SPORTS! SPORTS! 寝てもさめても

16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

選抜出場校 こんなこと思い出してしまいました2020 その3

2020年02月10日 | 高校野球

≪選抜出場校の思い出 3≫

関東代表  健大高崎(群馬)     4度目(3年ぶり)
                   夏3度出場 甲子園通算 13勝6敗      

秋の関東大会で優勝を飾り3年ぶりに選抜の舞台に戻ってくる健大高崎。ワタシの印象では、「空白期間が長かったなあ」という事がまず思い浮ぶほど、毎年甲子園に登場しなければ何かケツの座りが悪いというほどの存在になっています。下記の前回出場時の記事にも書いたとおり、何しろ”機動破壊”という言葉自体がセンセーショナルに頭からこびりついて離れないワードになっており、何か関東のチームの中でもかなり「特別な存在」となっている健大高崎。しかしここ3年程、甲子園をつかみかけながら逃し続け、ついにはその機動破壊の看板もやや下ろしかけるようなチームの変革を行っている最中だと聞きます。確かに秋の関東大会、明治神宮大会で見た健大高崎は、投打のバランスを軸にオーソドックスに戦っているような印象を受けました。果たしてこの選抜、どんなチームの姿で甲子園に登場することでしょう。 

前回の記事 ⇒

そして前橋育英とともに、強豪県となった群馬の盟主に躍り出たのが、この健大高崎です。すい星のごとく登場してきたのが2011年夏。デビューの年から、健大高崎はその輝きを甲子園で見せていました。初戦の名門・今治西戦で9回逆転勝ちを収めて鮮烈なデビューを飾ると、2回戦では横浜と対戦。この年の横浜。県大会で選抜優勝校である東海大相模を完璧な野球で下し、この大会でも堂々の優勝候補に名前を連ねるチームでした。関東にいる人間として、いつも関東大会等で見ている試合では、横浜や東海大相模などと対戦する北関東勢は、どこか気後れがあるのか普段の力を出せないままズルズルと強豪のオーラに飲み込まれ、結局完敗に終わってしまうということが多く、この試合もそういうイメージで試合を見ていました。しかしながら、この大会で初めて見る『健大高崎』という新興チームは、強豪の横浜に対して全くおくすることなく戦いを挑み、9回サヨナラ負けをしたものの、互角以上の戦いを見せてくれました。この戦いぶりは、ワタシにとってはかなりの衝撃でした。なんとなく関東における高校野球の流れが変わりそうな予感というものを、ほのかに感じることができる試合でした。
『おっ健大高崎って、注目していいチームだな』そんなことを思いました。そして翌年の選抜。健大高崎は、前年の勢いそのままに、選抜に出場を果たしました。そしてそのセンバツで、ついに健大高崎の代名詞である【機動破壊】が甲子園の舞台で存分に発揮されるのです。とにかく、塁に出たらランナーは『次の塁を狙う』ということが徹底されていて、選抜の大舞台で天理、神村学園などの強豪を連破して4強に進出。準決勝でも春夏連覇を達成する大阪桐蔭に対して果敢に挑み、終盤まで互角の勝負を展開しました。この選抜の活躍で、わずか春1回、夏1回の甲子園出場歴にもかかわらず、健大高崎は『野球が面白い』ということで全国のファンの脳裏に深く刻み込まれ、『次の全国制覇候補』として認識されていったのです。その後も健大高崎の躍進はすさまじく、5回の甲子園ではすべての大会で初戦突破。そして初出場時を除いては、必ず1大会で2勝以上を挙げています。チームの特徴は、攻めては”機動破壊”で相手を徹底的に痛めつけ、守っては必ず継投策を取って投手を早めに変えていくことで、相手に的を絞らせずトータルで失点を防いでいくという策を取ります。とにかく、勝つためのメソッドがしっかりしていて、選手たちはしっかりとベンチの意図を理解して動く、総合力の高いチーム。県内のライバル、前橋育英と桐生第一に全国制覇の先を越されていますが、今後『健大高崎の天下取り』はどんどん加速していくことと思われます。ストライプのユニフォームが輝く瞬間は、いったいいつになるのでしょうか。 

 

関東代表   桐生第一 (群馬)     6度目(4年ぶり)
                    夏9度出場 甲子園通算 17勝13敗  優勝1回    

2010年代に入ってからというもの、関東の高校野球界でひときわ光り続ける群馬県勢。かつてなかなか上位にいけなかったというのは昔の話で、今や常に関東の覇権争いの中心にいるといってもいいでしょう。しかしその中心にいるのは、両者が強烈なライバル意識をむき出しにする2強の前橋育英と健大高崎。その前、90年代~00年代にかけて県高校野球界の中心に座り99年には全国制覇も達成した桐生第一は、その存在感を徐々に薄くしていました。「3強」の一角に座ってもいいはずの桐生第一でしたが、実際は2強の後塵を拝して悔しい思いを続け、ついには野球部中興の祖ともいうべき福田監督もチームを去るという事になりました。新時代を迎えて桐生第一が華麗に復活するのか、それとも。。。

前回の記事 ⇒

桐生第一がセンセーショナルに高校野球の舞台に登場したのは91年センバツ。ホッカホカの初出場校が、いきなり8強に進出して、世間をあっと驚かせました。それまでの群馬県高校野球界は、公立校優位だったものを、桐生第一が登場したことでガラッとその流れを変えるきっかけになりました。桐生第一はそれまでの群馬県にはない『大型チーム』を毎年作り上げて、『全国でもしっかり戦える』チーム作りを押し進めました。それが結実したのが99年。安定感抜群のエース正田を軸に『負けない野球』を押し進めたチームは大会に入ってからグングンと力を伸ばし、ついには群馬県勢初の全国制覇を達成することになりました。相手好投手に抑え込まれながらじっと好機を待ち勝ちをもぎ取った初戦の比叡山戦、3回戦の静岡戦、準決勝の樟南戦などは、このチームの真骨頂でした。そして決勝は、すべての呪縛から解き放たれたように打つは打つはの大花火!お祭りのような試合でした。埼玉・上尾高校出身の福田監督は、チーム作りはまず投手陣を含めた守りからの哲学でしっかりとしたチーム作りを進めていき、そのベースの上に大型選手ならではのパワーある攻撃力をミックスさせて、甲子園で群馬県勢がそれまでなし得なかった偉業を成し遂げました。そしてその後の群馬県勢は、有力チームが次から次から登場。今や関東屈指の激戦地として、レベルの高い戦いを繰り広げています。県勢2度目の全国制覇を達成した前橋育英や、機動破壊で名をはせる健大高崎など、強豪チームの宝庫です。それもこれも、桐生第一がその扉を開いたことから始まっている歴史です。桐生高校の稲川監督や、前橋工、高崎商、前橋商が作ってきた『公立の歴史』の上に絶妙な味付けをした『私立の強豪たち』が、群馬の隆盛の主役となっています。

 

関東代表  山梨学院 (山梨)        4度目(2年連続) 
                       夏9度出場  甲子園通算4勝12敗 

2年連続で難関の関東大会を勝ち抜いて選抜までたどり着いた山梨学院。昨年も書いたことですが、どうもこのチーム、甲子園で力を出し切れません。まだ全国制覇の経験がない山梨県にあって、東海大甲府とともに全国制覇の期待を県民からは寄せられていると思いますが、どうしても「快進撃」を見せるまでには至っていませんね。このところ関東大会ではかなりその持っている力を発揮することが出来るようになってきて、チームが少し脱皮しかかっているという事は言えるかもしれません。常に大型選手を揃え、勝つときは豪快な勝ち方をしますが、プラン通りに事が運ばない時の試合の中での修正力が、一番問われているチームなのかもしれません。全国優勝、準優勝の輝ける経験を持つ吉田監督に、このところはあの元横浜高校の部長である小倉氏もチーム作りに関わっているという事で、そろそろ結果が欲しい時期です。なにしろ13度甲子園に出場してわずか4勝、1大会2勝を挙げたことがないというのは驚きです。甲子園に強い東海大甲府を上回るような快進撃を、期待してもいいのでしょうか。


昨年の記事 ⇒
5年ぶりとなった山梨学院の選抜出場。しかし夏は3年連続で聖地の土を踏んでいるので、久しぶりという感じは全くありません。山梨学院といえば現在は清峰で一時代を築いた吉田監督が13年から率いていますが、その前はどうも監督の交代が頻繁なチームというイメージがありますね。山梨では東海大甲府の大八木・村中監督、甲府工の原監督が名監督として有名ですが、そのほかのチームは頻繁に監督が交代するというイメージがワタシの中にあります。この山梨学院と日本航空という強豪に成長した2チームは、まさに「野球強化」に特化した学校というイメージですが、何足腰が定まらない感じがしていました。しかし吉田監督を招聘した山梨学院、そこからはしっかりとした強化ができているようで、このところ東海大甲府とのライバル対決でも一歩先を行っているという感じがします。甲子園での戦い方で印象に残っていることはほとんどありません。本格派の投手に強打というチームカラーはいつも同じなのですが、甲子園での戦いぶりでは「崩れてしまう」というイメージは強いですね。なし崩し的に終盤相手に得点を重ねられてしまうという戦い方を、甲子園で何度も見たというイメージがあったりするので、粘りを身につけるともっと戦えるのではないかとみています。関東大会などでもよくこのチームの戦いを見ることがありますが、その時は実にしっかりとした野球を展開するイメージもあったりするので、まだまだ甲子園では『よそ行きの野球』をやってしまっているという事なのでしょうか。その点ライバルの東海大甲府は、しっかりと甲子園でも自分たちの野球をやることができていると感じますがね。甲子園での戦い方を熟知している吉田監督ですから、そろそろブレークしてくるかもしれません。まだまだ「良くも悪くもクラブチームのような」風情のある、チームカラーが定まっていないチームのように感じますので、これからどんな色に染まっていくのか、楽しみでもありますね。

 

(つづく)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 選抜出場校 こんなこと思い... | トップ | 名物記者の逝去に触れて »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

高校野球」カテゴリの最新記事