Art Tree ブログ

アートツリー出版社のブログです。

生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真

2024年02月27日 | 日記
★取材レポート★

大正から昭和戦前期の日本の写真界を牽引し、日本写真史において傑出した存在として知られる写真家、安井仲治の回顧展が、東京ステーションギャラリーで開催中です。



安井が38歳で病没するまでの約20年に発表した作品や資料を、時系列で観ることができます。



大阪で生まれた安井は18歳で関西の名門・浪華写真倶楽部に入会します。当時のアマチュア写真家は芸術写真を追求し、安井も技術を駆使して絵画のような芸術写真を発表しました。



1930年代に入ると、安井は「半静物」という新たな取り組みを始めます。日頃身近にあるものを組み合わせ、異様なもの、怪しい雰囲気の作品を仕上げました。



1930年代後半に日中戦争がはじまると、写真家たちはそれまでと同じような活動はできなくなりました。安井は、傷痍軍人やヨーロッパから迫害を逃れて神戸にやってきたユダヤ人を撮りましたが、それを単なる記録写真ではなく創作的意図をもって作品にしました。一方でそれらは国策に沿った内容ともなっており、バランス感覚をもって活動していたことが伺えます。



時代の変化の中で身近な光景に目を向け、小さいものや醜いとされるものにも被写体としての価値を見出した安井の作品からは、現代においても多くの学びを得ることができます。



生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真
【会期】2024年2月23日(金・祝)-4月14日(日) *月曜日は休館(4月8日は開館)
【会場】東京ステーションギャラリー
(東京都千代田区丸の内1-9-1 *JR東京駅 丸の内北口 改札前)
【時間】10:00-18:00(金曜日-20:00) *入館は閉館30分前まで
【詳細は公式HP】https://www.ejrcf.or.jp/gallery

■投稿できる写真雑誌『PHOTOSAI』では写真作品を募集しています。



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美術家たちの沿線物語 小田急線篇

2024年02月20日 | 日記
★取材レポート★

世田谷を走る鉄道と、その沿線ゆかりの美術家たちの作品を紹介する、世田谷美術館の展覧会「美術家たちの沿線物語」。
これまで「田園都市線・世田谷線篇」(2020年度)、「大井町線・目黒線・東横線篇」(2022年度)が開催されました。
そして2024年4月7日まで開催中の「京王線・井の頭線篇」と並行して「小田急線篇」が2024年2月17日(土)から4月7日(日)まで開催されています。



鉄道の話であり、街づくりと文化芸術の話であり、世田谷美術館の話でもある内容です。



小田急小田原線は世田谷の中心部を走る鉄道で、1927年に新宿ー小田原間で開通しました。
今回の展覧会では、鉄道開通により生活が変わることを戸惑いつつも楽しむ文化人や、
街づくりとともに縁あって移り住み、そこで活動を始めた美術家たちの作品が紹介されています。



成城の東宝スタジオと「砧人会」、下北沢のサブカルチャーなど、小田急線沿線の各地域でそれぞれ文化芸術が生まれ発展してきました。
経堂、豪徳寺界隈には多くの芸術家が住み、美術家たちの集い「白と黒の会」が生まれました。
写真家の荒木経惟氏、島尾伸三・潮田登久子夫妻も豪徳寺界隈に住み、日常を写した作品を発表しました。



世田谷で活動してきた美術家たちの世界に惹き込まれるような展覧会です。



美術家たちの沿線物語 小田急線篇
【会期】2024年2月17日(土)-4月7日(日)
*毎週月曜日休館
【開館時間】10:00-18:00 *入場は17:30まで
【会場】世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2)
【お問い合わせ】050-5541-8600(ハローダイヤル)
【公式HP】https://www.setagayaartmuseum.or.jp

■投稿できる写真雑誌『PHOTOSAI』では
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中平卓馬 火―氾濫 

2024年02月09日 | 日記
★取材レポート★

日本の写真を変えた伝説的写真家、中平卓馬(1938 - 2015)の没後初めての本格的な回顧展が開催中です。





中平はキャリア前半の1960年代から1970年代前半にかけて『アサヒグラフ』や『朝日ジャーナル』などの雑誌に作品を発表することで、同時代の社会に対峙していました。
当時、雑誌は社会にイメージを流通させる手段として重要な役割を担っており、
中平は写真がどのように流通するかについて常に意識的でした。



1973年に上梓した評論集『なぜ、植物図鑑か』では、一転してそれまでの仕事を自ら批判。
それまでのプリントやネガの大半を焼却したとされていましたが、2000年代初頭、残されていたネガが発見されました。
今回の展覧会では、初期から晩年まで約649点の作品・資料から中平の仕事を丁寧にたどり、その展開を再検証しています。



中平卓馬 火―氾濫  
2024年2月6日( 火) - 4月7日( 日)
東京国立近代美術館(東京・北の丸公園)
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
美術館WEBサイト:https://www.momat.go.jp

■ [ 発売中の『PHOTOSAI』Vol.43 にも展覧会情報を掲載しています。



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