
展覧会【世界遺産ナスカ展/特別展】 (@東京国立科学博物館)
[展示] 南米ペルーで紀元後から6世紀ごろまで栄えたナスカ文化。地上絵が有名。今回の展示では、この地上絵を上空から堪能できる巨大ヴァーチャルシアターと黒目の残った子供のミイラが目玉。ほかに同時代の壷や人形や装飾具、祭礼や戦闘の様子などナスカ人の生活を知る遺物を展示する。
[感想] 地上絵は何かの塗料で描いたのではなく、平原に広がる石ころをどけて地肌の砂が白く浮き出たのが線になっていると初めて知りました。年間降水量がほとんどゼロだったため千数百年も残っていたそうです。地上絵を見る巨大シアターも、ゲーム感覚で好きな地上絵が見られる体験コーナーも実写ではなくCGでした。本物そっくりですごかったですが、実写にしなかったのは何か理由があったのでしょうか? ミイラの眼球の黒目が残っていたのはミイラにした時乾燥していて涼しかったから(いわゆるフリーズドライ)だそうです。
意外に可愛かったのが壷や皿に描かれた動物や精霊、人の絵。ポップアートチックで日本のマンガっぽい親しみやすさがありました。「誕生と再生」コーナーでは器に陽物がついたものがあって、説明書きに「…誇張してあります…」の一文が。けれど、サイズ的には原寸かやや小ぶり。?となっていたら、同行者に器に描かれた人物と比較して誇張してあると言われました。なっるほど!
またナスカの地上絵の謎についての説明の中に苛酷な環境に生きる人々の願いがこめられていたのではないかとあったのですが、出土品の絵柄や色使いからは経済的な豊かさに裏打ちされた精神的な余裕みたいなものを感じました。けど、これって平安時代の貴族の生活を見て「平安時代の人々って優雅だったんだ」って思うようなものなのでしょうか。
平日午後にも関わらず大勢の人出でした。最近では竹橋の国立近代美術館での「藤田嗣治展」も平日のお昼でも北の丸公園に届くほどの列が出来ていたように、バブル以来の美術系展覧会の人気が復活してきたようにも思えます。

