アケボノソウ

離婚・相続など家事事件及び中小企業法務を得意とする、立川市のあけぼの綜合法律事務所のブログです。

安易な和解

2010年09月15日 | 法曹事情
 過払訴訟を筆頭に、安易な和解を薦める裁判官が多いですが、
判決を得る重要性を認識していただきたいものです。

 今でこそ、当たり前になった過払金、そもそも発端は、当時
の利息制限法1条2項の規定にもかかわらず、利息を元本に充
当することを認めさせた昭和39年11月18日の最高裁判例
が端緒です。その2年前の昭和37年6月13日の最高裁では、
反対の結論だったのをひっくり返したのです。
 通常なら、2年前に充当を認めない最高裁判決が出ていたの
ですから、勝ち目はないと思われます。しかし、おそらく代理
人は、当時の利息制限法1条2項は正義に反すると考え、戦い
抜いたのでしょう。

 さらに昭和44年5月27日、最高裁で過払金返還請求を認
容させ判例もそうでしょう。39年の最高裁の判例理論では、
一括払いをした場合、過払を回収することを認めるのは難しい
はずです。それでも、具体的事情から、過払金を回収できるの
が正義と考え、戦いぬいたのだと思います。

 また、ヤミ金から借りた金すら返還を不要とした平成20年
6月10日の最高裁判例も同様です。通常、借りた金くらいは
返して当たり前、と考えるものですが、はやり、それでは、ヤミ
金は存続し得、根本的な解決にならない、と考え、戦い抜き、
常識を破ったのだと思います。

 今では、常識になった考えも、判決を得るため戦い抜いた末、
獲得されたものです。

 もっとも、すべての事件に判決を取ることが得策だとは、思
いませんが、世の中を変えていくには、判決をとっていく姿勢
は重要なのではないでしょうか。

 過払訴訟も、もともとは、消費者金融に苦しむ人を助けること
から始まったものです。単に、依頼者にお金を取り戻すことが目
的なら、多少金額を下げても、早く和解した方が依頼者の利益に
なる、という考え方もあるでしょう。
 しかし、消費者金融に苦しむ人を少しでも少なくしようという
考えの下、消費者金融業では大もうけできないことを知らしめよ
うという考え方、また、依頼者に、現在の収入だけで、通常の生
活をし、咄嗟の大きな出費のための蓄えを作る目的で、回収した
過払い金を充てるという考え方もありえるでしょう。

 元本を下まわる金額での和解に応じない代理人は、このように
考えているはずです。
 裁判官には、単に訴訟を早く終わらせることだけでなく、何が
社会にとっていいことなのか、何が本人のためにいいことなのか
をしっかり考え、和解をすすめるか考えてもらいたいものです。

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