Der König Hat Eselsohren

フェルメール展@東京都美術館




学祭期間中は仕事にならないから、4日間まるまる使って旅行にでも行きたいところですが、今年はそうも行かないので、東京日帰り美術館ツアーと言うことで。
どういう訳か、今年のこの時期は、面白そうなのは都内ばかり。
日帰り圏内の中国地方はもちろん、関西や名古屋もこれと言ったのをやってない。

ならば、満を持して、フェルメール展をば。

だって開催が発表されたときから手帳に書き込んであったから。
あれ、昨年の手帳だから(笑)
やはりフェルメール好きとしては、これを外すことはできません。
しかも今回来日した7作品中6作品が未見だから。
最初来る予定だった「絵画芸術」はウィーンで既に見ているから、こっちとしてはかえってラッキー(笑)

ということで、朝一番の飛行機で上野へ。
9時開館と言うこともあって、既に入場10分待ちですが、そんなに待たずに入場。
そして、みくしに以前出ていたとおり、脇目もふらずにまずは2階へ。
おそらく同じトピックを読んだのであろう人が、やはり目の前を2階へと急いでいる(笑)
つか、ホントは会場の入り口がB1だから、ここが1階なんですが…f(^ー^;
ともかくフェルメール作品は全部ここに集められていて、しかも既にかなりの人だかりが。
でも、うまいこと人の出入りに合わせて潜り込んでいくと、間違いなく全作品を最前列ド真ん前で見ることができる。

で。

すごかったんで、一応、各作品ごとにコメント。

・「マルタとマリアの家のキリスト」
これ、こんなにデカい絵だとは思わなかった!!意外!!
やはり最初期の絵だけあって、色遣いや陰影の付け方はなるほどフェルメールだな、とは思うけれど、全体的に描き込みが緩い。
つーか、マルタもマリアもまぁ納得するんだけど、キリストが…。
や、目のあたりの光の反射とかは、確かにフェルメールだけど、なんか手が大きくね?
もともとこの絵のキリストってちょっとデッサン狂ってるような気がしてたけど、やっぱりそうだと思ったのでした。

・「ディアナとニンフたち」
「マルタと…」からは1年くらいしか制作年が変わらないのに、こっちの筆致は確かにフェルメールっぽい。
題材は違うけど(笑)
この2作品を見ると、最初は宗教画とか、こっちの方に関心があったらしいことがよくわかるけれど、もし当時のオランダの状況が違っていて、そのまま宗教画や神話の方に突き進んでいたら、フェルメールの名声はどうなっていたんだろうな?

・「小路」
これ、ずっと見たかったんだよ!!うれしいよ!!
…なんてレベルでは済まない絵でした。
実物はほとんど衝撃的だよ!!
ただでさえ写真や映像では絶対に伝わらないほどの、嘘みたいな奥行き感。
しかも絵肌が、よりいっそう奥行きを作ってるじゃないか!!
まさにすっと奥に突き抜けていく感覚。
そこに空気があって、風があって、それを絵の中と共有していくような錯覚が。
久々に絵に飲み込まれる感じですよ。
これはスゴイ。
もし、これをアムステルダムで見ていたら、きっとこんなに人がいないだろうから、何十分でも見ていそう。
しかも、窓の格子の繊細さだけじゃなく、質感までがリアル。
でも、この絵もね、じつはちょっとおかしいんだよね。
というか、以前から、右側の建物がちょっと斜めに歪んでいるような気がしてたんだけど、直に見て初めて気がつきました。
この建物には遠近法が使われてない!!
もし通りの向かい側から見ているんだとしても、自分の視線から考えて、少なくとも屋根近くのあたりは、煉瓦の厚みが見えないとおかしい。
それを無視して、上から下まで真正面に描いているから、かえって脇の奥行きが強調されてるんじゃないかな?
これはあくまでも推測だけど。

・「ワイングラスを持つ娘」
会場の説明には出ていなかったけれど、確かこの赤いスカートの下塗りにラピス・ラズリが使われてるんじゃなかったっけ?
ホントにもう、ものすごく発色がいい。
そして、ここの赤が、左のステンドグラスの赤をさらに引き出しているから、全体のバランスもきれいだし、何を見せたいかがとてもよくわかる。
でも、これ、よく見てて、左のステンドグラスのところって、どの窓が開いているのかが謎。
最初は、窓が向こうから手前に向かって開かれてるんだと思ってたけれど、このステンドグラスの向こう側って、窓の木枠があるっぽい。
だとしたら、手前から向こうへと大きく開かれてるんだろうか?
でも光の当たり方からすると、蝶番を真ん中にして、こっちに片開きの窓がついていることになっちゃうんですが…f(^ー^;
ステンドグラスの示している教訓を描き込むために、後から入れたような気がしなくもないんだけど。

・「リュートを調弦する女」
これを見るのは…3度目なんだけど(笑)
すごく好きなんだけどね。
この絵の前には、意外と人が少ない気がする。
でもこの黄色のガウンとか、もろフェルメールだよ(笑)

・「手紙を書く婦人と召使い」
今回はこれが来ていてうれしい。
だってダブリンまで行く機会って、そうそうないもん(笑)
晩年の作品だけあって、テーブルクロスやらなんやら、派手で、そのほかにも何かとごちゃごちゃしてます。
でも手紙を書いている女性の衣装はホントに綺麗だな。
布の質感とか宝飾類の質感とか、別にフェルメールに限ったことじゃなく、北方ルネサンスの時代から、ネーデルラントの人たちは得意だよね。
そしてこの絵、たまたま、右から左へと移動するような感じで見ていたら、実際に部屋の中を移動しているかのように見える。
最初、女性越しに窓の方に向いていた感じだったのが、最後、日の差す方から女性を眺めているような。
すげえな。

・「ヴァージナルの前に座る若い女」
最後の個人蔵作品だってよ!!
これは確かに、今回見逃したら、もう見るチャンスはなさそうだ。
つーか、鑑定時に真筆だと判断した最大の原因が、やはりラピス・ラズリだってのがねぇ。
はっきり「青」を表現したところが一つもなくてもラピス。
実際、よくよく見てみると、肌の色なんかに青が混じっているけれど、どんだけ贅沢なんですか(笑)


と、ここまで見てきたところで、いったん入り口まで引き返し、他の作品を鑑賞。
フェルメールのところではオーディオガイドいらね、って感じだったけれど、他のデルフトの画家の作品に関しては、オーディオガイドがあった方がわかりやすい。
でもって、今回はもちろんフェルメールがメインではあるけれど、全体の流れや構成がホントによくできてるよ。
フェルメール作品のすばらしさがよくわかるのと同時に、別に孤高の画家というのではなく、あの時代のあの場所と密接に結びついた存在であると言うことがよく理解できるようになっている。

が。

中途半端な時間に、知り合い同士で来ているくらいだからかな。
オーディオガイドを一人だけ借りて、それを説明している人が結構いるけれど、それを横で聞いていると全然わかってなかったり。
少なくとも並んだ二つの絵を見比べればわかるはずなのに、「消失点が複数になっている」という意味がわかってないとか…orz
さらには、絵の真ん前にいながら、絵なんかそっちのけで関係ないことをしゃべっているんで、その目の前にできた隙間から絵を見ていたら怪訝な顔をする人とか(怒)
この人たち、ホントは全然興味ないんじゃん?
だったら混み合うだけ迷惑だから、来ないでほしいよ。
さらにびっくりしたのは、図録を買っている人がほとんどいなかったこと。
まだちゃんと読んではいないけれど、今回の図録は各作品ごとの解説が相当詳しくなっていて、見本を見たときに「これは買いだ!」と思ったんだけど…。
グッズ売り場はひどい混雑ぶりなのに、どのレジも、図録を買っている人がいない。
少なくとも自分の前に並んでいた十数人は一人も買っていなかった。
だいたいにおいて、図録専用のレジが閉まってるんだもんよ…。
何も持たずに列に並んでる自分が場違いな感じって…orz

そうそう。
最後の方で、フェルメールの現存作品全部のコピーを原寸大で制作年順に並べているコーナーがあったんで、今までに実際に見た作品を数えてみたら。


現存35作品中、なんと、26作品。


われながら、いつの間にこんなに見たんだ?!f(^ー^;
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