第95回全国高校野球選手権大会 予選展望4
【滋賀】(参加53校)
夏にかならず力発揮する本命・近江。鳴りを潜める北大津の動向がカギ握る。
◎ 近江
〇 比叡山 八幡工
△ 滋賀学園
▲ 北大津 八幡商 彦根東
夏に向けて投手陣の軸が出来た近江が一番手。もともと夏は無類の強さを発揮する近江だが、今年は新チームから投手陣の軸が作れず苦戦を強いられていた。しかし『勝負にいった』(多賀監督)春に菊林が完全に一本立ち。投手陣に太い柱が出来て、安定した戦いぶりができる容認なってきた。もとより攻撃力は高く、5年ぶりの夏を狙う体制は整った。いつもの年であれば”2強”を形成する北大津だが、今年はやや出足が鈍い印象。戦力的に突出したところはないが、『むしろこういう年の方がやりがいがある』と、宮崎監督は十分に『勝算あり』の気配。チームは”バランス型”で、総合力勝負だ。春準Vに輝いた八幡工が、初めての甲子園にチャレンジする。左腕・岩佐は安定感のあるピッチングが持ち味で、やや迫力には欠ける打線も、春は勝負どころで不思議とタイムリーが出た。シードを取って上位まで強豪と対戦を避けられるのも好材料となる。比叡山のエース・林は、県内最速を誇る速球派。波に乗って名門復活を遂げたい。好素材の選手を集めてチーム作りを進める滋賀学園は、初出場の後は鳴りを潜めている。優勝へは、何よりもチームの結束が最も大切。反対に結束では他校に負けていない彦根東が、初めての夏に向かって突進する。
【京都】(参加78校)
剛腕・榎本で夏の初出場狙う京都翔英。豊富な練習量に裏打ちされた力で対抗、龍谷大平安。
◎ 龍谷大平安
〇 鳥羽 京都翔英
△ 福知山成美 立命館宇治
▲ 京都成章 北嵯峨
京都の夏はとにかく暑い。しかし近年、県大会はもっと熱い。今年も有力校は両手では足りないほどの数が揃い、虚々実々の駆け引きを展開している。秋の近畿大会で初Vを飾り、センバツにも出場した京都翔英だが、この時期に来てセンバツ前の不祥事が発覚。何やらきな臭いにおいも感じさせる”面白くない出来事”だが、戦力では勝るナインがこの空気をはねのけて春夏連続出場を掴み取れるか。エースで4番、”背番号18”で選抜の話題をさらった榎本がまさにチームの大黒柱。秋の近畿大会で見せたチームの総合力を見せれば夏の甲子園切符も掴み取れる可能性は大だが、その雰囲気づくりができるかどうか。本命には龍谷大平安の名前があがる。選抜以降一時期チームは下降線をたどったようだが、逆にそこで一度落としたことが夏への弾みになりそう。選抜で好投したエースの福岡は、相手に的を絞らせない投球ができ、失点を計算できる。主砲が爆発せずなかなか大量得点が望めない打線だが、夏の予選の中で成長することは、原田監督が一番よく知っているところだ。新グラウンドで練習量もばっちりで、やはり目が離せない”古都の盟主”だ。昨年秋・春を制した鳥羽が、今年も春を制した。昨年は勝負をかけた夏に悔しい敗れ方をしたが、今年はその轍は踏まないと意気盛ん。目の上のたんこぶで選抜出場の2校が控えるが、夏の舞台でしっかりと勝ちきって、00年以来の聖地帰還を果たしたいところだ。この3チームが軸に展開される大会になると思われるが、追ってくるチームも数多い。福知山成美はあの甲子園のヒーロー・太田幸司氏(三沢⇒近鉄)の長男・太田が主将を務めるチーム。甲子園出場となれば、マスコミが黙っているはずもない大注目株だ。立命館宇治、京都成章は混戦の中に活路を見出したい。春準優勝の北嵯峨は、久しぶりの復活がなるか。エース小森の投球は一見の価値ありだ。
【大阪】(参加179校)
宿命の対決再び。大阪桐蔭と履正社。実績十分の両校、果たしてどっちが上なんだ!
◎ 大阪桐蔭
〇 履正社
△ 金光大阪 上宮太子
▲ 大商大堺 東大阪大柏原
”ナニワの夏”は、今年も宿命の対決で決まる!昨年の春夏連覇、大阪桐蔭にチャレンジするのは春の近畿大会で圧勝した履正社。春は2年連続で選抜にアベック出場、2強の力を見せつけているが、夏のキップはたったの1枚。本当に厳しいこの【全国屈指】の戦いを制するのはどちらか。注目はこの一点に集約されるだろう。大阪桐蔭は、夏に向けて鳴りを潜めている状態だ。主将の森捕手を中心とした打線は、今でも全国屈指の破壊力を持つ。特にセンバツの時は戦列を離れていた近田がラインアップに戻り、グッと締まった感じがする。打線だけで言えば昨年の春夏連覇のチームとそん色ないと言え、ライバル対決を勝つためには、どうしても投手陣の整備が必要だ。エース葛川の復調が待たれるが、昨年と比較してしまうとやはり『3割落ち』の状態は否めない。名将・西谷監督の”秘策”はいかに。今年は大阪桐蔭を”追いかける”というよりも、対等以上の気持ちで戦えることは、履正社にとっては非常に優位なことだろう。というのも、秋、春の大阪府大会でライバルに連勝。昨年まで持っていた苦手意識は、今年に限っては全くないといってもいいからだ。選抜ではふあふあした初日の試合でまさかの完封負けを食らい甲子園を去ったが、元々持っている力はそんなものではない。そんな悔しさをぶつけたのが春の近畿大会だった。奈良大付属、鳥羽、神戸国際という強豪相手に堂々と四つに組んで寄り切る野球を見せ、『履正社完全復活』を強く印象付けた。阪本、東野という失点の計算できる投手に本来のエース東も復調。3本柱で長い府大会も安定して乗り切れる体制を整えた。あとは、『敗れるときはいつも打線が抑えられたとき』というありがたくない評判を払しょくする強打が出れば万全。さて、『3強』ともいえるPLは、今年も不祥事に揺れて夏の大会の出場はアウト。”2強盤石”の中でスキをうかがうのは、金光大阪、上宮太子、大商大堺らの面々。なかなか2強の壁は破れそうにないが、可能性を信じて突き進む。意外なチームが勝ち残るには試練が多すぎる大阪大会だが、公立校をはじめ”彗星”の出現に期待する。
【兵庫】(参加162校)
神戸国際大付属が、厚い壁をついに破る?!。そうはさせじと立ちはだかる報徳のエース・乾。
◎ 神戸国際大付属
〇 報徳学園
△ 東洋大姫路 滝川二 社
▲ 明石商 関西学院 加古川北
『悲願の夏初出場』に向けて、今年こそを誓う神戸国際大付が戦力を充実させてきた。春の県大会では、選抜帰りの報徳と真っ向勝負を挑み快勝。すっかり自信をつけている。近畿大会でも決勝に進出して履正社とのガチンコを体感。『悲願の夏』はもう手の届くところまで来ている感じだ。チームの売りは何と言っても強力打線。どんな投手からも『最低5点は取れる』と自信をみなぎらせる打線は、特に俊足巧打の1・2番コンビである南・渡辺が注目される。報徳とは1勝1敗。決着をつける夏の戦いだ。迎え撃つ報徳は、エース乾の安定感が抜群。選抜では優勝候補に挙がったほどの力を持ち、打線が援護できれば春夏連続の甲子園が近づく。『近くて遠い』甲子園に、今年は春夏とも登場するつもりだ。東洋大姫路、滝川二、育英らの常連組は、今年も選手の質は高く十分に狙える位置にチーム力をアップしている。二年連続で夏の決勝の舞台を踏んでいる加古川北は、『三度目の正直』を狙う。注目の左腕・長谷を前面に、関西学院もいい位置に付けた。二本柱の投手陣が自慢の社、狭間監督がチームを鍛え上げている明石商も圏内。こう見ると、どこが甲子園に出ても十分に戦えるチームが目白押し。二強にとっても息の抜けない大激戦が繰り広げられる予感がする。
【奈良】(参加43校)
ついに2強に風穴を開ける? 実力上位の奈良大付属が、甲子園を掴み取る日?!
◎ 智弁学園
〇 奈良大付属 天理
△ 大和広陵 橿原学院
▲ 関西中央
70年代に入ってから、夏の奈良の覇権は郡山の4度を抜かすと、天理(23回)と智弁(15回)に独占されている。近年でも、この2強対決は常に”奈良大会の華”になっており、今年もその図式は変わらない・・・・と思われる。しかし、今年は追ってくるチームの追い足がいつになく鋭く感じられ、ひょとするとこの独占状態に風穴があく?かも知れない。 さて、その2強だが、今年は智弁学園がリードする。両校ともに選抜出場はならず夏にすべてをかけるが、智弁は打線で勝負をかける。その凄まじい振りは、タレントの揃っていた昨年のチームよりも明らかに上。甲子園での上位進出を視野に入れる。あとは2年生中心のチームが、追い込まれた時にどのくらい開き直って野球ができるかだろう。天理も相変わらずの大型チームで夏に挑む。エース安本は十分に”好投手”のカテゴリーに属するが、指揮官としては『もう一つ何かが欲しい』というのが本音。ライバル対決になった時、近年は試合の流れを掴んだ方が意外な大差で勝つことが多い。これは、両校の『やや試合ぶりが淡泊』というウィークポイントにもつながることなので、そのあたりをどう克服できているか。 2強以外で近年力をグングン伸ばしてきたのが、奈良大付。去年は秋優勝、春準優勝の実績を残したが夏はあと一歩で聖地には届かなかった。今年は春優勝。いよいよ甲子園に向けて、『機は熟した』ともいえる。”2強時代”に終止符を打って新たな”3強時代”を構築するためには、なんとしても2強を崩して【夏の覇権】を取るしかない。野球自体はオーソドックスなもの。それだけに、2強相手には序盤で先制点を挙げて、相手の『淡白さ』を出させる戦いをしたい。評判の高い田中監督の『監督力』が問われる夏になる。センバツ出場の大和郡山は、評判の好投手・立田の出来がカギ。選抜で図らずも露呈してしまった『立田コケたら・・・・』というありがたくない評価を払しょくしたい。そして奈良大付属とともに近年注目されている関西中央は、今年はどれだけ2強に近づけるか。橿原学院、郡山らとともに『遠い遠い』聖地に向かって一歩を踏み出したい。
【和歌山】(参加39校)
まだまだ智弁和歌山時代は続く。オレンジ軍団、ついに前人未到のV9達成か。
◎ 智弁和歌山
〇 市和歌山 箕島
△ 近大新宮 伊都
▲ 南部 那賀
オレンジ軍団・智弁和歌山は、元祖の巨人が成し遂げたV9という偉業に臨む。『野球どころ』と言われた和歌山でのこの偉業。高嶋監督しか成し得ないものであろう。そして今年も、智弁和歌山が他校を大きくリードする『いつもの展開』になりそうな気配だ。昨年からのエース・吉川は、春まではほとんど県内の相手には登板することがなかった。しかし県外の練習試合では名うての強打線を相手に一歩も引かない投球をしばしば見せており、今夏も『難攻不落のエース』になりそうだ。打線は2000年前後の『猛爆打線』のイメージが強いため、どうしても『小粒』と言われるが、それでも1日1000本の振り込みで鍛えてきた破壊力は他校とは比較にならない。シードからの登場で大会序盤に強豪との対戦が組まれないのもいつものこと。高嶋監督の頭の中には、『甲子園でどう戦うか』ということしか見えていないだろう。 懐かしい名前が、和歌山県高校野球界に帰ってきた。【箕島・尾藤監督】だ。一昨年亡くなったあの尾藤監督の息子であり箕島OBの尾藤強氏が母校の監督に就任し、春の県大会で優勝を飾った。まだまだその采配は未知数であるものの、オールドファンを中心として、地元はこのニュースに沸き返っている。『夢よもう一度』の合言葉で、この新監督を全面的にバックアップして『打倒智弁』を果たしたい。近年強豪の地位を確立した市和歌山は、今年も戦力が充実。秋春ともに智弁和歌山に完敗していて、やや苦手意識を持っているのが現状だが、『勝負の夏』に一発逆転を狙っている。春準Vの近大新宮、伝統校の伊都、南部、そして例年夏にはしっかり仕上げてくる中などが後を追う展開だが、やはり智弁和歌山の9連覇は、ほぼ『鉄板』と言える状況に変わりはない。
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