カプアン通信

犬を救う取り組み


●崖っぷち犬

およそ2年前、崖から救助された、いわゆる「崖っぷち犬」というわんこが
有名になりましたが、最近、このわんこのその後が報道されておりました。

ネットで調べると、地元の徳島新聞社が追跡取材を続けていることがわかりました。

それらの記事によると、2年前の救出後、犬を引き取りたいという申し出は
全国から109件寄せられたそうです。
最終的には、県内外から訪れた里親希望者11人のなかで抽選になり
地元の女性が里親になりました。
しかし、同時期に保護された、この犬の姉妹犬とみられるわんこには
当初、引き取り手がいませんでした。

ここ3年ほど、犬猫の里親探しの活動を見てきた経験から言えば
この抽選という方法が良かったのかどうか疑問です。
首都圏の保護ボランティアなら、アンケート回答と面接で
わんこにいちばんふさわしい里親さんを探すはずで、抽選はありえません。

里親さんになった女性は60代後半の年齢で、報道写真で見ると
リンリンと名付けられたわんこは、外飼いでした。
その後、2回脱走し、最近は半野生化してしまい、再度捕獲されましたが
里親さんの体調もあり、また愛護センターに戻されたとのことです。

特例により、殺処分はまぬがれ、人馴れのための訓練をしているとのことです。

保護犬、とくに放浪していた犬が人に慣れないのは、珍しくないことで
千葉WANなどでは、そういう犬のケアが数多く行われています。

センターではなく、保護ボランティアなどの家庭で、保護した方がいいのでは
とも思いますが、徳島県は、リンリンを殺処分防止のシンボルにしようと
考えているようです。


写真と本文は関係ありません。(写真:愛護センター・レポートより)


●殺処分ゼロへの挑戦

いま発売中の週刊誌「アエラ」2008.12.8号の巻頭特集で
「犬ビジネスの闇」という記事が掲載されています。


私が読んで、興味をひいたのは、悪質ブリーダーやペット店の悲惨な現実を
取材した冒頭記事ではなくて、その闇に対抗するような
「殺処分ゼロ熊本の挑戦」という記事でした。

取材によると、熊本市動物愛護センターの職員たちは
「殺処分ゼロを目指す」を目標にかかげ、
窓口で、ときには声を荒げ、無責任な飼い主と戦っているそうです。
犬の処分を依頼しにきた飼い主には、何度でもくいさがり
里親さがしをしてもらう、そして、場合によっては
飼い主を殺処分に立ち会わせるそうです。

そんな活動の結果、07年度は、引き取った犬は10年前の10分の1の52頭。
迷子犬などの保護をあわせた総収容頭数は610頭。そして
譲渡などに努めた結果、殺処分された犬は78頭だったそうです。
殺処分数がこれだけ少ないと、
1頭ずつ麻酔薬などで安楽死させることが可能になります。
熊本市動物愛護センターにあるガスによる殺処分機は2年以上動いていないそうです。

この記事が本当だとしたら、素晴らしい取り組みだと思います。

もうひとつ「心ある業者による里親さがしの取り組み」という記事も載ってました。
それは「ペットシティ」という会社で、社員が、センターへ出向き
もらい手が見つかりにくい雑種の成犬で、殺処分目前になってしまった犬を中心に
引きだしているそうです。そして、動物病院で健康チェックをし、トリミングサロンで洗い
しつけ教室で必要最低限のしつけをしたうえで、里親さんをさがします。
トリミングサロンで洗うのは、きれいなほうが里親が見つかりやすいのと
迷子犬だったとしたら、元々の姿がわかったほうが飼い主に見つけてもらいやすいからだそうです。
この試みは、いずれ全国約80店舗ではじめる計画だそうです。

こんな活動はすでに千葉WANなど、ボランティア団体で行われているものと
ほぼ同じものですが、こうした業者の活動は、企業イメージのアップに役立つかもしれません。

行政も企業も民間ボランティアも、知恵をだしあって
動物の殺処分を減らすことが、これから益々盛んになるよう期待しています。


写真と本文は関係ありません。(写真:愛護センター・レポートより)


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千葉WANからのお知らせ



第48回千葉WANプチ里親会in湘南のお知らせ
12月7日(日曜日)10:30~14:00
今年さいごの「千葉WANプチ里親会in湘南」が開催されます。
わんことの生活をお考えの方も、わんこに会いたい方も
どうぞお気軽にお越しください。(詳細は上記バナーをクリックしてください)




迷子捜索、ご協力のお願い
新しい家族と出会ったばかりの活くんが
横浜市瀬谷区東野付近から迷子になってしまいました。
神奈川県瀬谷区・旭区周辺にお住まいの方
活くんや似ているわんこを見かけましたら、上記写真をクリックして
捜索ポスターの連絡先まで、どうかご一報ください。

活くん以外にも、迷子になっている犬猫がたくさんいます。
上記写真にリンクしております。どうかご協力をお願いします。


チャリティフリマ品物ご寄附のお願い
2009年1月または2月に、第21回千葉WANチャリティフリマ開催を
予定しています。フリマで販売する品物のご寄附をお願いいたします。
詳しくはこちらをご覧ください→フリマ物資募集について

コメント一覧

カプアンパパ
殺処分減少を競って
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/
まろ父さま、いつもコメントありがとうございます。
ほんと、おっしゃるとおり、殺処分の減少を各自治体で競ってもらいたいですね。
また、新たな愛護センターの建設には、ガス処分機は作らないでもらいたいですね。機械で大量処分という発想が間違ってますし、税金の無駄です。
18年度の調査では、麻酔薬を使用した殺処分は、栃木県、埼玉県、さいたま市、千葉市(千葉県ではない)、神奈川県、横浜市、長野県、京都市、兵庫県、熊本市などで行われているそうです。
行政は、熊本市のように、がんばって引き取りを減らして、全ての自治体で、麻酔薬を使用した殺処分に切り替えてもらいたいです。
まろ父
カプアンパパさんこんにちは。
熊本市の取り組みがこれだけの成果を上げたのならば、他のセンターでもこの方法を採り入れる様にすれば良いのになぁ。何故連係(横の繋がり)ができないのでしょうか。お役所は悪しき習慣は右に習えのくせにね…。
来年度から愛護センターが無い県にも建設、既存の施設についても拡大・整備等を行っていくとの事で、助かる命が増えるのは嬉しい事です。ただ、勘違いバ○人間によって持ち込みを含め保護頭数が増加してしまわないか、ちょっと心配です。その辺りの啓蒙もしっかりやって欲しいですね。
カプアンパパ
ご来訪ありがとうございます。
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/
クミさま、おはようございます。ドイツからありがとうございます。
ドイツは若いころから好きな国ですが、行ったことはありません。
クミさんのブログを拝見して、ちょっとだけドイツに行った気分になりました。
そういえば、カプアン・カーはフォルクスワーゲンの小型車です。

カプアン通信は、つたないブログですがご紹介よろしくお願いいたします。
クミ
はじめまして!
http://kuminaess.blog.drecom.jp/
Mikiさんのミクシィ日記から来ました。
元千葉WAN預かりで、千葉WAN卒業犬マットの里親、現在ドイツ在住のクミです。
カプアンパパさんのブログ、私のブログで紹介させていただいてもいいでしょうか?
よろしくお願いします!

カプアンパパ
ほんと、そうですね
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/
ふー子さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
飼い主が、深く考えずに、わんこやにゃんこをセンターに処分の依頼してしまうのは
処分されるところを見ないから、人任せだからですね。
ほとんどのわんこ、にゃんこは処分される理由なんかありませんね。
『動物愛護』のセンターになるよう、我々も応援しないといけませんね。

鎌倉の里親会でまたお会いできるのを楽しみにしています。
ふー子
挑戦
熊本市動物愛護センターの活動素晴らしい取り組みですね。
『嫌な思いは人任せ!見ないが楽。』が根本にあると思うんです。
安楽死だってあるはずなのに・・・・

いつか、名前本来の『動物愛護』のセンターに、
全てのセンターがなるようになって欲しいですし、
皆でさせないといけないですね。
カプアンパパ
ありがとうございます。
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/
mikiさん、こんばんは。mikiさんに褒められると恥ずかしいです。
ネットのニュースや、雑誌の記事を要約しただけで、自分の考えを文章で伝えるのは、あまり得意ではないのです。
こんな文でよろしければどうぞお使いください。mixiは昔、誰かに招待されたのですが、当時持っていた携帯の機種が古かったので、入会できませんでした(携帯の登録が必要でした)。来年から招待がいらなくなるんですよね?
カプアンパパ
容疑者
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/
ホリーままさま、こんばんは。

私も、「ペットのかたき」と言っている容疑者のニュースには
困惑しています。
子どもの頃の飼い犬の死を、ずっと思っていたのだとすれば、本人の行動は全く肯定できませんが、もしかしたらどこかに優しさがある人物なのかな、という気はしてしまいます。動物保護団体を支援していたということで、保護ボランティア団体を変わった人たちと誤解されたりしたら迷惑です。

日本人は犬のかわいさだけに注目されがちですが、昔は、ラッシーとか、ベンジーとか、賢い役者犬がいろいろいました。
たしか、ベンジーは捨て犬の雑種犬だったはずです。
ぜひ、現代日本でも、カイくんや、富士丸くんや、柴丸くんといった、賢い有名犬をとおして、正しい人と犬の関係を知ってもらいたいですね。



カプアンパパ
安楽死
http://blog.goo.ne.jp/angelopapa/
猫の手さま、いつもコメントありがとうございます。
「飼い主に抱えてさせたまま、安楽死させる。」という話を
最初は、ブログの記事に書いたのですが
なんか、生々しいので消してしまいました。でも、
飼い主に責任を自覚してもらい、亡くなっていく犬にも過度の苦痛を与えないためには、心の感じられる措置だと思います。

本当は、安楽死処分も必要ないように、飼い主は終生飼育を義務にして、迷子犬もかならず返還できる体制がとれれば一番いいと思います。
しかし、まず、現在の機械仕掛けの大量殺戮を止めなければなりませんね。
ガス処分機なんて、過去の遺物になる日が早くこないかと思います。



miki
カプアンパパさんの文章は、本当に分かりやすくて
勉強になります!!
mixiの方で、この文章を紹介させて頂いても
良いでしょうか?
ホリーまま
http://blog.goo.ne.jp/holymama/
私もこのことについてはいつ書こうか、と思っていた所でした~。

でも崖っぷち犬リンリンちゃんの現在が、そうなっているとは知りませんでした。なんとも譲渡時の詰めの甘さが露呈した感じですね。あのフィーバーぶりで、あわててしまったのでしょう。

今どうも居心地悪いのが、元厚生次官殺傷容疑者の「昔ペットを保健所で殺されて」云々、です。容疑者は一時ボラ活動もしていたそうですが、殺処分と年金関係は結びつきませんしね。
あの夕方の愛護センターのニュースを見て、愛犬を思い出したのかもしれません。

雑誌「クレア」の犬特集号も、女性誌らしからぬ記事を組んでくれますが、あの富士丸君が取材を受けたことがきっかけで、「ただのいぬ。」プロジェクトを応援するようです。

この1ヶ月、こういった話題を目にすることが多くなりました。知っているのは関心のある人だけなので、知らない人達に、テレビ、新聞、有名人(犬)を、悪い言い方ですが、利用してどんどん認知してもらいたいと思います。

熊本市の対応はごくごく当然のように思えます。今までのやり方を変える勇気が必要ですね。大拍手!!
(長文失礼しました)


猫の手
読みました
http://blog.goo.ne.jp/10diana01-roro-mook
私も熊本県の取り組み、すばらしいと思いました。
「嫌われる行政になろう」というのがすごいです。
持ち込んだ人への厳しい態度。当然のことだと思います。
お金さえ出せば、後はお願いなんてとんでもないですよね。
熊本は、最悪の安楽死に至る場合でも、
飼い主の最後の責任として、腕の中で注射するというやり方。
犬にとっては少しでも安心できる温かい場所のはずですし、飼い主には命の重さを感じてほしい。
二度とペットは飼わない、その気持ちを深く刻んでほしいです。
2,3日前の朝日新聞でも、国が半減に向けてようやく腰を上げるとか。
千葉ワンなどの活動が認知され、少しずつ実を結び始めてきたのならうれしいですね。

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