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Beautiful Japan 吉田初三郎の世界

2024年05月29日 | 日記
★取材レポート★

府中市美術館(東京・府中市)で、鳥瞰図で有名な吉田初三郎の展覧会が開催中です。



鳥瞰図とは、空高く飛ぶ鳥や飛行機から見下ろした視点で描く地図などのことです。吉田初三郎は、大正から昭和にかけて鳥瞰図のスタイルで数多くの名所案内を描きました。鉄道会社、旅館、自治体など様々なクライアントから依頼を受けました。



初三郎の鳥瞰図は奥から景色を見るような見方で、普通は見えないものを描くのが特徴です。
南武鉄道開通の折に描かれたポスターは、中心に電車が大きく、線路が直線的に描かれていますが、鳥瞰図のスタイルで遠くには樺太、北海道、神戸、九州、台湾まで描かれています。
富士山を中心に描かれた作品でも、サンフランシスコ、ハワイ、九州、台湾、青森などが描かれ、現実には存在しない風景となっています。
クライアントの要望に応えて、同じ場所でも川を中心にしたり寺社を中心にしたりと構図を変え、周りが立ち上がり浮きだすように描いてぐるっと広さを強調しました。



また、初三郎の作品は、山並みの青や鉄道を描くオレンジなど特徴的な色が使われており、鮮やかです。
外国人観光客誘致の施策のために1930年(昭和5年)に描かれたポスター「Beautiful Japan」は、アメリカに7000枚、ヨーロッパに2000枚が配布されました。また、鎌倉や雲仙の名所案内など英語版も制作されました。



コレクターズアイテムとしても人気がありました。観光社という自社組織をつくり、コレクター向けの頒布もしていました。



初三郎は京都に生まれ、画家を目指して上京しました。商業画家に転向した後1913年(大正2年)に完成させた鳥瞰図が、翌年当時の皇太子(のちの昭和天皇)の目に留まり、「是は奇麗で解り易い、東京へ持ち帰って学友に頒ちたい」との言葉を受けたことから鳥瞰図をライフワークとすることを決意したそうです。
作品の構図や色彩、印刷技術、頒布方法など、魅力的で興味深い展覧会です。

(記事中の写真は全て「Beautiful Japan 吉田初三郎の世界」内覧会時に撮影したものです。展示室内は撮影できません。)

Beautiful Japan 吉田初三郎の世界
【会期】2024年5月18日(土)ー7月7日(日)*一部展示替えあり
【会場】府中市美術館(東京都府中市浅間町1丁目3番地 都立府中の森公園内)
【詳細は公式HP】https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/

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