今日、10月9日は「道具の日」なのだそうな。
「十」→とう→どう、「九」→く→ぐ
先日の講演会で「近代数寄者は“道具”だった茶道具を“美術品”に引き上げ~」
と書いたが、やはり茶道具は使ってこそ生きるもの。
だと思う。
先日、六本木の雑貨屋さんでユニークな茶箱の展示を観た。
★
リビング・モティーフ
Studio GALA「繋 - つなぐ」展 10月26日(日)まで
デザイナーさんが取り合わせた茶箱と茶わんや茶せんなどの道具一式を展示即売している。
四季を表現した4つの箱と風土の、そして煎茶箱の計6種類がディスプレイされていた。
とっても、素敵な茶箱のセットなんだけど。。。
悲しいかな(?)ガラスケースの中。
で、店員さんに聞いてみた。
「この茶道具を茶箱に納めるとどーなるのでしょうか?」
箱に収納されたパターンがあるのなら、写真でもいいから見せてほしい。
とお願いしたところ、ガラスケースから出して収納するところを見せて下さることになった。
と思ったら、店員さん自身は茶道をされていないようで、収納の仕方がわからない?
なので、「よろしければ私に収納させていただけませんか?」と申し出た。
掛合があるわけではないので、卯の花点に入れてみた。
古帛紗がないので、コースターを代用。
道具の材質や仕上げ、実際に触れてみると、とても理解できる。
まずは「春仕込」の題された茶箱

茶箱と茶杓は桜材を使用。
陶器の薄器、茶筅筒は漆仕上、茶巾筒は銀、振出は竹材に漆を塗ったもの。
かわいい丸い蒔絵の香合がついていた。
次に「冬仕込」

箱は和紙。(正確には和紙をこよりにして、それで作ってある)
蓋の立ち上がりが高く、また丸みを帯びている。
よって、点前に用いるならば紐のない御所籠に近い?
薄器は身が黒漆、蓋が赤い漆。
茶筅筒が銀、茶巾筒は花梨材に漆をふいたもの(底に雪の結晶がワンポイント)
振出は陶器だけど、口がとても小さい。(金平糖入らないのでは?)
そして「夏仕込」

箱はステンレス!
涼しげだけど、メチャクチャに重い!(持ち運べない!)
茶巾筒が紫壇、茶巾筒がガラス、茶杓は黒壇で先端にカエルの蒔絵
ステンレスがあまりにも重かったので、「秋仕込」は遠慮する。
だって、茶箱は鉄なんだもの。
茶杓が楓だったり、香合が柿だったりと渋い取り合わせだけど、ちょっと手が出なかった。
ちなみに、茶箱に道具を収納したところが気に入っていただけたのか、
「春仕込」はディスプレイとして、採用されちゃった。
とまぁ、店員さん相手に遊んでいた私であった。
いずれも、お値段が40万円台だったので、とても貴重な機会だった。
ただ、実際に道具に触れてみて、収納してみて、感じた。
「これは、とてもオシャレではあるけれど、実用的ではないナ」。
たぶん、点前をする観点に立っての取り合わせではないナと実感。
あくまで、飾って楽しむ際に見た目に心地よいもの。
デザイン性を追及したもの、という印象が残った。
もしかすると、茶道はもちろん、実際に茶箱点前をされた方ではないかもね。
確かに、材質としてはすごく面白いけれど。
やはり、どんなに芸術性高くても、やはり使い勝手のよいものであってほしい。
工芸とはそうしたものだと思うから。
見た目もよくて、使い勝手も心地よいものであってほしい。
なんて、思ってしまった。
茶箱で検索して出てくる当ブログの記事→
こちら