北海道のばんえい競馬が廃止される事になったという。毎年必ずニュースにはそのユーモラスなレース光景が放送されていたが来年からはもうその姿を見ることもないだろう。ずいぶん前から赤字経営が続き地域ごとに撤退をしていたらしいが今回最後の砦ともいう帯広市が市民の願いとどかず廃止に踏み切ったとのことだ。ばんえい競馬とは北海道独特の輓馬(ばんば)というそりを引く馬で競争するものである。しかも重石を載せて段差を走るその姿は農耕馬の力強さを見せ、走るその姿を見ているとこっちまで力が入りそうな感じである。車社会が発達した現在では馬が働く姿などそれこそ競馬以外では見ることが出来ない。しかし日本ではある時期農耕はもとより輸送手段のほとんどをこの馬たちが働いていてくれた。私が物心付いた頃の横浜や東京でも荷馬車は普通に走っていたし、道路にはその馬たちが落としていった馬の糞があっちこっちに転がっていたものである。また時には馬に蹴られたなどというニュースが新聞に載ったとか載らないとかの話を大人たちから聞いた事もあった。郊外に行けば田んぼや畑にはそれを耕すのは馬か牛が常識であった。そんな時代を知っている私にはこの働く馬「輓馬」のレース姿はどこかしら懐かしいものさえ感じられた。時代が遡る事はない。だが古い伝統を残す事はできる。せめて形だけでも、開拓農民の伝統文化保存の為にも「ばんえい競馬」を残してくれという願いに、帯広市は馬文化の継承をする努力は惜しまないといっている。ひょっとすると観光的な形での存続は期待してもいいのかもしれない。働く「輓馬」を心から応援したい。さて、いよいよ明日からは師走だ。早いものだ。年々月日の経つのが早く感じられるようになった。こんなに早く時間が経ってしまうとちょっと怖いような気がする。年末になったら少しでも気を引き締めてかからねばなるまい。皆さんもどうか年の瀬を控えて事故などを起こさぬようにお気をつけてください。
渋谷歌壇 弓月の 雲居に凍てし 光かな
月光の 鮮やかなりし 雲居の間
小春日に 背中温もる 散歩かな
初冬に 月も私も ただ一人
何事も 考えんとや 月明かり
狂竜
渋谷歌壇 弓月の 雲居に凍てし 光かな
月光の 鮮やかなりし 雲居の間
小春日に 背中温もる 散歩かな
初冬に 月も私も ただ一人
何事も 考えんとや 月明かり
狂竜