定年夫婦のイタリア・スイス旅日記

あこがれのローマ,ルネッサンス発祥の地フィレンツェ,そしてツェルマットへ

ツェルマットからチューリッヒへ

2012-06-06 02:24:31 | 日記
2012.6.5(火)

 いよいよツェルマット最後の日,朝の3時頃に目が覚めてしまった。妻もなかなか寝付かれなかった様子である。外を見るとマッターホルンに少し雲がかかり,満月が出ている。カメラを取り出し,夢中になって撮影する。青い空に,月が輝いており,マッターホルンにかかった雲が月明かりで輝いている。山に入ったときに,よく目にする光景ではあるが,ここはツェルマット,そして見えるのはマッターホルンである。幻想的な光景に,心を奪われ,ガメラ操作もおぼつかない,後で見ると,三脚がないのでぶれている写真が多かった。
 月が隠れ,しばらくすると明るくなり出し,今度はマッターホルンが,赤く染まってきた。待ちに待ったモルゲンロートである。最初に,頂上部分が赤くなり,だんだんと下に広がってくる。考えてみれば,大学4年の夏,友達に無理矢理連れ行かれた暁登山,その時のご来光とその後西の空や山がピンクに染まっていく光景を見た時の感動が忘れられなくて,山に夢中になったのであった。暗闇から,ピンクに染まる,神々しい山の姿を見れば,人間の存在を超えた,自然のすばらしさに,皆心を動かされることでであろう。今時の子ども達の多くが,このような感動体験をしていないという。本当に嘆かわしいことである。
 朝食も取らず,6時30分,妻と共にホテルを出発し,向かったのは,昨日も行ったゴルナーグラートである。始発の列車が7時なので,駅のキヨスクでパンとジュースを買い込み,登山鉄道の列車に乗り込む。朝早いので,登山電車に乗る人たちは,山で仕事をしている人たちがほとんどで,観光客はわずかばかりであった。途中,昨日はわずかばかり姿を現していたマッターホルンが,今日は惜しげもなくその姿を現している。
 ゴルナーグラートの駅に着いたとき,昨日以上の感嘆の声を上げた。駅から頂上に約5分ほど歩いて,たった二人で周囲を見回す。360度雲一つない青空に,純白の山々が,その姿の美しさを競い合っているのだ。その中で,一際群を抜いているのがやはり,マッターホルンである。まさに,アルプスの盟主である。ブライトホルン,リスカム,モンテ・ローザがその隣に連なり,遠くドームやホワイト等という山々が並んでいる。モンテローザとリスカムの間から,アルプス第2のゴルナーグラート氷河が流れている。白い雪が陽に輝ききらきらと光り,所々に氷河が溶けてできた氷河湖が青い水をたたえている。そして,真っ青な空には飛行機雲が幾重にも延びている。周りには観光客はほとんどおらず,このすばらしい風景が,俺たち二人のものなのだ。心清むまで写真を撮る。そうしているうちにドイツの若い男女が上ってきて,写真を撮ってくれというので,喜んで取ってやり,俺たち二人も撮ってもらう。同じ趣味を持つもの同士,言葉ああまりわからなくても,心は通じ合うようだ。
 約2時間,すばらしい風景を満喫した。2番目の列車で観光客がどっと上がってくると同時に,大声の日本語が響きだし周囲が騒がしくなってくる。日本人観光客が多いのだ。セントバーナード犬を相手に,記念写真を撮っている団体が多い。日本人観光客として,海外に行った場合,マナーに気をつけなければならないと感じた。「旅の恥はかきすて」では通用しない。そういえば,ツェルマットのホテルのエレベーターの中に,「ホテル内では大声を出さないようにお願いします」という内容の表示が日本語のみでしたあった。日本人は,一人一人では気弱であるが,集団になると豹変するのだろう。これから注意すなければと,強く感じた出来事であった。
 9時31分の列車で下山し,ホテルに戻り,荷物をまとめチェックアウトする。ホテルの電気自動車で駅まで送ってもらい,駅のコインロッカーに荷物を預けツェルマットの街を散策しようとした。しかし,コインロッカーの使い方がなかなか分からない。そうこうしているうちに,妻の機嫌が悪くなってきた。「前もって調べておかないからよ。」と,行ってくる。くわばらくわばら,妻をベンチに座らせて,もう一度説明を見てみると,なんだ簡単じゃないか。やはり,じゃまが入らないでじっくりと考えると出来るのである。スーツケースをロッカーに入れ2時間半程ツェルマットの街の散策に出かけた。
 それにしても,マッターホルンが美しい。白い姿を街の上に見せている。街の中には,マッターホルンがよく見える所に,ベンチがあるのだ。二人でそのベンチに座ってマッターホルンを眺めながら,今回,海外旅行に来ることが出来た幸せをかみしめる。
 昼食のために,レストランに入ってチーズフォンジュを注文したら,その店のお爺ちゃんとおぼしき人が,俺のカメラを見て,「テーブルの端から落ちないように,奥の方に置いておけ。ニコン,俺も持っているよ。D7000だ。だけどおまえのは,俺のより良い。」と話しかけてきて,店の絵葉書を1枚くれた。その裏には,ツェルマットで1番古いレストランとあった。チーズフォンデュが出てきて食べていると,じゃがいもを皿の上でつぶし,その上に溶けたチーズをかけて食うとおいしいと教えてくれた。気さくなお爺ちゃんで,一緒に写真を撮って店を後にした。
 午後2時39分発の列車で,ツェルマットを後にする。フィスプでチューリッヒ行きの列車に乗り換え,インターラーケンを通る。ここからクラリンデルワルトやクライデシャネックにも行けるのだなと思うと,またいつか来たいものだ強く念ずる。「念ずれば花開く」ことを念じつつ。
 チューリッヒの駅で降りて交差点の所で,ウロウロしているとサイクリストのお兄ちゃんが止まってくれて,話しかけてくる。地図を見せホテルの場所を聞くと,丁寧にも,アイホンで地図を表示し教えてくれた。駅の反対側に出てしまっていたのだった。何処にも親切な人はいるものだと,改めて感心した。
 ホテルに入り,疲れたので,今日は早めに休む。明日は,いよいよ帰国だ。 

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1 コメント

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帰国後について (mihotours)
2012-06-06 16:52:36
楽しかった2週間もあっという間に終わり、あとは帰国を残すばかりですね。

帰国後の待ち合わせについて、先ほどメールを送っておきました。
時間があるときに確認しておいてください。

ではでは、無事の帰国をお祈りしておりまーす!
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