定年夫婦のイタリア・スイス旅日記

あこがれのローマ,ルネッサンス発祥の地フィレンツェ,そしてツェルマットへ

ローマからフィレンツェへ

2012-05-29 00:30:41 | 日記
2012.5.28(月)

 ローマ最後の朝食を,ホテルの屋上の野外で取る。食事を取った後,荷物をまとめチェックアウトする。カード支払いなので楽である。8時頃ホテルを出発してテルミニ駅に歩く。9時15分発の列車でフィレンツェに向かうのだ。雑踏する中で駅員さんにチケットを見せると,まだ早いので掲示板に掲示ならないとのこと。二人でベンチに座り,イタリア人の観察をし,品定めをする。
 30分程前に,出発のホーム番号が掲示板に表示されたので,5番ホームの前に移動して,ウロウロしていると,お姉ちゃんが,近づいてきて親切にも教えてくれた。まず,チケットを刻印機に入れ日付を刻印し,ホームを先導して目当ての列車に連れて行ってくれ,おまけに中の席へ案内して荷物を棚の上にまでのせてくれたのである。何と親切な人もいるものだ,世界は広いけれど捨てたもんじゃない。グラッチェ,グラッチェ,ああ助かった,これでフィレンツェに行けるぞ,と心から思ったのであった。
 しかし,その親切な姉ちゃんが,何かと言って,そして手を差し出したのだ。えっ,金を要求するの,今まで親切と思っていたが違うのだと気づかされた。そして5ユーロ札を渡した。しかし,まだ去らない。もっと要求してくるのだ。言葉がよく分からないし,面倒なので,もう少しやろうかとしていると,隣の席のご婦人がお姉ちゃんに何か言って,私が金をやろうとしていた手を止めてくれた。ようやっとそのお姉ちゃんは帰っていったのであった。
 今度こそグラッチェである。「ありがとうございました。」と言うと,何とそのご婦人は「どういたしまして。」と返してくるではないか。その後話をすると,旦那さんが日本人だということであった。世の中,良い人ばかりではない,しかし,世の中捨てたものでないと,再び思い直した出来事であった。
10時46分フィレンツェ着。駅の外に出ると,建物の様子から古都の雰囲気が感じられる。タクシーでホテルに向かう。古い町並み,狭い道路,そして多くの観光客が歩いている。ホテルに荷物を預け街に出る。真っ先に向かったのは,「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」だ。狭い道を迷いながら行くと,突如としてクーポラが見えてくる。クーポラの前で軽く腹ごしらえをして,まず,「ドゥーモ附属博物館」に入る。ここにも,ミケランジェロの『未完のピエタ』がある。サン・ピエトロ寺院のものと違って,荒削りであるが構成が見事で見応えのあるものであった。
 その後,クーポラに登ろうとしたが,並んでいる人が多い。1時から最後尾に並んで,入場したのが45分後であった。狭い階段を汗水垂らして登り,ついに最上階へ行く。登れるかどうか不安がっていた妻も順調に登り,360度のフィレンツェの町並みを見渡す。上から見ると,統一されたような赤い屋根の家が続いており,外観を壊すような高い建物や広告塔もない。日本の町並みとは正反対のようだ。中世からの雰囲気を町全体で守り続けていることに感服する。いつまでも,この眺めを見ていたいと思ったが,次々に登ってくる人がいてそうもしていられない。また狭い螺旋階段を降り,「ジョットの鐘楼」や「サン・ジョバンニ洗礼堂」を見学する。洗礼堂には,ギベルティの「天国の門」のレリーフがあり,レプリカではあるが,その素晴らしさに感動する。
 その後,「シニョーリア広場」に寄る。ヴッキオ宮殿の前の広場の周囲にはミケランジェロの『ダヴィデの像』はじめ多くの彫刻が並んでいて,見るものを圧倒する。その中で休憩する贅沢を感じながら,写真を撮ったり,座って休憩したりして幸せな時間を過ごす。
 ヴェッキオ橋の上には,貴金属店が並び観光客がショーウインドウを眺めている。妻もあまり興味がないようでただ歩いて渡ってくる。クーポラに登り,妻も疲れているようなので,ホテルに戻り,今夜はホテルの近くのスーパーから食材(サラダ,チーズ,サラミ,パン,そしてワイン等)を買い込み,ホテルの部屋の中で食事を取る。これも良いものだ。
 明日は,ウッフィッツイ美術館を訪ねる。多くの美術作品に触れることが楽しみだ。

※ 今までの写真を整理した。上のカメラマークのフォトアルバムをクリックして欲しい。