アメコミとラーメン

Legacies


アメコミの邦訳版を読み終えたので、今回はそれについてレビュー。このBlogでは非常に珍しいけど、DC Comicsだ。添付画像は、George Perezの描く日本語版の表紙2冊分を1つにまとめてみたもの。(真ん中が上手く重ならなかったのは残念。)流石にGeorgeの画はいつ見ても素晴らしい。全然衰えをしらないな。結構良い年だと思うけど。何しろおいらがアメコミを読み始めた1970年代の後半にはバリバリの現役だったからね。こういう大勢が集まる画を描いたら凄い画家は、古くはこのGeorge、最近ではAlex Rossだな。凄いのはこんなに細かい画なのに、全体のバランスが整っているところだ。ちなみに、POWER GIRL(右上の白いコスチューム)は聖子ちゃんヘアーだ。Georgeは本編の鉛筆やインク入れも担当するのだが、そちらも凄い。彼のDCでの代表作TEEN TITANSを再び描いているのもファンとしては嬉しい限りだ。

帯にも書いてあるようにDCの75周年を記念して出版されたDCの歴史を一本にまとめましたってコンセプト。1カ月で漸く読み切れるぐらいアメコミを買っているので、あまりDCに手を出せないでいるおいらとしちゃ―、この2冊で十分だなDCを理解するには。(おいらの理解は、氷山の一角ぐらいで、DC通のマイミクさんが聞いたら笑っちゃうかもしれないけどね。それから昨日聞いた話では、どうもつなぎ合わせるために、細部をいろいろ変えているらしい。)特にCrisis等、数年に一度のお祭りをかいつまんで説明してくれているところが、何とも親切。

全体の話をまとめているのが、Len Wein。最近はインターネットの発達でリサーチが楽になったと思うけど、75年前から現代にいたるまでの作品を調べるのは相当たいへんだっただろうな。

いつものように気に入ったところを紹介。まず、Lenの感想は面白い。DCの変化をルールからの乖離と表現している。例えば、BATMANの宿敵Jokerは、単なる愉快犯だったのが、殺人を厭わない犯罪者へ性格付けが変わっていったりね。

二番目に気に入っているのは、凄い画家達がオマケの話を描いているところ。特筆すべきは、Joe Kubert、Walt Simonson、Brian Bolland、Frank Quitelyだ。タッチは好みじゃないけど、Joeの画はすごい迫力だ。細かい線を描けば良いってもんじゃないって主張している。息子のAndyの鉛筆画を全否定したインクも凄いけどね。Waltは大好きなのだが、物語に入り込めなかった。Brianは寡作なので、またこの人の画に出会えて幸せだな。そして、Frankの画も久し振りだ。またMarvelで画を描いてほしいな。あ、Bill Siekiebicz(ちゃんとスペルが書けてるかな)も懐かしい。そして凄まじい画だ。各章の最初の2ページを描いてるScott Kollinsの画も温かくて好きだな。

NIGHT WINGが初代ROBINだって事実(読者は当たり前だと思っている)をDCの世界に住んでいる人達は気が付かないんだなと気付かせる表現は面白い。そりゃそうだ。マスクの下の正体を誰も見たことがないんだからね。

物語としては、DCの歴史を語っている警察官Paul Lincolnのプライベートの話の方がヒーローの話より面白い。この長い話全体を通して彼の一生が語られていて、Paulの性格付けがどんどん深くなっていくからね。残念なのはあまり捻りがないところか。例えば友達のJimmyは改心したと思わせて実はPaulに復讐しようとしてたとか。

ちなみに、この一般人から見たヒーロー達の姿って物語の進め方は、Kurt BusiekのMARVELSと同じだな。

残念な点をもう少し。まず、物語を進めているPaulは少年から老人へと年齢を重ねているのに、ヒーロー達が年を取らないところは、不自然。

それから、やはりDCのキャラクターを知らないので、感情移入ができないところかな。感情移入できない自分って、デジャブ―だなって読み始めてすぐ感じた。Alex Ross、Brent AndersonのASTRO CITYも話がいくら面白くても感情移入できなかったのと似てるな。物語の進め方も似ている。
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