりひとり違うことを勉強する授業が多いけれど
私は少しの時間でも全員での授業がいいと思う。
わかる子も、わからない子も楽しく参加できる日本語学校。
ありでしょ、そういうのも。
本日も汗をかきかき、試行錯誤。。。

最初は一言も話せないでいた8歳ちゃんも、最近では自分から
ほかの子に交じって一生懸命に「コレはなんですかぁ?」と言うようになりました。
そんな時はおもいっきり褒めまくる。拙いポルトガル語でこっちも一生懸命褒めまくる。
センセイは、いつかみんなとポルトガル語混じりの日本語で
おしゃべりしたいのよ。
写真は帰る道々、生徒ちゃん(13歳)がノートを破って
作ってくれた折り鶴。とてもうれしかった。