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私が他の誰でもない私になるために・・・
独立系FPを目指す私の成功ノート

身近な環境問題~山のトイレ事情~

2009年10月12日 | 自然

こんばんは、CFP@aromaです。
10月の三連休もあっという間でした。
シルバーウィーク前までは半袖でも過ごせたのに、旅行から帰ってきたらすっかり秋。
蔵王山なども紅葉が終わってしまったように、朝晩の空気は冬のにおいすら感じます。私は一年を通して、夏が一番好きだけれど、「北に住む人」がなぜ幸せかというと、それは、「春になる喜び」を誰よりも強く感じられるからだと思います
それは長くて厳しい冬があるからこそ・・・。
また、がやってきますね。

今日は身近な環境問題について考えます。

~山のトイレ事情~
私は小学四年生のときから登山を始めたが、最近までトイレが自然環境を破壊するなど考えたことはなかった。山に行ったら自分のゴミを持ち帰る、例え自分のゴミでなくとも見つけたら拾う、というのは常識として教わったが。トイレについて問題にならなかったのは、まだそのころ登山人口も少なかったためかもしれない。だから、高校でも大学でも、夜はゴソゴソとシュラフから這い出しテントの周りで満天の星を一人占めしながら青空トイレを満喫したものだ

近年、山に登る人が増え、中高年だけでなく若いカップルも時々すれ違うようになった。国民の10人に1人が山に登っているというデータもある。
私は先週も今週も山に行ってしまうくらい山好きだが、登山者が山に入ることでいろいろな問題が発生しているのは事実だ。

まずは、体力維持のためのアメやチョコなど行動食を食べた後に不意に包み紙を落としてしまうことがある。ご飯や果物を食べた後にはたくさんのゴミが出てしまう。そして木陰に隠れてトイレを済ました後のトイレットペーバーが散乱する。
また、夢中になって高山植物などの写真を撮るあまり思わず植物を踏みつけてしまうことがある。
さらに、たくさんの登山者が同じルートを通ると道が崩れて歩きにくくなり、それを防ぐために少し大回りして登ればそこに生えていた植物が踏みつけられ登山道は際限なく侵食する。

これらは人が山に登ると必然的に発生するものであるが、どれをとっても自然に対しては何らかの影響を及ぼしてしまうことは間違いない。おそらくそれは「悪」影響であろう。私を含め山に登る人はみんな自然が好きで来ている。そのことを思えばとても悲しいことである。
こと、し尿処理については山小屋の管理人の苦労は耐えない。排泄行為は、人間の生理現象なので登山者にとっても深刻な問題だ
普通、青空トイレでそのまま放置された場合、無数のバクテリアによって分解され、1週間ほどで跡形もなくなる。しかしこれはあくまで下界の話である。山では標高が高いため、バクテリアの働きが鈍く、数も少ないため、排泄物を分解するにも限界がある。
それでも登山者が少ないうちは自然浄化で分解が間に合っていたかもしれない。しかし、これだけの人が山に入れば、当然、自然の力だけで処理しきれるはずがない。
処理しきれなかった排泄物はどうなるかというと、悪臭を放ち、雨水によって、または地下に浸透して、下界の沢へ流れ出る。現にいくつかの沢では大腸菌が検出されている。これは大変なことだ。生態系にも悪影響を及ぼす
山を歩いていると水の流れる風景というのはとても美しく、心和むものだ。思わず「綺麗な水~」と手ですくって、「美味しい~」と飲んでしまうところだが、それは昔の話。今は湧き水しか恐くて飲めない。山の水が綺麗だ、などというイメージは今では幻想でしかない。

これらのトイレ問題に関しては近年、多く関心が寄せられ、日本各地で取り組みが始まっている。
私の記憶が正しければ、2005年に開催された「愛・地球博会場」ではゲート近くに「バイオトイレ」があった。仕組みはよくわからなかったが、とにかく環境にいいトイレなんだなと早速入ってみたものだ。そうそう、愛知万博は至るところに自然との共生をテーマにした最先端技術のパビリオンがあった。
今頃調べてみる・・・
バイオトイレは、汚水を微生物の作用で無臭の透明水に変え、再利用するバイオ浄化循環トイレシステムで、汚水を汚水ピットに貯め、次に、微生物を大量増殖させた大型タンク内の処理槽で有機物を分解し、においの元となる窒素などを除去する。この後、ろ過膜で大腸菌や不純物を取り除き、最後にオゾンガスで殺菌。約2日間で汚水の浄化は終了し、トイレの洗浄水等に再利用する。万博期間中の半年間で、約1千トンの節水が期待されるという。

なるほど、確かにバイオトイレはすごい。しかし、山小屋のトイレの設置は経済的な負担が大きすぎる。多くの山小屋はボランティアで運営されているのが現状だ。しかし、いまや山のし尿処理問題は緊急課題で、地方自治体や国の行政機関、民間の活動にも現れてきている。

さて、対策として最も有効なものは何であろうか
やはり一番は、登山者一人ひとりが、「自分が持ち込んだものは自分で持って帰る」という当たり前のことを全てにおいて実践することだろう。
それが「簡易トイレ」である。

私がこれらグッズに出会ったのは、遅まきながら去年の7月。
誕生日旅行で行った北海道の利尻・礼文であった。利尻島も礼文島も環境保護については大変進んでいるという印象を受けた。レンタカーを借りに行っても、ペンションで受付しても、利尻町のホームページを見ても、自然への配慮を旅行者一人ひとりに呼びかけていた。
利尻山のルール
1:携帯トイレを持参して登ろう!
2:ストックにキャップをつけよう!
3:植物の上に座らない、踏み込まない!

利尻山は携帯トイレの普及率世界一の山だそうだ。登山コースには数箇所、携帯トイレを使用するトイレブースが立っている。そして、そこで使用した携帯トイレはブースにおいていってはいけない。登山口の回収ボックスまで持ち帰らなければならない。利尻ではこの携帯トイレをコンビニでも宿泊施設でも販売していた。
  

ストックについても徹底していることに驚いた。比較的脚力の弱い女性はよくストックを使って登山するが、これも登山道の侵食・登山道の周りの植生へ影響を及ぼす原因の一つなのだ。

私の愛用の「LEKI」も当初はゴムのキャップがついていたが、しばらくすると取れてなくしてしまった。だから登山前に利尻のペンションで1個300円程度でキャップを買ったのだった。

さて、昨日は、岩手県の早池峰に登った
早池峰についてはエーデルワイスが咲く美しい山だと聞いてはいたが、別の情報も得ていた。眺望の良い、とても綺麗な山なのにトイレが非常に汚い。平成8年に登った時の様子は、山頂小屋の周りはトイレットペーパーだらけで臭くて汚くてとてもいられない。トイレがあるのだが、それが汚すぎて誰も入らず、どんどん周りにするので、せっかくの美しい風景が台無しだとのことだった
山頂にトイレがあること自体珍しいのだが、トイレがあると「念のため」と入ってしまうのが人間の心理である。むしろ山にはトイレはないほうがいいと思うが、早池峰という山は岩山で木々がなく登り始めるとすぐに開けてさえぎるものがない。つまり眺めがいい分、トイレをしたくても丸見え・・・という事態なのだ。これは女性には深刻である。

今回は携帯トイレを持参した上で、登り始める直前にトイレを済ませると共に、水をほとんど取らないことで何とか間に合った。最もヒョウが降るほと寒くて水を飲む気にもなれなかったのだが・・・。
10年以上経って早池峰の山頂はどうかわったのだろう。
  
山頂に携帯トイレが売っていた。1個350円。男性用ボトル500円。そしてその左側にトイレブースがある。
周りには、トイレットペーパーは落ちていなかった。なんだか安堵した・・・

山のトイレ問題には、行政側の制度的な問題、山小屋の管理の問題、登山者自身のモラルの問題がある。だから改善策としてはそれぞれからアプローチの仕方があると言える。でも最終的にはそれら全部の繋がりでしか問題解決には至らないのであろう。
結局この話はトイレだけに留まらない。身近な例を取り上げると自分の問題として認識できる。つまりはここからだ。
きっかけは何でもいい。何かひっかかったことから自然について思いを馳せることは大事なことだと思う。
登山が大衆化されたことによって、たくさんの団体客が旅行気分で山に入るようになった。軽い気持ちで適当な装備で下調べもなくやってくる人が増えた。
山への畏敬の念を忘れることが大きな事故を招く。
自分も含めて、より一層自然への関心と理解を深めていくことが必要だ。自然と共存する、自然と繋がる、言葉ではかっこいいが、まずは登山者の意識を変えていかなければならないと思った、利尻山から続く今回の早池峰登山であった。

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