Der König Hat Eselsohren

11日目その3(Jazzfäst in Eupen)

Floがステージの前に行こうという。
歩きながら、die ärzteは知ってる?と訊くので、もちろんと答える。
「確か2003年に日本でライブをやってるんだよね。ただし、私が聴き始めたのは昨年末だけど」
「他にドイツのバンドは、何か聴いたことある?」
「聴いてるよ。die Toten Hosenとか、Wir sind Heldenとか、Silbermondとか」

ステージの脇で、セキュリティにパスを示し、ステージの真ん前に行く。
「ほら、照明がいっぱいだろ」
ステージの両脇には大きな画面も設置されて、かなり大がかりだ。
今はSportfreunde Stillerのセッティングをしていて、Sportfreundeのスタッフと、die ärzteのスタッフが入り混じって働いている。
Floが、ステージの上のMarcを呼ぶ。
1時過ぎから、SportfreundeのProbe(リハーサル)をやるので、それが終わってからタクシーを呼んでくれるという。
たしかにそうすると、ちょうどチェックインできる時間だ。
せっかくの機会だし、と思ってFloに、
「ここでProbe見ていい?」
と訊くと、
「いいよ」
「写真も撮って良いかな?」
「もちろんだよ」

Floと、ドイツロックの他に、どんなのを聴くかと訊かれる。
「日本のは聴かないの?」
「以前は主に日本のだったけれど、今はドイツかな(笑)」
「ギターウルフって知ってる?日本のバンド」
「名前は知ってるよ」
「それだけはCD持ってるんだ」

「Sportfreunde Stillerの曲ではどれが一番好き?」
「え~?それは難しい質問だなぁ。全部好きだし(笑)」
ホントに、それは難しいですよ。
「でもあえてどれか、っていうなら、Frühlingかなぁ」
「Frühling?!Frühlingなの?今回やらないよ?」
そりゃあ、季節がずれてますから(笑) (*Frühling=春)
「うん。でも2月に一度聴いてるから」
「あぁ、そうか」

「俺らの一番最近のアルバムは気に入ってる?」
「あのアルバムにDVDがついてたでしょ?あれを見てライブを見たいなぁ、って思ったんだ」
「DVDといえば、俺ら、他にもDVD出してるんだけど、『Ohren zu und Durch』っていう…」
「持ってるよ~!アマゾンで買ったもん。Sportfreunde StillerのCDは、ほとんど持ってるよ。シングルでは持ってないのもあるけれど」
「アルバムは…」
「全部持ってる。それこそ、たとえば、ライブ盤あるでしょ?あれは通常版と特別版と両方揃えてたり。すでに大コレクションになってるよ(笑)」

「俺達もいつか日本でライブやりたいなぁ」
「やって、やって!」
…たぶん、実現しないだろうけど。
ドイツではトップのdie ärzteですら、日本では渋谷クアトロだったくらいだ。
日本では絶対に見られないだろうからこそ、こうしてドイツまでこようと思ったんだから。
「でも飛行機はあんまり好きじゃないな」とFlo。
「そう?」
「なんか信用できない」
「そうかなぁ。私は飛行機大好きだけど。月に1~2度、福岡と東京を往復してるから、ほとんどバスみたいに使ってる。福岡空港も街中まで地下鉄で15分だし」
「ふ~ん、それは便利だね」

そうこうしているうちに、1時半が過ぎ、残念ながらProbeは出来ないということになった。
「2時には、客を入れなきゃならないからね」
とMarcはいう。それは確かにそうだ。
しかも、もう既にかなりの人が会場の外で待っている。
スタッフを振り返りながら「仕事が遅いんだよ。高い給料貰ってるのに」とMarc。
Floがステージ上のNikoに、「Niko、働け!」と叫んでいる(笑)

結局、Probeが出来ない代わりに、とFloがステージに上がっていき、ドラムの調子を確認している。
ひとしきり叩いた後、スタッフと一緒に裏の方へ行ってしまったので、ひとり、最初に来たセキュリティの脇を通って、バックステージに戻る。
程なくしてFloが戻ってきたので、再びGarderobeへ。
すぐさまMarcも電動歯ブラシ片手にやってきて(笑)、Floと話をしている。
聴くとは無しに聴いていると、Sportfreundeは、ファンは多いけれど、直接の客入りに結びついていない、というような話をしているようだf(^ー^;
向こうは理解できないだろうと思って話しているし、確かにこっちもちゃんとは理解できていないのだけれど、なんとなく話の内容はわかった気がする。

そろそろ2時になるので、タクシーを手配してあげて、とFloが言ってくれて、Marcと一緒にいったんバスに戻る。
Floがホテルの部屋に置いておけ、とミネラルウォーターのボトルを1本くれる。
Marcと一対一で話すのはこれが初めてだ。
「日本にはいつ帰るの?」
「明日」
「どこから?」
「フランクフルトから」
ここからだと、フランクフルトはそんなに遠くない。
「die ärzteは知ってる?」
「もちろん。何枚かCDもってるし」
「ライブは?」
「今日が初めて」
「そうなんだ。僕はもう、20年前だなぁ、die ärzteの大ファンで、友達と一緒に、電車や飛行機を使って見に行ったよ!」
あはは!私と同類なんだ!!
「でも今は、Sportfreunde Stillerが一番だよ」
「私も!die ärzteは2番目に好きなバンドだな」
「じゃ、1番目は?」
「もちろん、Sportfreunde Stiller!!」
それを聞いて、Marcは嬉しそうだ。
そもそもSportfreunde Stillerは、Marcが見い出して、ここまで育てたはずだ。
誰が何と言おうと、Marcこそが世界一のSportfreunde Stillerのファンなのだ。

ベッドに戻って荷物をまとめ、下に下りようとして、後ろのラウンジにPeterとRüdeがいるのに気がついた。
今朝、Peterを見るのはこれが初めてだ(笑)
「おはよう、今からホテルにチェックインして、シャワー浴びて、化粧したら、すぐに戻ってくるね」
ちょこっと文法を間違えると、Rüdeがすかさず直してくれる(笑)

スーツケースを引きずり出すと、Marcが持ってくれる。
一緒に現地スタッフのオフィスのところに行くと、なんと現地スタッフの女の子が、スタッフ用シャトルで送ってくれるという。
すでに大通りのところで通行止めになっていて、この中までタクシーを呼び入れることが出来ないのだ。
こちらへ歩いてくる人並みに注意しながら、大通りまで出て、ホテルまで。
これがオイペンの街か。
何にもないな。

それでも、オイペンのホテルに泊まることにしておいて、本当に助かった。
そもそもここくらいしかまともなホテルがないけれど、4つ星なので、かなり豪華だ。
それでも、ここでゆっくりするよりは、なるべく早く身支度を調えて、早く会場に戻りたい。
しかもお腹空いた(笑)
今朝、バナナを1本食べたきりだ。
戻ったらまず、何か食べに行きたい。


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