再読のための覚え書き
生
田山花袋(1872-1930)
病に倒れた花袋の老母とその子どもたちの関係を描いた私小説。「妻」「縁」と続く三部作の一作目。
母は、早くから夫を亡くし、難しい舅姑の世話をしながら、子どもたちを育て上げた。封建制度、「家」や古いモラルに縛り付けられた半生だった。
やがて息子たちが結婚すればそれに嫉妬し、体が不自由になりながら孤独を感じる日々。
そして子どもたちは、病に倒れた母を介護する生活が始まる。
「彼は母親の一生に同情した。けれどそれがいつもの同情とは不思議にも異っていた。ーー今宵は何故か母親の死が人類一般の死と相連関していて、どうせ一度は死ななければならぬ人間の儚なさがひしと胸に迫った。」
2022.11.10読了
生
新潮文庫
昭和27年5月6日初版発行
昭和44年8月30日23刷
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