朝丘大介の オレンジ病棟リバース

こんにちは。朝丘大介が日常の気になることをつづります。

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自分の書きかたをさがす ( その3 )

2012-08-29 21:30:52 | オレンジ病棟


ぼくの文机の前には、 いらない紙の裏にぼくがマジックで書いた言葉が
もう何年も前から貼ってある。

何て書いてあるかを書いてあるかというと、 以下の通りだ。

『 a-haの曲はけっして3コードなどではない。
30コードというべきであり、 
ほとんどがマイナーコードなのである 』


これはノルウェーのポップバンド a-haの『analogue』というアルバム解説に
あった言葉だ。

なぜか とても気に入っている。

一見、 シンプルに見えるものにこそ、 裏で細やかな心くばりがなされて
いたりする。

a-haの曲は簡明でありながら、 じつは細部までていねいに考えられて
いる。

こういったことは音楽に限ったことではなく、 オーソドックスな小説や
映画にも言えることだろう。

「 映画とは 7才から70才までが楽しめるもの 」

『 スターウォーズ 』 を作ったジョージ・ルーカス監督は、 かつてそう言った。

同じことがエンタメ小説にも言えるとおもう。

読んでいる人が言葉の意味を考えてしまい、 そこで流れが止まってしまう
ようなものは、 文学としてはよくても エンタメとしてはどうかとおもう。

まあ、 これはあくまでぼく一個人の意見なので、 これが絶対に正しいなど
とは おもってないです。


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自分の書きかたをさがす ( その2 )

2012-08-22 21:30:23 | オレンジ病棟


自分の書きかたに悩んでいたぼくは、 幻冬舎ルネッサンスの担当編集者さん
に相談した。


ぼくが幻冬舎ルネッサンスさんと出版契約したのは、 自分の書きかたがこれで
合っているのか、 プロの編集者さんの意見を聞いてみたいという考えがあった
からだ。

そのころ、 中島らもさんの文章を紙に写してばかりいたが、 それではらもさん
の二番煎じになってしまうのではないかという懸念もあった。 ( もっとも、らも
さんとぼくとでは まったく性格が違うので、 内容は似ないとおもいますが )

そうしたことを正直に担当編集者さんに打ち明けた。

その結果、 「 朝丘さんは もうだれかの模写をする段階を過ぎてらっしゃるので、 
朝丘さんだけの書きかたを見つけていきましょう 」 ということになった。

担当編集者さんから、 ぼくの文章のクセを指摘され、 そのことが自分の書き
かたを見直す手がかりになった。

自分の幅を広げるため、 担当編集者さんからどんな注文がきても 「 できま
せん 」 とだけは絶対に言わないようにした。 持ち込みをしたときは三人称で
書かれていた小説を、 すべて一人称で書き直しましょうという注文も 受け容
れた。

ブログと小説の文章では書きかたを使い分けているが、 文章がうまくなるのに
近道はない。 最終的にはどれだけたくさんの量を書くかではないかだとおもう。

面倒くさいプロセスを踏んできたせいか、 最近 自分の書きかたのスタイルが
おぼろげに見えてきた。

ぼく程度の書き手なら、 世の中に 掃いて捨てるほどいるわけですが (-_-;)


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自分の書きかたをさがす ( その1 )

2012-08-15 21:30:15 | オレンジ病棟


『 オレンジ病棟 』 の担当編集者さんとゲラのやりとりをしていたころ、 自分の
書きかたがみつからなくて頭を悩ませていた。


そのころのぼくは、 使用済みの原稿用紙の裏に、 故中島らもさんの文章を
写してばかりいた。

ギター少年が 好きなバンドの曲をコピーして 腕を上げるのと 同じ論理である。

書きたいことを表現するのに必要な文章のベースを築くことが、 とりあえずの
課題だと考えていたのだ。


プロレスラーにとってのヒンズースクワット、 野球選手にとっての素振りの
ようなものなのかもしれない。

浅田次郎さん、 大槻ケンヂさん、 大村次郎さん……。 好きな作家の小説
や新聞のコラムをすべて紙に写し、 プロになった人はけっこういる。

中島らもさんご本人も、 下積み時代に文章を写しておけばよかったと著書の
なかで書かれている。


最初はパソコンに写す作業を試みたが、 これだとあまり手応えがなく、 
やはり手で書いて写すほうが 力になるようにおもえた。

ふだん何気なく読んでいるような文章でも、 写してみなければわからないこと
はたくさんあった。

たった一語の意味を考えなしに読み飛ばしていることがあるからだ。


らもさんの文章は平明でありながら、 ふところが深い。

為になることはたくさんあった。


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この本が少しでも、心の和みとなりますように