明治期より北海道経済の中心都市・港湾都市として発展した「小樽」。運河や倉庫、銀行などの歴史的建造物が多く残る歴史溢れる街です。その小樽の発展を支えた鉄道の歴史を学ぶことが出来る「小樽市総合博物館」や日本や世界の優れた美術品・工芸品を展示公開する「小樽芸術村」などの博物館や美術館等の施設も充実しています。
今回は「そうだ小樽に行こう。」の前編「花手水と茅の輪くぐりと。~小樽・住吉神社~」とランチの「小樽・船見坂に佇む白い三角屋根の“オムライスとマフィンのお店”~ARINCO MOU DASH(アリンコ モウ ダッシュ)」に続く後編です。まず小樽運河エリアにある本年4月28日に「小樽芸術村」の4館目の施設として新規オープンした「西洋美術館」を鑑賞するととともに、本宮エリアに移動しこれまでコロナ禍による臨時休館などで訪問の機会がなかった「小樽市総合博物館」を見学しました。
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「小樽運河」を「浅草橋」(奥)まで来ました。
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その「浅草橋」を渡ったところに「西洋美術館」があります。「ステンドグラス美術館(旧荒田商会・旧高橋倉庫)」、「似鳥美術館(旧北海道拓殖銀行小樽支店)」、「旧三井銀行小樽支店」に続く「小樽芸術村」の4つ目の施設。小樽運河完成から2年後の1925年(大正14年)に三井物産や三菱商事とともに三大商社として当時並び称された「鈴木商店」により建設された木骨石造の倉庫建築「旧浪花倉庫(小樽市指定歴史的建造物)」を活用した重厚な造りです。
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「西洋美術館」の入口。
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入ってすぐのところには「ニトリ」のショップ。日用品のほか小樽の名産品なども取り揃えています。美術館の展示室入口はショップの奥にあります。
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展示室には19世紀末から20世紀初頭にかけて欧米で制作されたアール・ヌーヴォーの彫刻、グラス、家具や、1910年代半ば〜1930年代にかけて流行したアール・デコの作品、ギリシャ・ローマ美術、ステンドグラス、マイセンの作品などが多数展示されています。
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ホール中央の《スザンナの水浴》 P.Grass。「New Collection」と併記されています。この作品以外にも「New Collection」と書かれた作品が多く「西洋美術館」オープンのためにニトリ・コレクションに追加されたものでしょうか。
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アール・ヌーヴォー、アール・デコの彫刻の展示室。溜息がでるような印象的な作品が多く一つ一つ写真を掲載していたら膨大な量となるので少しだけ紹介します(以下のコーナーも同様です)。
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エルネスト・バリアスの女性像《科学の前にヴェールを脱ぐ自然》。パリのオルセー美術館に展示されている色大理石でできた大きな像が有名な作品ですが当時大変人気があり様々なタイプの像が制作されたそうです。![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/1c/fea7d1b44d8725251817d5349d1a42b6.jpg)
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ドゥメトル・シパリュスのアールデコ時代の彫刻を象徴する《ちょっとしたアクシデント》。象牙とブロンズに金、銀などの異素材を組み合わせたものとか。
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顔の部分は象牙製です。
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アール・ヌーヴォーの時代に活躍したエミール・ガレ、ドーム兄弟、ルネ・ラリック、ガブリエル・アージー・ルソー、ヴィクトール・アマルリック・ワルターらのランプなどのコーナー。こちらの展示コーナーにも見事な美術工芸品がところ狭しと並べられています。
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ドームの《蜻蛉文ランプ》。
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アール・ヌーヴォーの部屋。家具類のコレクションが多いのもニトリならではです。
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アール・ヌーヴォーの寝室。
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アール・デコの部屋。
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こちらは古代ローマ期のモザイク画。1㎝~2㎝に切り揃えられた大理石の小片を使用したモザイク画で南イタリアから出土したものだそうです。まさか!こういったものまであるとは驚きです!。
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床下に設置されカバーされた強化ガラスの上から詳細に拝見できます。
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ステンドグラスも多数展示されています。ヴィクトリア女王即位記念のステンドグラス。
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中央は1837年戴冠の頃のヴィクトリア女王の肖像だそうです。
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1階奥のコーナーを2階から見下ろしたところ。ステンドグラスとともにテーマ毎に集められた家具が区切られたスペースに展示されています。
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「マラカイトの間」。テーブルの緑色の天板はロシア貴族が愛したというマラカイト(くじゃく石)だそうです。
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「エジプト調家具の間」。
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巨大ステンドグラス《キリストの生涯・聖母マリアの生涯》。ベルギーのソフィー・バラ協会の窓を飾っていた作品だそうです。
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イギリスの教会に飾られていた12枚の《聖書と聖人たち》。それぞれの作品の下部に寄進者の名前が書かれています。
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《楽園追放》。追い出されるアダムとイブ。
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《湖上を歩くキリスト/紅海を渡るモーセ/洗礼を受けるキリスト》。
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展示室2階のマイセン磁器のコレクション。
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マイセンの陶板画《アラビアンナイト/ゴンドラ》。
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《金彩色絵花づくし・ポプリポット》。以上です。彫刻、ガラス、陶磁器、ステンドグラス、家具、マイセン、さらには古代ローマ作品まで、あらゆるものが揃った美術館でした。ニトリ・コレクション恐るべきです。
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1階ショップ脇の馬車が置かれたスペースは喫茶スペースになっており小樽散策の休憩としても使用できるようです。似鳥昭雄ニトリ会長(公益財団法人似鳥文化財団代表理事)による北海道応援の心配りの一端なのでしょう。
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「小樽芸術村」を構成する「旧三井銀行小樽支店」。「祝国指定重要文化財」と書かれていました。昭和2年(1927年)に完成し小樽市最後の都市銀行として平成14年(2002年)まで営業していました建物で2022年2月に重要文化財指定が官報告示されたそうです。
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最後は「小樽市総合博物館」です。明治13年(1880年)開業の北海道初の鉄道「官営幌内鉄道」の起点となった手宮地区にあり昭和38年(1963年)に機関庫と周辺施設を利用して開館した「北海道鉄道記念館」が前身だそうです。北海道の鉄道の歴史を伝える記念の場所です。
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1階ホール。鉄道の駅舎のイメージです。
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館内展示の蒸気機関車「しづか号」。「官営幌内鉄道」の開業にあたりアメリカ合衆国から輸入された蒸気機関車の一両。日本国有鉄道(国鉄)が制定した「鉄道記念物」。
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館内展示の一つで北海道の鉄道の歴史がジオラマで再現されています。「官営幌内鉄道」の明治13年(1880年)開業前の試運転の様子。蒸気機関車は館内展示「しづか号」と同型の「弁慶号」。
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明治44年(1911年)に完成した巨大な石炭積み込み施設「高架桟橋」。空知地方の炭鉱を全国に移出する施設で小樽の観光名所でもあったそうです。これらのジオラマは精巧に出来ていて見応えがありました。
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屋外展示。重要文化財旧手宮鉄道施設。
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「機関車庫三号」と「転車台」。
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「北海道鉄道開通基点標(準鉄道記念物)」。
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動態保存されている「アイアンホース号」と鉄道施設。
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屋外静態展示場の車両。
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「アイアンホース号」と「中央駅」。アイアンホース号は明治42年(1909年)にアメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグにある機関車製造会社H.K.ポーター社で製造された蒸気機関車。平成8年(1996年)から「小樽交通記念館」で動態保存・展示が開始され現在も夏季期間は乗車できます。11時30分、13時30分、15時30分の一日三回の運行です。
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「アイアンホース号」は「中央駅」から約300m先の「手宮駅」まで運行。客車を一旦切り離して転車台で方向転換したあと再度客車を転結して「中央駅」に戻ります。
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「アイアンホース号」と「転車台」。
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再度客車を連結して「中央駅」へ出発。
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「中央駅」に到着後「転車台」へ向かいます。
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本日の最後の運行だったため「アイアンホース号」は車庫に入りました。
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もう一つの夏季のみ公開の「自動車展示室」。
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故石原裕次郎氏の愛車ロールス・ロイスが展示されています。
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故石原裕次郎氏のキーと給油カード。
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「小樽市総合博物館」から続く「旧国鉄手宮線」跡地は「官営幌内鉄道」の一部です。こちらを見て本日の小樽小旅行は終了です。JR小樽駅前のバスターミナルから高速バスで帰路につきました。
本日は汗ばむような好天の下で「住吉神社」のパワーをいただくとともにウクライナ応援の花手水を拝見させていただきました。図らずも「茅の輪」くぐりでお清めもさせていただきました。また午後の「西洋美術館」ではアール・ヌーヴォーやアール・デコの美術工芸品はじめとするニトリ・コレクションを嘆息しながら鑑賞させていただきました。「小樽市総合博物館」も大人も子供も楽しめる鉄道ファン必見の充実施設です。また「小樽運河」はじめ各所に訪問客の戻りが見られたのも喜ばしく大変充実の小旅行でした。ありがとうございました。
「小樽芸術村 西洋美術館 」
小樽市港町6-5 0134-31-1033
営業時間:[5~10月] 9:30~17:00 [11~4月] 10:00~16:00
営業時間:[5~10月] 9:30~17:00 [11~4月] 10:00~16:00
運営: 公益財団法人 似鳥文化財団
館内ショップ運営: 株式会社ニトリパブリック
https://www.nitorihd.co.jp/otaru-art-base/art-nouveau-glass-museum/
「小樽市総合博物館」
小樽市手宮1丁目3番6号 0134-33-2523
営業時間 9:30~17:00
小樽市手宮1丁目3番6号 0134-33-2523
営業時間 9:30~17:00
定休日 火曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
(2022.6.18訪問)