2021年7月訪問
かなわぬ恋と知りつつも 文覚 碌山美術館 安曇野
『荻原守衛』(1879~1910)は1908年にパリから日本に戻ります。
その後、故郷の信州に行きますがそこで以前から恋心を抱いていた、
『相馬良』と再会します、彼女は既婚でかなわぬ恋と知りながら恋心が再燃します。
《文覚》(1908)
屈強な男性が、腕組みをしてにらむように斜め上を見ています。
前腕の筋肉が盛り上がり、腕っぷしの強さを強調しています。
右側から見てみます、二の腕の筋肉もよく見えさらに屈強さが増します。
にらみつけた先には敵がいるのでしょうか。
この『文覚』平安時代から鎌倉時代の末期の武士、その後僧侶となります。
「平安後期遠藤盛遠が、恋した人妻袈裟御前を夫の身代わりと知らずに、殺め、
出家して怪僧となった故事と、人妻相馬良への恋愛に苦しむ自分の姿が重なった」
(彫刻家 萩原守衛 芸術と生涯 碌山美術館)より引用。
こうしてみる作品の顔をいかにもいかつい。
眼光鋭く『碌山』は何を見つめていたのでしょうか。