白い花の唄

笛吹カトリ(karicobo)の日記、一次創作SF小説『神隠しの惑星』と『星の杜観察日記』のブログです。

朱い瞳の魔法使い (その5.2)

2024年09月04日 18時33分54秒 | 星の杜観察日記
 都ちゃんは、まだぼーっとした顔で、ドンちゃんを見上げた。ドンちゃんは5歳児みたいな笑顔を見せた。「都がそんな格好してると、何だか嬉しい。可愛いよ。都はもっと、自分の好きな服着たらいい」「今だって別に嫌いな服着てるわけじゃ」「わかってる。でももっといろんな服、着てみたらいい。都が我慢してるの、知ってた。我慢しなくていいよ」 ドンちゃんを見上げる都ちゃんが、ポロッと涙をこぼした。「都、 . . . 本文を読む
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朱い瞳の魔法使い (その5.1)

2024年09月04日 18時24分09秒 | 星の杜観察日記
 イタリアから帰国した瑠那が一番驚いたことは、住吉の母屋に着いてみると桜さんがふわふわ浮いていたことだろう。羽化仕立てのヒグラシのような繊細な薄緑色のキャミソールドレスを着て、明るい栗色のウェーブのかかった長い髪をなびかせて、どう見ても20歳前後の若い姿で。桜さんは例によって強引な采配で、私ときーちゃんの再婚を決めて、婚礼祝いの紅白の干菓子を注文し、『集まった人に配るように』と遺言して、その日のう . . . 本文を読む
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