株式会社ANの社長ブログ

株式会社AN社長向山かおりです。ナチュラルワイン×沖縄料理飲食店を経営。経営や社会課題に関する情報を発信します。

【株式会社AN】日本の食材でコラボレート「Bistro Avanti」のシェフ金子高也さんとのトークイベントから感じたこと

2022-07-17 17:55:38 | 日記
 

株式会社AN代表取締役の向山かおりです。

前回のブログでは、ネパールのカトマンズにコーヒーの樹を植樹する「BIKAS COFFEE」のクラウドファンディングについてご紹介しました。

生産や流通の過程で適切なものを選択することによって守っていける、未来の豊かな地球環境。

さらに、生産者の方と一緒に作っていくような、持続可能な事業のあり方を考えることができました。

そして当社は、6月23日(木)、Bistro Avanti(ビストロ アヴァンティ)のシェフとして活躍されている金子高也さんとのコラボレート企画として、トークイベントを実施。

今回の記事では、金子さんに伺ったお話を通して感じたことを書いていきます。

◇金子高也さんとのコラボレートの理由

今や、どの時間帯に訪れても多くの人で賑わう地域の大人気店「Bistro Avanti」。

なんとオープンは、外食自粛ブームの真っ只中である2020年の6月だったそうです。

これまで金子さんが経験されてきたのは、地域に愛される料理屋や、かの人気番組「料理の鉄人」でおなじみの坂井宏行氏の高級フレンチ店やビストロ、公益法人ヤマト福祉財団の運営するベーカリー&カフェなど。

多様なシチュエーションでシェフやパティシエとして腕を磨かれてきた、経験豊富で実力派の料理人です。

そんな金子さんが責任者かつシェフを務めるBistro Avantiは、香川県の地域の食品をレシピに取り入れたり、有機野菜を農家の方々から直接仕入れたり、土曜はマルシェを開いたり等、生産者の方と繋がりを作りながら、こだわりの食材を使っていらっしゃいます。

そのため、当初、私たちは金子さんが地産地消やSDGsを意図して経営されているのではないかと考えていたのですが、この予想は良い意味で大きく裏切られることになりました。

◇金子高也さんの大切にされていることとは

金子さんは「いいもの」を作ろう、お客様に届けよう、と追求しただけだったと仰ったのです。

その結果として、自ずとSDGsにも繋がっていたかもしれない、ということでした。

まず、Bistro Avantiは、ずばり「女性」を意識しているそうです。 女性の目線で、女性が食べやすく、女性が喜ぶようなお店づくりをされているのだと言います。

確かに、ランチに訪れた時も、来店されていたのは9割が女性のお客様。 女性の場合は特に、知人にお店を紹介したり、クチコミを広げたり、といったシーンも想像できますね。

ニーズを掴み、野菜のこだわりや女性好みの味付けなど、徹底したお客様目線を大切にされていることが、人気の秘訣なのかもしれません。

そして、もう一つ意識されている点は、毎日食べても飽きずに美味しく楽しめるということ。

ビストロとは、フランスでいうところの定食屋さんのようなものだそうです。 Bistro Avantiも、街の大衆向けのお店をイメージして、フランクに訪れられるよう心がけていらっしゃるのだとか。

さらに、来店されるお客様はほとんどが日本人なので、敢えて「洋風だけど洋風じゃない」ようなメニューにされていると言います。 香川県産の燻製、味噌や油などの和風調味料も使って、日本人が毎日食べることを考えた味付けに仕上げたそうです。

フレンチに和風を取り入れたり、気軽に楽しめるカフェメニューを考案したり、お店やシーンに合わせた食材を選んだりなど、過去の経験から、金子さんが各所で学んで来られた知識や技能が存分に活かされているのですね。

やはり、どこまでもお客様目線で考えていらっしゃるのだなと気がつきました。

◇金子高也さんのこれからの挑戦

これまで、数多くの挑戦と逆境を乗り越えてきた金子さん。

当てもなく伝てもない中、「このまま田舎の狭いコミュニティで終わってもいいのだろうか?」という想いを抱いて上京されたこと。

縁があって、料理人を志したきっかけである坂井宏行氏のレストランで働けたこと。 パティシエ枠で採用されたところから、シェフを任されるようになったものの、東日本大震災の余波で閉店となってしまったこと。 その後、カフェで障がい者の方々とも共に仕事をし、スタッフ同士のコミュニケーションなど料理以外の部分も学べたこと。 雰囲気もよく安定した職場であったが、またも坂井宏行氏の、ビストロの新規オープンに伴って声がかかり、悩んだ末にビストロで挑戦する道を選んだこと。 出張でオーストラリアにも赴き、シドニーのオペラハウスでのイベントへの初出店など貴重な体験を得たこと。 Bistro Avantiの開店準備を進めていた矢先に、コロナ禍に見舞われたこと。 今はパティシエ経験を活かした工夫として、プリンやカヌレ作りにも力を入れていること。

そして現在。さらにここから先の将来。 金子さんは「まだまだやりたいことがたくさんある」と仰っていました。

香川県産のものを取り入れているのは、金子さんご自身の故郷であるから。

こだわりのオリーブ牛やオリーブ卵、ハモを使った料理、味噌やひまわりオイルの活用など。 地元の「いいもの」を知ってもらいたいという思いがあり、お客様と生産者を繋ぐ「間」は自分であると考えていらっしゃるそうです。

実際、金子さんは地域の生産者の方の元に足を運ばれていらっしゃるのだとか。 信頼関係を構築すると同時に、ご自身の目で見て、食べてみて、話を聞いて、発見があるのだといいます。

日本の生産物を使うことで、農業や漁業など、第一次産業に携わる方を応援する一助となれば、とお話されていました。

Bistro Avantiのメニューが誕生した背景には、その食材を使う理由、生産者の方の想いなど、想像もしなかったストーリーが詰まっていたのです。

さらに、今後の展望として、金子さんは、同じ考えを持つ仲間と一緒に仕事を広げて行けたら面白いだろうとお話されていました。

ご自身が香川県の食材を大切にされているのと同様に、日本各地の食材を使った料理店を営むというビジョンを共にする仲間がいたら。 47都道府県に提携店舗が展開されていったら。 「こんな美味しいものがあるんですよ」と料理を通して地域のものを知ってもらいたいという想いが繋がっていったら。

想像すると、聞いている私たちまでわくわくしてしまいました。

食材の生産者の方、そして全国各地に事業展開する仲間との繋がりは、まさにコラボレートによって実現していくのではないでしょうか。

そうして「食べる人が幸せになるような料理を作りたい」という想いで、金子さんはチャレンジし続けていらっしゃいます。

◇なぜ今、地産地消が注目されているのか

地産地消とSDGsの関連について、簡単にお話させていただきます。

「地産地消とは、国内の地域で生産された農林水産物(食用に供されるものに限る。)を、その生産された地域内において消費する取組です。食料自給率の向上に加え、直売所や加工の取組などを通じて、6次産業化にもつながるものです。」

と農林水産省において定義されています。

そして「生産者」と「消費者」の結びつきの強化や、地域の活性化、流通コストの削減等の効果が期待されているものです。

例えば、以下のような点で有効だと考えられています。(一部抜粋)

  • 消費者にとっては、「顔が見える関係」で生産状況 なども確かめられ、新鮮な農林水産物を消費できる
  • 地域の食材を活用して地域の伝統的な食文化の継承につながる
  • 生産者と関連事業者等との連携による地場産農林水産物の消費の拡大
  • 輸送距離の短縮による環境への負荷の低減に寄与

つまり、地域生産かつ地域消費を行うことが、生産者と消費者の結びつきを強め、 SDGsの「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」などに深く関わってくると考えられているのです。

当社は理念の一つ目に「地球×人—未来に続く豊かさを」と掲げており、経営するヘアサロンやオーガニックショップでは、身体にも地球環境にも優しいものを扱っています。

なかでも、国産オーガニックや天然由来のプロダクト、リユースや地産地消など製造過程にこだわったメーカーの製品を取り揃えたり、フェアトレードコットンのショップバックを製作したり等、SDGsの目標達成にも関連するようなラインナップを選び、力を入れています。

金子さんが香川県を訪れ、生産背景や生産者の方の想いなどを知ることを通して、せっかく料理を出すなら自分でもストーリーを語れた方が良いと仰っていたことに、私自身深く共感いたしました。

弊社も、取り扱っている商品やコラボレートしている先の方々など、想いやビジョンに共鳴して、繋がりを紡いでいっています。

◇コラボレートにより広がる可能性

当社の理念の三つ目には「人×人—新たな価値へ、ともに歩む。」とあります。

そこに込めているのは、目標を掲げチャレンジする人とのコラボレートにより相乗効果を発揮するということです。 私たちは人との繋がりを通し、世の中に個人ではなしえない新たな価値を提供していくことに取り組んでいます。

一般的に、個人でいかに優れた考え方を持っていても、たった1人ではできることに限界があるかもしれません。

金子さんが「いいもの」を届けたい、と生産者の方と繋がり、現地の食材をご自身のレシピに取り入れてお客様に届けていらっしゃること。 ご自身が「間」となって、日本にこんな美味しいものがあるんだよ、と食べた方に知っていただくこと。

まさにコラボレートを体現され、ここでしか味わえない料理を作っていらっしゃるのだなと、今回のトークイベントから感じました。

そしてこれからの挑戦として、共通の考えをもつ仲間がいたら、全国各地で地域の食材を扱うお店を展開していきたい、という想いを語ってくださいました。

食べる人が幸せになる料理を、より広くお届けできるようになったら…。

本当に素敵なことだと思います。

当社は、コラボレートにより、人と人との想いや力を掛け算で繋ぎ合わせることによって、新たな価値を世の中に作っていく事業を展開していきます。

そのためにも、同じ目標を持つ人同士で繋がること、活動の背景やストーリーなどにも着目して、このブログでも情報を発信していきます。

引き続きよろしくお願いします。

参考 https://bistroavanti.com https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gizyutu/tisan_tisyo/