カプアン通信

法律が変われば



今年はじめ、ちばわんいぬ親会100回記念のパンフレットを作ったとき
データを表にしていて、ある年を境に参加わんこの数が
がらっと変わったことに気がつきました。

初回(2005年5月)から33回(2007年12月)までは
だいたい毎回10頭前後から20頭くらいしか参加しておらず
イベントの名前も「プチ里親会」といってました。

それが34回(2008年1月)に42頭と倍増し
その後は徐々に増える一方で、100回直前の頃には
毎月100頭近い参加数になりました。

ちばわんいぬ親会の参加頭数だけでなく
千葉県の動物愛護センターの統計を見ても
2007年度(2007年4月~2008年3月)のデータに大きな変化があります。

ALIVEさんの全国動物行政アンケート結果報告書
平成16年度~平成21年度版のデータをもとに
千葉県動物愛護センターのデータをグラフ化してみました。



図1の紺色は毎年の犬の殺処分の頭数、水色は一般譲渡数を表わします。

これを見ると殺処分数はコンスタントに減少しています。
一般譲渡数は平成16年度~18年度は、ほとんど変化がありませんが、
19年度は前年に比べ500頭ほど増えています。

さらに違いが顕著なのは、猫の譲渡数です。
図2をご覧ください。



平成16年度~18年度は犬と同じく、年数十匹しか増加がありませんが
19年度は前年に比べ800匹以上、前年度の5倍以上譲渡されています。



図3は、犬と猫の合計殺処分数ですが
やはり19年度に、前年に比べ、がくっと変化が起こっています。


ここで何が起きたか。

それをお伝えする前に、環境省の資料で、
平成17年動物愛護管理法の改正概要を見つけましたので転載します。

1.動物愛護管理基本指針及び動物愛護管理推進計画の策定
(1)環境大臣は、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するため、
基本的な指針を定める。
(2)都道府県は当該指針に即して、動物の愛護及び管理に関する施策を推進
するための計画を定める。

2.動物取扱業の適正化
(1)「登録制」の導入
・ 従来の届出制を登録制に移行し、基準を満たさない業者について登録及び更新の拒否、
登録の取消し及び業務停止の命令措置を創設。遵守事項を守らない場合に勧告、
命令に従わない場合の罰則を創設。
・ 登録動物取扱業者について、氏名、登録番号等を記した標識の掲示の義務付け。
(2)「動物取扱責任者」の選任及び研修の義務付け
・ 事業所ごとに「動物取扱責任者」の選任を義務付け。
・ 「動物取扱責任者」に都道府県知事等が行う研修会受講を義務付け。
(3)動物取扱業の範囲の見直し
動物取扱業として、あらたにインターネットによる販売等の施設を持たない業を追加。
また、「動物触れ合い施設」が含まれることを明確化。

3.個体識別措置及び特定動物の飼養等規制の全国一律化
(1)特定動物(危険な動物)による危害等防止の徹底を図るため、その飼養又は
保管について全国一律の規制を導入。(従来は必要に応じた条例規制)
(2)政令で定める特定動物について、個体識別措置を義務付け。

4.動物を科学上の利用に供する場合の配慮
動物を科学上の利用に供する場合に、3R(代替法(Replacement)、
使用数削減(reduction)、苦痛の軽減(refinement))を推進し、動物の適切な利用に
配慮することを明記。(従来は、できる限り苦痛を与えないことのみ規定)

5.その他
(1)学校等における動物愛護の普及啓発:動物の愛護と適正な飼養に関する普及啓発を
推進するため、教育活動等が行われる場所の例示として、「学校、地域、家庭等」を明記。
(2)動物由来感染症の予防:動物の所有者等の責務規定として、「動物に起因する感染性の
疾病の予防のために必要な注意を払うよう努めること」を追加。

(3)犬・猫の引取り業務の委託先:都道府県知事等が実施する犬又は猫の引取りについて、
「動物の愛護を目的とする団体」が委託先になりうることを明記。

(4)罰則の強化(虐待:30万円→50万円)



ほとんどが、それほど大きな改革ではないと思いますが
私が注目したのは「その他の3」赤字部分です。

この改正法が施行されたのは平成18年(2006)6月です。
千葉県では以前から一般譲渡は行われてましたが
改正法施行の翌年度、平成19年(2007)4月に
センターの登録ボランティア譲渡制度が発足します。
そして、ちばわんも同年度の2008年1月に認可を受けて
センターから多くの犬猫を引き出すようになります。

これが、いぬ親会参加数や、千葉県の譲渡数の
平成19年度のデータに現れたのだと思います。


殺処分の減少の理由は、もちろん上記の法改正だけではありません。
マスコミの報道や、作家さんによる保護犬猫問題の書籍の出版
一般の人によるブログなど、インターネットの情報の拡散によって
犬猫処分問題が知られるようになったことが大きいです。

さらに法改正以外にも、この間、動物行政に大きな変化がありました。

平成19年には、動物愛護に熱心な政治家の働きかけで
「捕獲犬・所有者不明の犬猫は公示期限が即処分日でないこと。
可能なかぎり譲渡に努めること」という通知が
環境省から各自治体へ通達されました。

平成20年には、譲渡促進のために犬猫の3日分のえさ代と
譲渡の際のワクチン代が、地方交付税で拠出されることになりました。

平成21年度からは、犬猫の収容・譲渡対策施設整備に対して
国の補助がつくことになりました。

これらの総合的な影響で、たとえば千葉県の場合、図3に示したとおり
平成16年度から21年度の6年間で、殺処分数が1万頭も減少しています。
いちまんとう!ですよ!

これでもまだ、犬猫合計の処分数は
ひとつの自治体としては全国ワースト1位なんです。


千葉県も悪質ブリーダーが多いと聞いています。
来年、ブリーダーを取り締まるような法改正が行われれば
さらに、不幸な犬猫が減ることは間違いないと思っています。

今後、処分問題に関するパブリックコメントの募集も
おそらく行われることになると思います。

そのときの予行演習のためにも
ぜひ、今回のパブリックコメントの提出をお願いいたします。






◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
パブリックコメントへの参加をお願いします。


締め切りまであと16日!

↓こちらもご参照ください。
要綱・動物取扱業の適正化について(案)要旨
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/d/20110803

具体的な問題点
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/d/20110805

パブリックコメントの書き方
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/d/20110807

コメント一覧

カプアンパパ
Saoriさん
ご無沙汰しております。NYに行ってらしたんですね。

住所と名前だけ書く、署名集めと違って、
パブリックコメントは意見を伝えなければなりませんが
法改正の力になる、と信じています。

リンクありがとうございます。
カプアンパパ
すーさん
はじめまして。コメントありがとうございます。

わたしも、パブリックコメントのこと知らなかったんですよ。
これは大変だ!と思って、慌てて記事にしました。
ふだんから、動物行政に対しては意見がある人が多いと思います。こういう制度があることを知らないで、締め切りになってしまったら、がっかりされる人もいると思うんです。
リンクありがとうございます。
多くの人に知って欲しいです。
カプアンパパ
あずきママさん
千葉県の動物行政の担当者も処分数が多いことを気にしていて、なんとか減らそうと考えているはずです。

もともと法律で、飼えなくなった犬猫は自治体で引き取ること。
と決められているので困ってるでしょう。
熊本市など小さな自治体では、職員の努力で処分をほぼゼロにできたところもあります。

千葉県は猫の処分数がなかなか減らないので全体の処分数が9,000近いところまでありますが
野良猫のTNR活動がすすめば全体の処分数も減っていくはずです。
あと何年かで、かなり処分数は減ると思いますが、それを早めるためにも、法改正は必要だと思います。
カプアンパパ
はなこさん
ひとつの自治体なら、たしかに犬は3位で猫は1位なのですが
千葉県の場合、政令指定都市、中核市などの処分場が少ないため
富里に集中してしまっている。という事情があります。

猫の処分は、都道府県別にみると、愛知県、大阪府、福岡県など
都会をかかえた地域が非常に多いです。東京も多いです。
人の多いところは猫も多いのでしょう。

犬の場合、郊外の方が処分される犬が多いです。

千葉県の場合、首都圏であり、郊外でもあるので
猫も犬も処分が多くなってしまいます。

おっしゃるとおり、千葉県は猫とくに仔猫の持ち込みがとても多いですね。

繁殖家を厳しい認可制にしたうえで、繁殖業以外の犬猫は不妊・去勢を義務づけたら、おそらく犬猫処分はあっという間に、いまの2、3割のレベルまで減少するでしょうね。
Saori
http://blog.livedoor.jp/naturial/
いつもながら、わかりやすく、しかも的確に説明してくださってありがとうございます。
わたしもブログにリンクさせていただきました。

今度こそ、絶対に法改正してほしいです!
すー
パブリックコメント
http://den367.blog29.fc2.com/
カプアンパパさん、はじめまして。
いつもカプアンちゃん、アンジェロちゃんとのステキな暮らしっぷりを楽しく拝見させていただいてます。
パブリックコメントの件をカプアン通信で知り、わたしも今コメントを書いてます。
世の中には知らない事がいっぱいあるのだなーと、書きながら思い知らされています。
でも知ってしまったからには何もしないわけにはいきませんもんね。
事後報告になりますが、blogにリンクさせていただきました。よろしくお願いいたします。
あずきママ
カプアンパパさん、千葉県の犬猫処分数は、ワーストワンか、それに近いものなんですね。でも、平成19年度に環境省から各自治体への通達があって、処分数の減少と譲渡数の急増がグラフからよくわかります。

その後、国の補助も出て、譲渡対策がやりやすくなったことなど、その年がターニングポイントだったのかなと思います。
それと同時に、動物愛護団体さんの熱意があったからここまで来られたということですね。

まだまだ、千葉県はお恥ずかしい数字ですが、少しずつ処分数が減っていくといいと思います。飼い主やブリーダーなどの自覚が一番大事なんでしょうけど。

今、PDFで読んでいます。頭がボーっとしてきました。(笑
はなこ
http://blog.livedoor.jp/hapnapmm/
先日、「千葉県動物愛護推進協議会」というのを傍聴しました。

そこで頂いた資料でも
千葉の処分頭数がいかに多いかがわかりました。

資料によれば、
犬と猫の処分頭数の多い自治体は全く違うのですが
唯一、千葉だけが両方にランクインしています。
猫では全国1位。犬では3位。

猫の処分頭数が千葉の処分数全体を底上げしているようです。
そしてそれは、猫の持込数がダントツに多いからです。

難しいことかとも思いますが
捨てる側にも何らかのペナルティを課すような
システムも必要だと感じました。

誰がその子の一生に責任を持つのか
一頭一頭明確になればいいなと思います。


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