1971年代のMighty THORを引き続き読み続けている。背景には1ヶ月間に発行されるAmazing SPIDER-MANが少なくなったこと、X-MENの姉妹誌にだんだん魅力を感じなかったことが挙げられる。今回のレビューは前回の続き1971年に出版されたTHOR189号、190号。
筋書をStan Lee、画をJohn Buscema、インクをJoe Sinnotがそれぞれ担当。添付画像はBuscemaが描いた189号の表紙。表紙は嘘をつくけど、今回のこの表紙は大体中身を語っている。唯一違うところ。死の女神Helaが変装していて本来の姿は最後の最後で現す点。Buscemaの描く人物の表情はちょっと冷たいけど、アクションシーンは総じて素晴らしい。それからTHORの映画3作目のHelaのデザインはこの当時のBuscemaのデザインが強く影響しているように思える。
ざっくりと粗筋を紹介。前号でTHOR 他の活躍からHelaの悪巧みを打ち破ったTHOR。Helaの矛先はそのTHORに向かう。地球へ逃れた彼だが、Lokiの裏切りによりHelaが地球へ出現。THORの命を要求する。
今回も気に入ったシーン、台詞等を紹介。相変わらずのLoki節爆発も好きだな。そして、これだけ裏切っても何故か許されちゃうキャラ。全然可愛くないのに。
神の力にも限界があるって意味で面白い点。人間の姿をしたTHORをHelaが見つけられない点。そして、地球の人々を苦しめることでTHORをおびき寄せるHela。これは色々なヒーローものであるよくある手段。
BalderがTHORを助けるためにKarnillaに対して宣言した台詞。”I serve only thee.”何か、人間社会の契約を皮肉っているような感じさえ受ける台詞。流石に神には契約書は必要ない。BalderだってKarnillaに対し悪い気はしてないと思うのだが、Karnillaは彼を縛りつけたいのか。
OdinがFandralやHoganを差し置いて、Volstaggを地球にいるTHORへの使者に使った後のFandralの台詞。”Volstagg? A time like this for royal jester?”なんだ仲間はVolstaggを道化と思っていたのか。笑える。それでいて邪魔者扱いはしてないのは素敵な友情のなせる業か。
190号でHelaはOdinに一度は倒されるのだが、その後の地球の混乱をTHORの台詞が的確に示している。”With Hela dead mankind too is doomed.” 生きとし生けるものは死の訪れにより調和が取れている。哲学的だ。
最後のSifの台詞が古典的だけど良いな。”Do but spare the mighty THOR and take Sif’s life in forfeit.” この言葉がHelaを泣かせてしまう。このシーンがこの物語のクライマックス。Odinでさえなし得なかったことをSifが解決する。楽しい。