まったりブログ

日記であったり、趣味の小説書いたりしようかなと。。
でも更新頻度は不明だからまったりと♪

2年目のシーズン 5

2021-12-15 14:43:17 | 日記
ハーフウェーラインよりも手前からの味方からの裏へのスルーパス。
多少強引なパスだったが、足の速い交代したメンバーなら追い付ける。
ここしかないという絶妙なパスとなった。
後はうまくトラップしてそのままシュートにもっていくだけ。
だが、トラップが乱れディフェンスに追い付かれシュートにもっていけない。
そこへフォローし走りこんでいた僕はパスを要求し足元へのパスがきた。
パスを受ける前に顔を上げると前にDF1人とGK。
どんな形でもいいのでゴールにねじこみたかった。
パスを受ける瞬間の僕の中でのイメージはDFをふりきれなくてもワンフェイントを入れてそのままシュートすることだった。
仮にフェイントを入れずにシュートを打てばDFに当たってしまう。
おまけにゴールへの角度も悪くGKに簡単にキャッチされるかもしれない。
だからといって周りのメンバーは他に近くにいないし、もしキープしてもたつけば奪われカウンターの恐れもある。
結局僕はパスを受けた瞬間、イメージ通りにワンフェイント入れてDFとの間を作り出し空いたコースにおもいきりシュートを打った。
その瞬間、これまで走りまわっていたツケがきてしまい、蹴った瞬間に足をつり倒れこんでしまったためシュートの行方が見れなかった。
結局シュートはGKに弾かれコーナーキックとなっていた。
この勝負処で決めるしかない。
すぐにチームメイトに足を伸ばしてもらいながらこのコーナーキックに賭けた。

足を伸ばしてもらいながら言われた。
「これ最後のチャンスかもしれん。狙えると思ったら迷わず打ってくれ」
多分ジャンプをしたらまた足がつってしまう。
それくらい足の限界が近いことが分かっていた。
そうなればコーナーキックでの競り合いでは何の役にも立たない。
延長戦に入れば今の状態だとメンバーチェンジをするしかない。
だからこのコーナーキックがほんとに自分にとっては最後のチャンスだと思っていた。
だから普段はコーナーキックの時には僕が蹴りにいくか中で競り合う形のポジションにいくのだが、今回は相手DFがはじいた時を想定しペナルティエリアの外に待機してチャンスを待った。
コーナーキック。
味方からの絶妙なキックだったが、相手GKが飛び出しボールをパンチング。
そのボールが落下点を狙っていた僕の足元へと転がってきた。
「迷わず打て」
そう言われていたが、実際ボールが転がってくると正直迷った。
ペナルティエリア外。
しかもシュートコースも見当たらない。
その混戦の中、一つだけ分かっていたこと。
パンチングして飛び出したGKがまだ戻りきれていない。
僕は自分のキックの精度を信じシュートを打った。
右も左もDFがポストにはりついていた。
狙ったのは飛び出したGKの上を超えていくゴール真ん中へのループシュートだった。
ループシュートじたいは試合では何度も決めていて好きなプレーでもあったが、ペナルティエリア外からは多分初めて打つ。
そのため精度も距離感もかなり不安はあったが、打った瞬間シュートが入ることを確信するくらい綺麗なループシュートを打つことが出来た。
一瞬、敵も味方もどこに蹴ったんだとばかりに周りの動きが止まったが、その間にボールはゴールへと吸い込まれていく。
半分ガッツポーズをしかけたが、このシュートは惜しくもクロスバーに当たってしまう。
その跳ね返りを味方がヘディングで押し込んだ。
1-0。
ついに試合が動いた瞬間だった。
自分じゃなくてもいい。
誰が決めてもチームのゴール。
僕は点を決めてくれたチームメイトの元に駆け寄りもみくちゃにするつもりが、逆に僕が他のチームメイトにもみくちゃにされ祝福してもらった。
「ナイス判断」
「最高のループやった」
「お前はほんまループが好きやな~」
みんなようやく決まった得点に笑顔で疲れも忘れるくらいに僕自身も嬉しかった。

ところがそこから試合終了までの5分。
ロスタイムを含めても6~7分。
この間の相手の猛攻が凄まじかった。
絶対に追い付くという気迫とどんな形でもゴールを奪うという執念のようなものすら感じ怒濤の攻撃をしかけてくる。
うちのチームは足が動かなくなりそうなメンバーが何人もいる中、相手チームはそれを感じさせないくらい激しく動いている。
必死の思いでボールを何とかクリアをしてもまた相手のボールになる。
正直いつゴールを奪われてもおかしくないくらいの攻撃が続いたが最後のところで何とか凌ぐ。
そして、ようやくタイムアップ。

試合終了後、喜びをチームメイトで分かち合うというよりもまず初めにようやく終わったという安心感からかみんなその場に座りこんだ。
正確にはその場から動けなくなったといったほうが正しかったかもしれない。
それほど疲労し力尽きるまで戦っていた。
何人かの人は試合終了と同時に足をつり動けなくなっていた。
それを相手のチームの選手が足を伸ばしてくれていた。
元々はチームメイトだったということもあり試合後はお互いに笑顔で会話していた。
それを眺めながら高校時代共に戦ったメンバーが敵チームとして県で優勝を争う。
そんな羨ましいことはない。
僕はそう思いながらその会話をしているメンバー達を見ていた。

後から知ったことだが、試合後にチームで記念撮影がありそれがどの新聞だったかは不明だが、わりと大きめに掲載されていたらしい。
もちろん個人の名前入りで。
当時はまだ若くそれが掲載されたことを知っても何とも思わなかったが、今にして思えばその写真をきちんと額に入れて飾っておけばよかったと後悔している。
こうして記憶にある限りでは最初で最後の大会となったこの大会で優勝し県1位を獲得することが出来た。