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吉行淳之介「闇のなかの祝祭」

2022-11-12 18:02:00 | 

再読のための覚え書き


闇のなかの祝祭

吉行淳之介(1924-1994


《闇のなかの祝祭》

作家の沼田沼一郎は、妻の草子と暮らしつつも、女優の都奈々子という愛人があった。


妻は「絶対に別れない」と言うし、愛人は「どちらかを選べ」と言う。その間で、男は右往左往するばかり。


しかしある日、奈々子は沼一郎に、身籠ったことを告げる……


「男と女とが一緒に暮してゆくために必要なものは、情熱でもなく、肉でもなく、それは忍耐にちがいない。相手の存在を燦めく光が取囲んでいたとしても、それはやがては消え去って、地肌の醜い部分が露出してくる。それをたじろがずに見詰め、自分の中に消化しようとする。しかし消化し切れない部分が常に残り、絶え間ない違和感と生ぬるい苦痛とを与えてくる。それを忍耐することが、男と女とが暮してゆくために最も大切なことだ。」


《風景の中の関係》

若い父親は、病弱な妻を家に残し、小さな息子を連れて、火山のある島へ旅行に出た。


本当の目的は愛人との逢引きで、子どもの同道は、妻への目くらましだった……


息子、愛人、父親、それぞれの視点で章を分けて語られる。


他、「青い花」「海沿いの土地で」を収録。



2022.11.12読了


闇のなかの祝祭

角川文庫

昭和39420日初版発行


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