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武蔵の野辺に朽ちぬとも

~合氣道留魂録~

昇段審査④~キツネ物語~

2009年10月14日 17時03分54秒 | 合氣道
続いては乱取り…
4人の黒帯が一斉に両肩を捕りに飛び掛かる訳です。キツネはこの乱取りの練習量も少なくセンスも良いとは言えない。

…が、何を言おうがもう審査は始まっている。
言い訳は通用しない。
稽古不足の分痛い思いをしてもらうだけ

受験者と向かい合うようにして黒帯は横一列に並ぶ


この乱取りのひとつのコツ…囲まれないように始まりとともに左右どちらかの端の者を狙わなければならない。端にいけば4人は縦一列に並ぶことになり、一対一×4といった構図が出来上がる。なので初めの位置取りは重要。

私は左端に座った。



『はじめぇいっっ!』の声に皆一斉に飛び出した。

キツネは私の方に向かってきた。
私の正面突っ込んできたキツネ…
次の瞬間私のラグビータックルが炸裂!弾き飛ばされるように数メートルふっ飛ぶキツネ。
「正面に入るなアホ…」

さすがにこれはキツかった様子。身体を引きずるように元の位置に戻るキツネ。
この乱取りのもうひとつのコツ…絶対に正面に相対してはいけない。相手の脇を突き抜けるようにすれ違うこと…これは短い練習時間のなか散々教えて来たこと。本番では悪い癖の方が打ち勝つ良い例となった。

やり直しとなり再度乱取り。次は私を避け右端に向かっていったキツネ(笑)
途中まではなんとか捌いていたが最後は背中を向け逃げまわる感じに…また悪い癖がでた。

ひとまず乱取りはこれにて終了。

最後は呼吸動作という座捕りの総当たり戦。合宿に参加した全員を相手にして行う。座捕りの百人組手のようなものかな。
受験者は座ったまま両手を捕られた状態で相手を崩して投げる訳だか、手を捕る方は必死に投げられまいと我慢をする。
順番は帯色、年齢などを基準に並ぶ、自ずと黒帯は最終関門となってくる訳だか、途中子どもだと侮って掛かると伏兵が潜んでいたりしてなかなか油断が出来ない。
しかもこれは全員倒しきらないと終わらない。そんな審査最後のイベント…

私自身この呼吸動作はかなりやりこんだし常に研究もしている。そのせいか受けも強くなってきた。
最近は倒そうと掛かって来た相手を柔らかく吸い込みその力を相手に返す呼吸を感じられるようになってきた。
うまくいったときはボールが壁にぶつかって跳ね返るように1メートルぐらい吹っ飛ばせるようになった。

4人の受験者はそれを味わうことになる…



昇段審査③~キツネ物語~

2009年10月09日 17時06分23秒 | 合氣道
キツネの受けが始まる。

これまでの鬱憤をはらすのか黒帯を追い詰めるかのごとくガンガン掛かっていくキツネ。

しかしその勢いも三人目ぐらいで減速…
息が乱れはじめた。
(早っ!…笑)

これはキツネら昇段者の試験であると同時に黒帯の力量も試されるわけで…不甲斐ないことをすれば後でお叱りがあるのです…が、逆に次期昇段を狙う者にとってはよいアピールの場所でもあるわけです。私も来年三段を狙う者としてはここはキッチリ押さえておきたいところ。
しかし、並程度ではダメ!通常三年かかるところを二年で許しを頂くためにはダントツの実力を発揮しなければならない…と意気込み過ぎて私自身緊張してきてしまいました(笑)

『はい次ぃ』
先生の声と共に私は中央に飛び入った。


軽く一礼を交わすと

『はい、正面打ち五種~』
オーダーは正面打ち…
キツネが片手で面を打って来るわけです。

彼はここぞとばかりに飛び掛かってきた
(けっこう恨まれているみたいです私…エヘッ)

しかし瞬間、違和感を感じながらも正面打ちを切り落としキツネの前方へ投げた。いや投げたというよりは突き飛ばしたと言った方が適切かな…
その違和感の正体…
キツネは私の面を打ちに来ていないこと。
降り下ろす彼の手刀は全く関係ないところを斬っているのです。

なぜかカチンときてしまい…
「ちゃんと打ってこいっ!」と怒鳴り声をあげました。

キツネは振り向き飛び掛かってきたのですがまた面を外して打って来るのです。要は今まできちんと面を狙って打った事がないのです。積み重ねてきたのは「やっているふり」の稽古か…そういった事が見え隠れしだし私のボルテージも最高潮に…

「どこ狙ってんだよっっ!!」と投げながら叫ぶ


(こいつはぁぁぁ!)
と思い、もう身動きひとつしまいと決心しキツネが掛かって来るのを待った。
要は当てさせてやろうというわけです。

すると…
キツネの手刀はまるで同極の磁石のように私の身体を避けていきます。
構え直してもう一度打ってきましたがそれも同じようにそれる…
私が何かをすると期待しているのです…いやビビっているのかも…
(世紀末救世主伝説かよっ!)

ブチッ!

私はキツネの襟首をつかみ「おい!俺をなめてんのかっっ!!!!……コロスゾ」
と怒声をあげ(最後の方の言葉はコソッとですよ、コソッと…)突き飛ばした。

すると外野の黒帯達からも「こらぁ!ちゃんと打て!ちゃんと!」と激が飛ぶ。
あの大人しく草食系男子のワシントンさんからも
「頭をかち割るんだよっ!」
「やれ!!かち割れぇ!」
と激しい声が…

(え?いや…やられるの私ですよ!?)

とにかく皆の心にまで火をつけてしまったわけです。(これは後が怖いぞ…)

やっと開き直ったのか
面を狙って打って来るようになり私もやっと技を繰り出す。ちなみに私は五種のところ十種以上披露させていただきました。
というのも目立ちたくて…というわけではなく
先生が『ヤメ!』というまで続けることが礼儀だと思っております…

案の定、キツネも五本投げると氣を抜いて勝手にやめてしまって
『誰が終わっていいといった!』と怒られていました。
これは黒帯にも当てはまるのですが、きまって先生は苦い顔をなさります。

その黒帯の技の乏しさに合宿後に皆でお叱りを受け自由技の特訓が始まったことは言うまでも有馬温泉…





つづく

昇段審査②~キツネ物語~

2009年10月05日 01時25分45秒 | 合氣道
キツネの自由技が始まった…
まずはキツネが投げる。
黒帯は先生から指示のあった掛かり方で休みなく掛かっていくわけですが…

終始押され気味のキツネ

技の形だけを急きょ丸暗記しているものだから
生身の人間に対応しきれない…あきらかに対人との稽古が不足している。

私が彼の前に立つと…


『胸突き五種!』

ゾクッと身震いが…
(よりによって胸突きか…)先生の意図を曲解した私は腹を決めた。
(やってしまってよいのだな…)と

覚醒したのはライオン…
いや、ラオウハート…

『士縁で練ったこの拳喰らうがよいわーっ!!』
と心の中で叫びながら掛かっていきました

ゴーーン!

キツネは私の突きをとれずに胸で受け止めた…
急に青ざめていくキツネ
きちんと突き込んでいく拳を捕ることができない
技が出来ようが出来まいが関係なく、普通にきちんとドンドン突いていく
イヂメているわけではなく普通に突いているだけ・・・
いつも私と稽古している中学生のKやコウタ、ハカセらはきちんと捌いて技につなげられる・・・その程度のもの。
明らかに大人との稽古量が足りない
いや・・というよりは闘っているという真剣さがない。

そうこうしているうちに

ゴーーン!!!

キツネが体捌きでかわしそこねたせいか
彼の二の腕に嫌な感触の突きが入ってしまった・・・
私の背骨に響くような手応えに
(ヤバイ・・・大丈夫かな・・・)

キツネの顔は真っ赤になっていた
まさに赤いキツネ・・なんつって・・・

なんか・・もういいや・・・
そんな気持ちになってきて
それからは幼児を相手にするような心持ちで掛かっていくことにしました。



とりあえず
規定の50種を終えたキツネ
これから黒帯の技を50本以上受けることになります。


本当の試練はココから・・・


 



昇段審査①~キツネ物語~

2009年09月30日 13時23分37秒 | 合氣道
合宿最終日。
早々に稽古が終えて、全員が赤い畳を囲む。
今年、昇段審査を受けるのは4人…

トップバッターは五十代後半になる男性
二番手は以前、雪山稽古に行った二十代女性のモコちゃん
三番手が例のキツネ
四番手に五十代の女性。

といった順番になった。

当会の審査内容に関しては何度か記載したのですが…簡単に…

・十通りの掛かり方に対して最低五種類の技で投げる(40歳以下はその受けも)

・剣の型
・多人数掛け(4人)
・呼吸動作(合宿参加者全員と坐捕り)

といった感じ。

しかしながら
トップバッターの男性は受けもとるとの事
60歳間近と言うのに根性あります。
過去には柔道を…現在は合氣道、フルコン空手、居合いをやられている武道大好きさんです。
黒帯の方々もまだ優しい掛かり方、投げ方でしたが終盤から少し様子が…

モコちゃんに変わってから徐々に何かが加速していくのです

そして予想通り
キツネの番には黒帯衆のテンションは最高潮に…




つづく

見て知れ!!!!

2009年09月28日 10時25分54秒 | 合氣道
みとり 0 【見取り】
(名)スル

(1)見て知ること。

(2)江戸時代、毎年収穫不同の土地の作況を調べて納米高を決めたこと。

(3)見取り小作のこと。

(4)「見取り算」の略。
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久々に大人の方の体験入門者がいらっしゃいました。

でも、知らない顔ではない・・・


実は4年ほど合氣道をやっている姉妹のお母さんでした。
前からやってみたかったそうですが、なかなかタイミングがなく躊躇っていたそうです。
ただ、ちょっとした機会がありこの度体験してみよう・・・と前向きに心が動いたらしいのです。

合氣体操から基本の技などを体験していただく訳ですが


驚いたのはその完成度

センスの良い方でもなかなか出来ないことも
スラスラやってしまうのです。

本人は今まで部活動やスポーツなどは一切やったことがなく
それが不安だったそうなんです・・・運動のセンスがないんじゃないかと・・・


その人生の賜物か
対抗意識がないのです。ぶつかりあうとか、競り合うとかそういう心がないのです。
だから身体もぶつかり合わない。
自然に手を持ち上げるだけ・・・


何よりも
これだけスラスラ出来るのは4年間しっかりと娘達の稽古を見つめ続けたことが大きいのかも

「見取り稽古」と言う言葉があります。

かの柔術の達人も
見せるだけの稽古を続けてきたそうです。
手に手をとってもらえない弟子達は師が動いた瞬間、その一挙手一投足を見逃すまいと必死だったようです。


改めて見取り稽古の意義を教えてもらった氣が致します。

大人の白帯の方々の顔も青くなる・・そんな1日でした。





2009合宿…

2009年09月25日 11時11分30秒 | 合氣道
今年も神奈川県にて合宿が開催されました。
シルバーウィークと言うこともあって例年より若干少なめですかね…

しかし
大人で合宿初参加の方が4人。最近合氣道が面白くなって来た方々。
慣れている私ですら二日目から疲労感が漂ってくる稽古量でありますが、皆さんいたって元気!

普段握ったこともない木刀を延々と振るわけです。
たぶん五百本程度だと思いますが、初心者は腕だけで振るからキツかったんじゃないかな…

でも投げ技の本数稽古は例年より少なめ
また体育館の端から端までの歩伏前進やらアヒル歩きといった嫌がらせ的な運動もありませんでした。



疲れきっている私…


内臓のトレーニングがきつかったのかな…

二日合わせて6~7時間程度しか寝ておらず、お酒も抜けておらずボーッとしておりテンションを無理矢理奮い立たせている状態が続いておりました。
今回、私の場合は精神修行となっていたのかもしれません。

この状態が後の昇段審査に大きく関わってくることになるとは…知るわけもなく…

キツネの母

2009年09月18日 00時17分18秒 | 合氣道
昨日、渋谷にキツネくんの特訓に行ってきたのですが

ひとつ、わかった事が…
キツネくんが今月の昇段審査にこだわる理由。


稽古後に先生がそっと教えてくれました…

なんでも…


「お母さんに審査受けるって言っちゃったから…」


だって…




ほたえなーーーーーっ!!!!


ママとの約束だぁ!?

それだけのために意地をはっていたの????


母親ひとりに対して恥をかくことと
道場の皆の前で恥をかくこと・・
ちゃんと天秤にかけてみたのかな・・・


それ以前に大学生にもなって乳離れ出来ていないと辛いだろうな・・


どうなることやら・・・


キツネ目の男

2009年09月16日 13時54分35秒 | 合氣道
いや…キツネ顔の男の子のお話です。

今年は社会人が4名、高校大学生が4名ほど初段審査にノミネートされておりましたが半分が脱落。
大人3名が正式には許可が降りております。
しかし本来は年一回の昇段審査ではありますが今年はもれた子達にも、もう一度チャンスを…と言うことで12月にも急遽審査を行います。
そこで男子高校生一名の昇段を予定することになったわけです。

とゆうのも
彼らの在籍している道場は子どもしかおらず昇段するには圧倒的に技術、経験が不足しているのです。

そういった道場には、できる範囲で顔を出すようにしているのですが、いかんせん平日なものでサラリーマンとしては終業後に渋谷やら神奈川に行くのはちょっと大変でして…

話しは戻りますが
そのキツネ顔の大学生…
なんと今月の審査を受けたいと言い出しまして現在悩みの種となっております。
だって…
下手くそなんだもん…
12月に一緒に受ければいいのに~

でも
なんでそんな焦っているのかよくわからない
来年まで待てと言うわけではなく、3ヶ月順延されただけなのにね…


ここ最近二回ほど黒帯の集まる道場へやっと出稽古にやってきて審査の特訓やらされ、もみくちゃにされボロボロになっておりましたが、たった二回の稽古で黒帯が貰えるなら安いもの…
学校のテストじゃないんだから一夜漬けでどうこうなるもんじゃないからなぁ~
まあ、goサインを出すのはは先生なので何ですが…


とりあえず
うちの初段審査のテーマは「限界の向こう側」なので細かく技術を掘り下げられはしませんが、黒帯達が本気で投げたら怪我してしまいそう…

しかしながら
その意欲だけは拾ってあげなくてはならんかなぁ…と思い、本日仕事が終わってから渋谷までいってやろうかと…(合宿前最後の稽古日なので)


でも
なんでそんなに急ぐのかなぁ…

ま、まさか

黒帯貰ってとっとと合氣道辞める氣では!?

キツネ顔の男…今後の動向要チェックです。

よその部屋に出かけろ!!!!!

2009年09月15日 11時52分45秒 | 合氣道
でげいこ 2 【出▼稽古】

(1)芸事などの師匠が先方に出張して教えること。
(2)相撲で、よその部屋に出かけて稽古をつけてもらうこと。
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私になついて、いつもくっついてくる中学生のK。父親が亡くなりはしましたが、彼は変わらず元氣に稽古に通ってきております。

「じゃあ・・好きな人と組んで~」

と指示があると私の元へ跳んで駆け寄ってきます。
先生の指示で違う人と組まされると
「浮気者~」とボソッと言う可愛い子です。
また、稽古後に「すみません。少しだけいいですか?」と合氣道への意欲も旺盛で今後が楽しみな一人であります。

先日、先生と呑んでいたときに
「きっと、他の黒帯達にはないものを暁さんに感じているんだよ・・・」
とお褒めの言葉をいただきました。

さらに
「コウタも最近、全然変わって、すごく良くなってきたでしょ?
このあいだ聞いたんだよ・・・『おまえ暁さんに投げられてから合氣道に対しての興味が変わっただろ?』って・・・」

このコウタというのも中学生でKと同じ道場から出稽古に来ている子なんですが
当初、やる氣というか生気の感じられない子で運動もあまり得意ではない方で・・
ただ素直というか真面目というか、おとなし目の草食系な感じです。
ただ、最近はものすごく成長したというか、とても上達したし、何より生き生きと稽古を楽しんでいるように感じます。
(やはり出稽古に来て大人に揉まれるとココまで変わるんだ・・・)と思っていたのですが・・・

想えばコウタが初めて出稽古に来たときに
「暁さん!そいつ思いっきり投げちゃっていいから!」と先生の指示があったので久々のリミッターカット。

呼吸投げでちょっと思いっきり投げてしまったら足が浮き身体が空中に放り出され後は背中から自由落下・・・(いや・・少し叩きつけたかも・・・)
コウタはシコタマ背中を打った痛みと驚きで放心状態になったことがありました。
(実は投げた本人も驚いておりましたが・・・)


先ほどの先生の問いにコウタは「はい!」と答えたそうです・・・
あの瞬間から変わったのだと・・あの不思議な感覚が忘れられない・・
今、合氣道がとても楽しいのだと・・・

彼らの道場は子どもばかりの道場ではありますがKとコウタでガッチガチに稽古するようになったそうです。
また生気もなく言葉すら聞き取れないような子だったコウタが今は出稽古先で教わったことを皆に率先して教えていると言うのです・・


酒も手伝ってか、それを聞いて涙がボワッと溢れてきました・・

(コウタがそんな風に感じてくれていたなんて…)

心に響く技…
不思議な感覚…
これからも大切にしていきたいと思います。




とまあ
きれいごとばかりを書きましたが、中高生達からは「曉さんとはイヤ!」と敬遠されているのが現実だったりします…

故人が紡ぐ縁

2009年07月10日 13時32分56秒 | 合氣道
Kの親父さんが亡くなった。

肺がんと脳腫瘍を患っていた。
「調子がわるい…」と入院した翌日から意識を失ない2ヶ月の昏睡。皆、覚悟をしていたとはいえ悲しみの軽減などない。

先生を筆頭に合氣道の主だった面々が通夜に参列した。

奥で食事をさせていただいていると
「今日はありがとうございました…」とKが顔を見せた。
いつもと変わらない雰囲気だったが、制服を着ているせいか妙に幼く見えた。

良い言葉も見つからず

「また合氣道やろうな…」と肩をたたくと

「はい…」
と少しだけ微笑んだ。


席を立ち帰ろうとしたところ、すでに焼香の列はなくなっていたが棺の窓が開いていたのでお顔を拝ませていただいた。
死に化粧とは皮肉なもので生前よりも活き活きとしている故人がいた。


会場をでると合氣道関係者が数名かたまっていた。
私は初めてお会いする方が殆どである。それもそのはず会発足当時の会員ばかりで、まるで同窓会のように懐かしみ、その輪は次第に大きくなった。

先生も挨拶などを終え
「ちょっと一軒行こうか…」といったところでとある人物が現れた。


なんと侍子さんである。

皆は
「あれ~久しぶり~」
などと和気あいあいとしたムードであったが私は先生の雰囲気が一瞬で変わったことを察した。
先生は一言だけ挨拶を交わすと背を向け一人歩き出した。腰巾着の私はそれを追いかけた。

とりあえず店に入ることに…
(まさか来ないよな…)
と思っていたが、程なくして堂々と侍子さんは現れた。
しかも先生の真正面に座っている…(失敗した~)

周りは昔話に盛り上がる中、2人の間には異様な空気が…


なるべく遮るように喋りまくり話を明後日の方向へと…


疲れました。

こういった場では善き縁も悪き縁も混濁し、トラブルも多かったりしますが…

(高段者なら氣だけじゃなく空氣ぐらい読めよ…)と心で呟いておりました。


まあ
そういった人だからあのような事件を起こすのですが…

これを期に何気なく道場に顔を出し始めるのがコワイです。