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辺真一さん講演会「アジアの風を読む」から、日本の役割を考える

2009年07月11日 | 講演

アジアの風を読む ~これからの日本外交~と題した辺 真一(ぴょんじんいる)さんの講演会に行った。(7/9
辺さんは東京都生まれの在日コリアンジャーナリスト。コリア・レポートの創刊者・編集長を務め、TBS系「サンデーモーニング」のコメンテーターとしても活躍中である。


残念ながら政治にはかなり疎い私・・・
ましてや外交問題など傍観者もいいところ。
北朝鮮が核実験!と聞いても「またか・・・」、テポドン発射!?と聞いても「ふ~ん、どうせ日本には落ちないでしょ・・・」北朝鮮は何を考えているか分からない独裁者の国だなぁ、という程度の感覚なのである



しかし講演を聞いて、拉致問題や安全保障、資源外交など包括的な視点で日本と北朝鮮の在り方を考えてみるべきなのではないかと思った。
そのために今生きている我々がなすべきことがあるのではないか。
将来を担う子供たちのために、少しでも負の遺産を減らして次世代に引き渡す責任が我々にはあるのではないだろうか。
そんなことを考えた・・・。


辺さんは、テレビでご存知のとおり、シャープな印象。
骨格はしっかりしつつも細身なオジサマが好みな私には、とても素敵に写った。一見穏やかで語りも優しく、しかし中身は芯が通っている、これが理想

自然体な沢木耕太郎さんに対して、辺さんは数字やデータを用いた正確で説得力のある話し方であった。
内容は、北朝鮮を軸に、イラクとアフガン、イスラエルにハマス、毛沢東に温家宝、ブッシュにクリントン、金丸に小泉、そして金正日、オバマ、麻生・・・、その幅広い見識には驚かされた。
中近東や東南アジアの政治、経済、戦争などは苦手分野だが、講演会に行って直接聞く臨場感は心にも響く効果があるので、元々疎いだけにかえって新鮮な気持ちで理解できた気がする。


辺さんは韓国人であるが、日本で産まれ日本で育っただけに、国益を第一に考えた極めて日本人的な思考をしている。そして元々の性格なのか、非常に冷静な人物にも見える。その辺りが北朝鮮からも買われているのか、3年前に北朝鮮の要人に請われ、中国で密会を持っている。
実はそのきっかけは辺さんが「拝啓 将軍様」とした年賀状を出したことに端を発している。
「将軍様はよくぞ拉致を認められた。経済援助のため背に腹は変えられなかったとはいえ、もうやりませんと言うのは断腸の思いでしたでしょう・・・、云々」
つまり、
相手の立場に立って相手を理解する、信頼関係を築くことが外交において最も大事なのだと言う。
そのいい例が犬の鳴き声で、日本人は「ワンワン」、しかし韓国人は「モンモン」
それを聞いて「モンモン!?耳悪いんじゃないの?」ではなくて、「モンモン、そういう言われてみればそう聞こえるかもしれない」そういう気持ちが大事なのだ。
この点について、大前研一さんも「ニュースの視点」の中で「ビジネス・政治・外交など、あらゆる分野において、「相手の立場で読む」という発想は重要だ。」と述べている。(北朝鮮立場で読む、真の狙いとは?


今、金正日は最後のチキンレースにかけている。
過去においてはブッシュPaPaに1勝、クリントンに1勝、ブッシュJrに1勝。そして2012年の金日成生誕100周年祭、金正日77歳のお祝いまでにオバマからもう1勝得たい。そのとき金正日は三人の息子のいずれかに政権を譲りたい。それが北朝鮮の描いている青写真だという。
そのために核やミサイルを持ち出して、経済援助を取り付けたいという瀬戸際外交を行っているわけである。しかしこれは非常に恐ろしい崖っぷち外交でもある。
見方によってはアメリカの右足が韓国、左足が日本。北朝鮮は本体アメリカに太刀打ちできなくても、足のすねくらいかじるかもしれない。もしかしたらかじった傷からウイルスが充満するかもしれない。それが核・・・。


ということは北朝鮮の核の脅威に最もさらされているのは日本なのである。
また、朝鮮半島で戦争が勃発したら、韓国、アメリカ、そして日本の被害はそれぞれ何十万人の死者と数百億円にも及ぶ被害をもたらすという。
これはなんとしても止めなければならない・・・。


もちろん交渉相手は金正日しかいない。
ゴア元副大統領に期待していたがオバマ大統領は拒否しているし、ここは小泉純一郎元総理が手土産を持って再度金正日に会い、もともと日本好きの彼を訪日させ、東京で首脳会談を開くぐらいの思い切った外交が必要ではないか。


余談であるが、金正日は「男はつらいよ」が大好きで全巻セリフを暗記するくらい見ており、もちろん渥美清の大ファン。好きなシーンは浅岡るり子が出ている沖縄のハイビスカス。でも好きな女優は吉永さゆりと秋吉久美子。きわめて正常な美的感覚を持っている(笑)。歌は島倉千代子の「東京だよ、おっかさん」がお気に入りらしい。
これだけ日本好きな彼だが、まだ訪日したことがない。家族だけが偽造パスポートで入国している。きっと来たがっているはず。そのあたりを利用して麻生さんが金正日を呼んだらいい・・・。


さらに、北朝鮮には三百兆円もの豊富な地下資源を持っている。それを中国が狙っている。韓国も関心を持っている。しかし北朝鮮は資源開発を本当は日本とやりたがっている。
なぜなら中国には経済的に隷属させられる恐怖感があるし、韓国には東ドイツのように併合される懸念もあるから。


一方、国交正常化は日本にとっても大きな意味がある。
日本は北朝鮮との間においてまだ何も戦後処理を行っていない。「過去の清算」と聞くとどうしても従軍慰安婦や植民地支配などをイメージするが、辺さんが強調するのは、亡くなった日本軍の遺骨収集と引き上げ時の残留孤児の行方である。もしかしたらまだ生きているかもしれない、今なら親とも再会できるかもしれない・・・。拉致被害者の帰還しかり日本人妻の里帰りも国交が正常化されればこそなのである。
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日でも早く日本に帰れるようにレールを引くのが我々の役目ではないか

日本は地理的にも、中国や韓国やアメリカよりも有利な立場で交渉を進めることができ、今こそ日本が果たすべき役割は大きい。と同時にそれは急務なのである。


辺さんは、日本の外交がどうあるべきか、在日という立場で、韓国、北朝鮮、日本が仲良くできる道を模索し続けている。

少々難しい講演ではあったが、学ぶべきことがたくさんあった。大げさかもしれないが「時を読む力」を養わせていただいた。ちょっとは賢くなれたかしら、軽い足取りで岐路についた


近々「14歳からの北朝鮮」という辺さんの著書が出版されるとのことです。こちらもお楽しみに

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