麻原彰晃が逮捕されてから、もう19年を数える。
弁護士一家殺害事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件と、当時は紙面を埋め尽くした凶悪な一連の事件も、やはり時とともに風化していくのは避けられないことだったが、それでも時折、思い出したようにドキュメント番組が流れ、週刊誌にも特集が組まれている。
だが、そのどれもが目新しいことは何も語られないまま終わっているのが現状だった。
十年一日のごとく、いわゆる有識者は同じ台詞を言い続けているのである。
「理解できない」
「なぜ将来を期待されていた若者がオウムなどに引き寄せられてしまったのだろうか?」
「なぜ麻原彰晃の言うがままに非合法活動に突っ走っていったのか?」
そしてこんな風なことを結論のように口にする。
「すっかりマインドコントロールされていたんですね」
「マインドコントロールというのは本当に怖いものなんです」
阿呆か……。
そんなことは、こうした宗教がらみの事件で、ずっと昔から言われ続けてきた、
「宗教にのめり込んでしまったんですね」
「宗教というのは本当に怖いですよ」
という台詞を「マインドコントロール」に置き換えたのに過ぎないではないか。
まったく、曲がりなりにも「有識者」とか言われている人達が、なぜこんな陳腐な台詞しか言えないのだろうか?
一連のオウム事件が未だに闇に包まれているというのでは決してない。
教祖の麻原彰晃はまあアレだが、逆にそんなアレに愛想を尽かした実行犯たちが次々と詳細な証言を行っているのである。
ことに死刑が確定している実行犯たちの証言は信憑性も高く、もはやそれぞれの重大事件の経過は十分刻みでトレースすることができるといっても言い過ぎではないだろう。
なのになぜ?
未だに「マインドコントロールがどうのこうの~」と陳腐な分析しか聞けないのはなぜなのだろうか?
──おそらくその理由は彼ら「有識者」といったものが“虚像”であるためだろう。(いやこれは、彼らはニセモノでホントのことは何も知らないという意味ではないのだよ)
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