K.M. Rodsmiths

自分で作ってしまえ (バンブーロッド、ランディングネットetc.)、ネコ、

完成…ではない、まだ仮巻き

2023年04月22日 | 日本刀

始めたら早いというか、雑というか…
選んだ目貫には厚みがあり、にその上で柄糸をねじって(実際は折って)クロスさせる。
それにより更に厚みが出ることは、試し巻をする前に予想していた。

既製品の柄を作った職人が、折り目を固定するためボンドを使っていて、その跡が残ってしまった。
巻き直すと位置が異なってくるので、ボンドの跡が表に出てしまう。
しばらく使ってるうちに取れると思うので、気にしない。

それより目貫の所だ、『また削り直しか? いや、全部巻いてみないと判断できない。』
そこで、菱紙も入れて、このまま使えるように全体を巻いて、刀にセットし何度も振った。
仮想の敵を何人も斬ったが、全く違和感なく握りの良いアクセントになっている。

こういうことが、モノ作りの面白さというか醍醐味だ。
ロッドビルドでは新たな試みをするとき、異なったテーパーで複数のブランク(陰打ちと私は言っている)を製作する。
色んな組み合わせから、思わぬ発見があるものだ。

ロッドの場合遊び道具だが、刀となると、下手をすればひどく危険な物となってしまう。
これを、頭に叩き込んだ上での制作作業となるのは言うまでもない。
古いボロボロの時代物の柄の分解、修復をいくつかやったが、先人の技には学ぶことが多い。

柄糸の下に菱紙を入れるが、紙ではなく鹿革を入れている。
サメの巻き方も、何枚か巻いて、革の縮み具合など、コツがつかめてきた。
でも、あまり深く踏み込むのはやめにして、拵え制作なんてこれを最後に、沼を回避した方が無難か…

思えば、40年近く前、ふと目にしたフライロッドとリールに心を奪われ、半ば魅入られたように誘い込まれた過去がある。
そして、気が付けば釣りだけではなく、ロッドビルダーになっていた。
ベテラン・フライフィッシャーとなった自分が、まあ満足できるロッドを作れるまでになってしまった。

このような運命的な出会いに近いものが、刀の肥後様式にあるような危険な匂いがする。
脇差を肥後に拵える作業が、ハイどうぞ言わんばかりに目の前にある。
すべてを思うように揃えるのは無理だが、柄前位なら何とか自分でできるぞ、とささやく声が…

悪いことに、昨年格安で手に入れた模造の小太刀が、中々の肥後だったりする。
これだから、まだまだ沼から這い上がれないということか…


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