BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説24-26「ディスティニーアン ダーグラウンド」

2021-04-27 21:53:00 | ★ディスティニー24章
 恭一の店を出てから、麻也は諒に怒られた。
「麻也さん~、ギターをじっくり見るのは、オフ明け、またギターに戻ってからです!」
「はあぃ…」
 と答えたら、いつの間にか手をつながれていた。
「さて、服でも見に行きますか」
 すました表情で諒は言う。麻也は笑ってその手を握り返した。
 歩き疲れて入ったカフェで、真樹と直人からメールが携帯にきていたのに気づいた。
ー明日はピザ持っていっていい?
ー麻也さんの食べたいもの
 教えて
「あー、みんなありがたいねえ~」
 諒はしみじみそう言っていたが、麻也は無邪気にスイカが食べたいと言った。
 すると諒はニヤリと笑い、
「メロンにしたら? スイカなら実家でも食べられそうじゃん」
「えー、そうだけど…スイカも食べたい」
「じゃあ2つともリクエストしたら。明日は麻也さんの退院祝いがメインなんだから」
「え? 他に何かあるの?」
「ん? 決起集会も兼ねてるからさ。大きな卵の」
 その頃、東京ドームは「ビッグ・エッグ」というニックネームでも呼ばれていたのだ。
 
 …次の日は、メンバー4人で、麻也たちの部屋で宴会だった。
「えっ? メロンは諒のリクエストだったの?」
 真樹と直人にえらく怒られた。
 

★BLロック王子小説24-25「ディスティニーアン ダーグラウンド」

2021-04-24 21:24:00 | ★ディスティニー24章
(ドームの情報が解禁になってたらねえ…)
 元気になった自分を嬉しそうに見ている目の前の恭一に、一番最初に東京ドームが決まったことを教えたいのに…
 情報が解禁になったら、一番先に知らせに来よう。
「やー、デートの最初に選んでくれたなんて嬉しいよ」
「うん…全部、恭一のおかげで解決できたから…」
 諒がいるので麻也はあまりはっきりと礼を言うことができなかった。
 嫌なことをすべて思い出してしまうから…
 それは恭一も諒も同じなのだろう。
 恭一の部下が持ってきた缶コーヒーを三人でひとくち飲むと、恭一は、
「でも、まだオフなんでしょ?」
「うん…でも俺ったら、残りわずかなのにメンバーで飲み会とか帰省とか詰め込んじゃって」
「麻也、それなら俺の方はいつでもいいよ」
「よくないよ。まずは恭一にごちそうしたいんだ」
 じゃあそれなら、と恭一は受けてくれたが…
 ギターはあまり見せてもらえなかった。
 諒がにらんでいたからである。
 そしてとうとう諒に首根っこを掴まれるようにして店を後にする羽目になってしまった…
 

★BLロック王子小説24-24「ディスティニーアン ダーグラウンド」

2021-04-17 22:11:00 | ★ディスティニー24章
 …とはいうものの…恭一の勤めている楽器店に着いてみると、麻也は例の一件があるので恭一にも他の人にも恥ずかしくなり、
「諒、恭一いるかのぞいてみて」
「は、はい?」
 いきなり麻也に言い付けられ驚いた諒だったが、言われるまま、長身をややかがめて、ポスターが貼ってあるガラス戸の奥をのぞき込んだ。
 二人とも、背中に道行く人たちの視線を感じて困ってしまうが…
「二人とも何やってんの? 早く入んなよ」
 店の中から恭一が慌てて出てきて、招き入れられた。
「ロックスターが先輩の子分にさせられてるの?」 
 恭一の言葉に三人で大笑いしてしまった。
「あれ? メシ行くの今日だったっけ?」
 二人に椅子をすすめてくれながら、恭一は尋ねてきた。
 恭一の様子は以前と同じで、麻也はすごく嬉しくなった。
「今日じゃないけど、デートならやっぱり楽器見たくなっちゃうじゃん。そしたら恭一の店になるじゃん」
 恭一は喜んでくれたが、麻也の横の諒はハラハラして、
「あ、でも、まだこの人リハビリ中なんで、今日はお手やわらかに…」
 すると、恭一はニヤりと笑い、
「いやあ、それはどうかなあ~実はいいギターが入ったんだよ…」
「あー、恭一さん、やめてえ~」
 

★BLロック王子小説24-23「ディスティニーアン ダーグラウンド」

2021-04-13 21:43:24 | ★ディスティニー24章
 久しぶりのデートで諒もよっぽど嬉しかったのだろうが、照れて諒をふりほどこうとする麻也も、自分でもびっくりするくらい元気になってしまった。
「諒、俺、今日楽器見たいかも…」
 すると、突然諒は真面目になり、
「麻也さん、それはちょっと…はりきり過ぎじゃない? 他の買い物より大変だし…」
 それで中をとって、恭一の店に行くことにした…
 晴れきった夏の昼下がりは本当に暑かったので、麻也と諒は、近所の行きつけのイタリアンレストランに飛び込んでしまった。
 暗めの店内で、諒はメニューを眺めながら、
「うーん、昼間だもんねえ。ワインの飲めない時間に…」
「まあ、俺も飲めないからお付き合いということで」
 麻也がそう言うと諒ははっとして、
「あ、そうだった。ごめーん」
「薬もそんなに長い期間にならないと思うから、そしたら赤ワイン飲もうよ、ね?」
 
 食事が済むと、さっさとタクシーに乗り込み、二人は久しぶりに恭一の店に向かった。
 

★BLロック王子小説24-22「ディスティニーアン ダーグラウンド」

2021-04-12 22:05:15 | ★ディスティニー24章
 電話の向こうの真樹は言いづらそうに、
ーいや、直人がチラっと言ってただけだけど…俺が言ってたってのはナイショね。
 麻也は、どうせすぐにわかるのに、と思ったが、真樹も心配で一人の胸にしまっておくのがつらかったのだろうと気づいた。
「それってどれくらいの期間なの? ってか、大丈夫なの、二人…」
ーまあ真面目な人たちだから遠距離でも頑張るみたいなんだよ。
「あー確かにあの二人ならやり遂げそうだよねえ」
ー宴会の時にでも、本人が教えてくれるんじゃないかな。
 そこで麻也は思い出した。
「真樹、急で悪いけど、宴会の次の日、俺、帰省しようと思ってるんだけど…一緒に帰んない?」
「いいねえ。兄貴にくっついて行くよ」
 おやじとおふくろに会いたいしね…と言ってくれた声が何気なさすぎて、麻也にはありがたかった。
 
 …翌々日は、麻也が外界
に慣れる訓練も兼ねたデートだったが…
「麻也たん、可愛い♪」
 麻也がお気に入りの白いTシャツに着換えた途端、諒が後ろから抱きついてきて離れない。