あおこのぶろぐ

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びわ湖ホールプロデュースオペラ「ラインの黄金」 3月5日

2017-03-06 21:33:32 | 日記
びわ湖ホールの公演には惹かれるものが多く、いつか行きたいと思っていましたが、スケジュールの都合で今まで機会がありませんでした。
今回無理矢理「ついで」を作って、大津まで行って来ました。

ワーグナー好きの私、中でも「ニーベルングの指環」は特に好きで、東京で行われる公演には可能な限り観に行ってました。
ワーグナー作品の中でも一番「観たい」、つまり「どんな演出なのか観てみたい」のが「リング」だからです。
その中でも、侏儒の世界や巨人族、川中を泳ぐ乙女たちが登場する「ラインの黄金」は、特にどんな演出になるのか興味津々の作品です。
プログラムによると、演出のミヒャエル・ハンペ氏は「不思議で超自然的な場面に、何とか適切な解決策を見つけようと格闘するのは、われわれ『びわ湖』の演出チームが最初でも最後でもない」と語ったそうで、苦労を重ねたことが伺われます。

実際、これほど台本に忠実に視覚化した舞台は珍しいかもしれません。多少無理があるところもありましたがそれはある程度仕方ない(ミーメ、デカいじゃん、なんて思ってはいけないのです)。

最新の技術を使っているのですが、「初演の時はこんな感じだったのではないか」と思わせるクラシカルな舞台(美術・衣裳、ヘニング・フォン・ギールケ氏)、台本と 楽譜が読み込んだことがよくわかる演出でした。ノートゥングが出て来たところなんか、「ほう」と思いました。

リングの演出と言うと、私はキース・ウォーナーの「トーキョーリング」が大好きなのだけど、王道の中の王道を行くこの演出もかなり気に入りました。
リング初心者の人にもわかりやすかったんじゃないかな。
2日間の公演で終わるなんてもったいない!

一つだけ残念に思ったのは、ラストの場面で曲が終わる前に幕が降りるため、幕が降り初めてから拍手が始まってしまったこと。
音楽が終わってから暗転、のほうが余韻を楽しめたような気がします。
(昨年のティーレマン指揮のドレスデンの来日公演は本当に素晴らしく、ティーレマンが動くまでの静寂、その後の喝采にはゾクゾクしたものです)

歌手の方々も皆さん良かったです。
ヴォータンの青山貴さん、今までニアミス(?  Wキャストの別の組を観たりしていた)で初めて聴きましたが、いい声でヴォータンらしかったです。
黒田博さん(ドンナー)、福井敬さん(フロー)というベテランが安心と信頼の演唱を聴かせてくれました。
昨年二期会の「トリスタンとイゾルデ」で素敵なイゾルデを聴かせて下さった池田香織さんのエルダ、すっかり貫禄が出て来た谷口睦美さんのフリッカもお見事でした。
ミーメの高橋淳さんもクセ者をやらしたら日本一!?
ローゲの清水徹太郎さんもいい味出してました(カズレーザーに見えて仕方なかったけど)。
ファゾルトの片桐直樹さん、ファーフナーのジョン・ハオさんの巨人族、カーテンコールでは「分裂」して登場したけど、下半身のお二方も含め皆さん本当にお疲れ様でした。
関西二期会の片桐さん、初めて聴きましたが、存在感ありました。
アルベリヒ(志村文彦さん)も健闘、フライア(森谷真理さん)、ラインの乙女たち(小川里美さん、森季子さん、中島郁子さん)も好演。

指揮の沼尻竜典さん、京都市交響楽団も素晴らしかったです。
去年ティーレマンの「ライン・・・」を聴いちゃったからなあ、と思っていましたが、視覚的・聴覚的トータルで満足度は高く、とても楽しむことが出来ました。

これだけの公演を作り上げるびわ湖ホールに、改めてブラヴォーと言いたいです。
びわ湖リングに30万円以上寄付した人にギールケ氏お手製のリング(限定10個)プレゼントという試みもとてもいいと思います。
お金があったら寄付したいですが、残念ながら無理……(>_<)