蝶絶!!男泣き・・ 其処にある黒くなった卵で混沌

中の人など・・・ゲフンゲフン

この世で何が起こっているのさ、今何が起こっているんだ

2006-11-08 11:12:31 | 禁じ手あり/TAK
 わたしの親友が死にました。自殺だそうです。首を吊ったのだそうです。ネタではありません。わたしも冗談だろうとは思いましたが、冗談ではありませんでした。「嘘だ! わたしをかつごうとしているのだ!」思っても、それは現実にはなりませんでした、冗談にはならなかった、実際そんな冗談があるわけなかろうに! しかるにどうしても信じられません、彼とは今度飲みに行く約束をしていたのだ、そしてわたしのことを話し、彼のことを話してもらい、互いの親交をより固く結ぶべく、酔いつぶれる予定だったのだ、酒を飲み、わたしのことを話し、彼のことを話してもらうというのは、わたしの決めたことでなく、彼がふと思いついたように決めたことでした、酒を飲みに行きましょうと、それで……わたしは彼のことを信頼し、彼もまたわたしのことを信頼してくれているようでした、色々の苦悩を一緒に真剣に悩んでくれたものです、メールでちょっと鬱々とした文章を書いたときには、その日のうちに「どうしたんですか」と電話をかけてきてくれたほどです、それで悩みの解決にはどうすればよいものか、何十分もの間、話をしたのでした、「TAKさんみたいに理論的な知識とかそういうのは全然ないので言えませんが」とは言っていたものの、その慰めはどんな理論よりも優秀で、どんな憐憫の情よりも心に癒えを与えてくれるものなのでした、親友という概念は意図的に築かれるものではなく、勝手に築かれてしまうものなのだと、わたしたちは色々話してのち、最後にこれを言い合って笑ったものでした、それで全てが終わってしまった、なんだというのだ、こんなことがあっていいのでしょうか、どうしてこんなことになったのでしょうか、あの電話が最後でした、我々が既に親友であることは明らかでした、お互いに納得していたのです、だからそれで心置きなく逝けると考えたのでしょうか、わたしのよき相談役のとあるおばさんによれば、彼は……これほどわたしによくしてくれ、信頼してくれた友人はいませんと、本当に知り合えてよかったと思いますと、あるとき嬉しそうに話していたのだそうです、ですがそれはどういうことでしょうか、だからそれで心置きなく逝けるということでしょうか、だとしたらそんなのは馬鹿げているじゃないか、そんなことがあってたまるか……だとしたらどうしてそういうことをするかもしれぬと一言つぶやきもしなかったのだ、何も知らせてくれなかったのだ、迷惑をかけるとでも思ったのか、わたしが逐一細かいことを考えてしまうから、そうしてそれがそのまま悩みに繋がってしまうから、それを知っていたからか、だったらわたしの性質など話さなければよかった、話さなければよかった! 畜生畜生、しかし実際はわたしのそのときの悩みに深く関係しているのに相違ないのだ、彼は正義感の強い人間だったから、わたしの苦しむのを黙って見てはいられなかったのかもしれぬ、解決してあげたいと思ってくれていたのは間違いないのです、だから電話であそこまで話してくれたのだ、だが彼はそれだけでは解決できないと思ったのではあるまいか、それとは結局わたしが我慢するということに帰結してしまうものだからだ、彼は電話を切ってのち、よく考えて、もっとちゃんとした「行動」でもって解決に導かねばならぬと考えたのではあるまいか、それで、わたしの悩みの種に直接「接触」したのではなかろうか、それで……彼もまた実のところ繊細な人間だったのだ、なんらかの問題が生じて、そこで身動きが取れなくなってしまったのかもしれぬ、大概の賢い男は受身的であるから、女ではなく男こそが本当のところデリケートなのであるから、彼もまた、やはり、なんというか……それとも、わたしには考えつかないような理由だったのかもしれぬ、もしかして信頼と親友との概念を、いわゆる絶対の誠実とかそういうたぐいのものの存在を、死でもって証明しようとしたのでしょうか、わたしには考えつかないような理由だったならばこれも間違っているのかもしれぬがもうわたしにはどんなことも考えられない、ただ疑問が残るだけだ、なぜなぜ歳の近い彼が、あのとき「あまりにも悩みすぎて、もう駄目だと思ってしまうとか、自分の才能や価値を否定してしまうとか、自分自身を拒否してしまうとか、そういうことだけは、どうかしないでください、それだけはお願いします」と電話越しに言ったとき、わたしはなんの疑いもなく素直に頷くほか何もできなかったのだ、馬鹿の見本のように宙をじっと見つめながら、「ああ」としか言えなかったのだ、ただ疑問ばかりがやってくる、どんなことを考えていたのだ、あれにはそういうことをするという意が、とめてくれとの、そういうことをしたいという衝動への些細な抵抗が隠されていたのか、わたしは口頭でやり取りするのは苦手だと言ったのにも拘わらず、ああ、ただ疑問ばかりがやってくる、もう三十時間も眠ることができていないのだ、どうしてくれると言うのだ、君のせいだぞ、なんでもいいから今すぐ謝罪してくれ。すぐに許す。そして約束を果たせ、合意は決して破られてはならぬはずじゃなかったか。それとだ、小説の感想をまだ聞かせてもらっていないぞ、君が読みたいと言ってきたのじゃないか、読んだのか、読んだんだな、今すぐ感想を聞かせてくれ今すぐ!

 なんでだよ……


 文章がどうとか上手下手とか矛盾とか馬鹿らしいとか段落とか読みにくいとか今はそんなことなどどうだっていい。どう思われようと構わぬ! ただ、みなさま、死ぬということは必ず何か痕跡を残すものであります、死んだらその死者はこの世という地獄から逃れ、幸せになれるのかもしれぬが、関係の深い人間が死という真実を認めざるを得なくなったとき、きっとその人間はそんなことなど考えてはくれません、わたしは身をもって知ったのですよ、茫然自失して、世界が灰色になって、脚が顎がガクガク震え、死者に関する記憶を無条件に想起してしまい、そして涙がずっと流れ続けるだけでした、確かに全然関係のない人が自殺しても心はあんまり痛みませんよ、ですが関係というものは誰しもあるはずなのだぞ、全ての人に哀れんでもらえると思ったら大間違いだ、少数でも我慢しろくそったれ、まったく自殺者どもは傲慢です、しかるに我々のように普通に生きている人間も同じくらいに傲慢なのであります、だからそれを果たしてしまう前に、傲慢に、自分勝手に打ち明けるべきだ、それを傲慢な我々は受け入れる、受け入れない人間など殺してしまえ、連中には知識がない、害悪だ、例のしらみだよ、逃げることは悪いことではない、だが逃げるなら生きたまま逃げるがいい、傲慢に、自分勝手に逃げてしまえ、弱いのも強いのも悪でないし正義でもないのだ、どんな生き方でもいい、生きたい、生きてさえいられれば、こんなこともわからずに我々をこの世に残すなんて許さねえ、厭だ、絶対に断るぞ、自殺するなら誰からも棄てられて誰にも受け入れられなくなってから死ねばいいのだ、自然からも、社会からも抹殺されて、自我が崩壊して、汚れて、頭がおかしくなって、もう残された唯一のものが肉体だけになってから死ね、人も自然もないところで、どうにかして死ね、そしてそんなことは自殺を考えるような輩になどできっこないのだ、そんな場所は見つけられっこないのだ、そして肉体が生き続けようと稼動している限り自殺はいつまでたっても有害なのだ、それは個々の意識が決めることであって、するとどうしたってこの社会では有害に帰着するのだ、論理だけならそうではない、だがしょせん社会に生きる者にはその論理を絶対的に信じることなどできるわけがないのだ、ただの意地っ張りだよ、かっこつけだ、ところで有害であるときは無害でもあるのだが、それが連中にはわからんのだ、だから生きればいいのだ、だから自殺を考える馬鹿ども、ちょっと本でも読め、しょせん人間などあさましいものだ、どんなに苦しくとも悲しくともいずれ慣れてしまうものなのだ、わたしはふざけた自殺者どものことを明日には忘れよう、自殺者であることを忘れてやる、生きた人間を思い続けよう、自分では無神論者だとか無宗教だとか言いながら、大概日本人は仏教徒なのであります、それを否定するだけの知恵と勇気があるかな、おい、だが自殺者ども、成仏してくださいなんて言わんぞ、人が生きている限りこの世に縛りつけられていればいい、ああ、わたしだって自殺をしようとしたことはあるのだ、だがわたしは人間だったのだ、畜生、ああもう何書いてんだか何書いたものだか全然わからねえよ! メチャクチャだ……気違いだ! 全て消えてしまえ! さあわたしは狂いました、だから全部ドッキリでしたと誰か言いなさい、早くしないと大変なことになるぞ。


 。゜(゜´Д`゜)゜。


 寝るぞ、断々固として寝る。わたしはどうやら大人ではないようです。こういうとき冷静でいられる大人というものは、まあ……格好がよいのかもしれませんけれども、実際どうだっていいです。わたしは結局、人でした。人でなければよかったです。彼の家に電話をかけて、ご愁傷様ですを言ってから寝るとします。たぶん、今月はもう書き込まないでしょう。今でも締切のことを忘れていないというのは、どうなんでしょうね。わかりません。本当に考える力がありません。遺族と思われた人々に、「(゜Д゜ )ハァ?」と言われるのを期待しています。そして彼が電話に出る。自分のこと以外で、これほどまでに心の底から一生懸命になったのは、恐らく初めてでしょうね。今までわたしのために一生懸命になってくれた人々のことを思うと、悔しくてなりませんね。今までもそうだったが。まあ、最悪の気分です。だからといって、聖人にはなりませぬ。わたしゃ単なる人間ですからな。
 そんじゃ。


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