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よい姿勢を守ることと、背痛の予防や治療は関係が無い可能性

2022-08-25 11:02:52 | 日記

このページは『腰痛と姿勢』について記載しています。

 

 

 

結論から言うと、タイトルの通りになるようです。

 

背中を丸めたり、猫背であっても、将来の背痛リスクを増大させることには繋がらない。

 

反対に、背痛を患っている人ほど、背筋をまっすぐに維持しようとしている傾向はあります。

 

これらのことが生じうるのは、環境に適応するために、特定の姿勢を必要としているためではないかと推測します。

ゆえに、生活環境や活動状況を考慮せずに、ただ一律に『よい姿勢にしましょう』というのは、根本的な問題を全く意識していないということになります。

常々思うことですが、畑仕事で腰が極端に曲がっている高齢者で、ほとんど神経症状がみられない、腰痛もあっても軽度か中等度である、といった方は沢山おられると思います。

『よい姿勢である』ということが、必ずしも正しいとは限りません。

『環境に適した姿勢であるかどうか』ということが最も重要なことだと思います。

そして難しいのは、『環境に適応した姿勢ではあるが、結果として痛みなど何かしらの症状が生じている』と言った場合です。

これは、『治す』という選択肢を取った場合、いずれか一方を妥協する結果になることが多いです。

『完治』ということは難しいかもしれませんが、ちょうど良い具合に調整して、双方の条件をある程度達成できる状態にすることが良いかと思われます。

 

 

 

⚠以下、腰痛と背部痛、背痛をまとめて表記することがあります。

 

 

 

 

私自身、臨床の中ではアライメント(前後左右の構造的なバランスや重心位置etc)を非常に気を遣って見てきたつもりですが、まぁ何と言うか、(人によっては)それほど重要ではないということかもしれません…。

 

実際、円背のきつい高齢の患者さんが受診されることも多いですが、初診の段階では腰痛を訴えていて、その状況に即して施術します(アライメント異常が何らか腰痛に関連していると推測はしている)。

 

しかし、円背は修正されてなくても腰痛は改善する方もおられます。但し、審美的な問題や、歩行時に前方を視認することが困難で生活に支障がある場合には、適応の範囲内で修正を試みることがあります。

 

もちろん、問診の時点で、骨折や悪性腫瘍の可能性、感染症や神経圧迫などが無いかは判断するようにはしていますが、これらの病態で背痛に至る可能性は全体の1~5%と言われています(文献によって差があります)。実際の臨床では、本当に稀に腰痛や下肢浮腫などを訴えて来院された患者さんの中で、治療経過があまり良くない(つまり鍼灸であまり効果が出ない)場合に、セカンドオピニオンや当院からの紹介を通じて悪性腫瘍が発見される患者さんもゼロではありません。漫然と施術を継続して状況が悪化しないようにしなければなりません。

 

 

 

いわゆる『非特異的腰痛』は全体の85%を占めると言われており、現代医学では明確な原因が特定できない腰痛が多いとされています。

 

『非特異的腰痛』の定義は、『腰背部の痛みを呈し、腰部に起因するが下肢に神経根や馬尾由来の症状を含まないもの』であり、(背部痛 理学療法診療ガイドラインによれば)、神経症状(神経痛、しびれ、感覚異常、麻痺etc)の症状や、馬尾症状(尿閉や尿・便失禁、性機能障害、殿部周囲の痺れや火照り)などの症状が無い腰痛のことを意味します。

 

一般にこの『非特異的腰痛』は、腰背部の組織に(画像診断etcの客観的評価に基づいて)識別可能な損傷がなく、器質的な疾患とも関係しないと言われています。

 

病院などの医療機関においては、恐らくこの『非特異的腰痛』以外の腰痛を呈する重症度や緊急性の高い疾患を鑑別しているものであり、予後不良な症例をスクリーニングしているものを推測します(私ならそうするでしょう)。

 

この『非特異的腰痛』の場合、器質的な疾患がない、識別可能な損傷がない、というところが非常に難しいところです。多くの患者さんは湿布や消炎鎮痛薬の処方などで経過観察になるのではないでしょうか。

 

実際の臨床では、識別可能な異常がないとは言えないケースもあります。

但し、それが客観的な評価に基づくものではないことが多く、観察者のスキルや感覚の鋭敏さ、詳細な身体観察などによって左右されるものが多いと思われます。最近では医療機関以外でもエコーなどを導入するところもあるようですが、『判断』はできるかもしれませんが『診断行為』はできません。確かにエコーは炎症所見や軟部組織の異常を見つけやすい側面があります。

 

 

 

よくある整体などで、骨盤矯正とか、背骨のズレを治すという表現を見かけますが、これもまた曖昧な表現なので、信用に足るかどうかは私には判断できません。通常、医療従事者の免許を取得するには最低でも3年程度の期間が必要ですので、そのあたりの経歴を確認するのが宜しいかと思います(ただし、これも完全な担保にはなりません)。一応、見分ける方法としては、問診の段階で『分からない(知らない)ことを、分からない(知らない)後日調べて説明させて頂きます』と言う人は多少信用できると思います。

 

 

 

また、注意しなければならないのは『治療』や『施術』という文言を安易に無意識に使用している無資格者(民間資格は国家資格ではありません)は、それらを取り締まる法律がないために、自由に表現することがあります。健康被害に関する報告が十分に揃えばいずれは強力な規制の対象になると思われます。

 

『治療』という言葉は言わずもがな、無資格者は使えない言葉ですが、『施術』という言葉も使用に注意すべき言葉です。法令上は、はり師きゅう師、あん摩マッサージ指圧師、及び柔道整復師のみ使用が認められる言葉ですので、リラクゼーション業を生業としている方々には使用できません。

 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34288926/

 

https://www.sciencealert.com/the-relationship-between-posture-and-back-pain-isnt-what-you-think


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