古い木造の小さな駅舎の待合室。
外は丁度逢魔の時で、
外を覗くと外の世界が若干歪んで見える気がする。
その時待合室の天井にブラりとさがった白熱電球が薄くついた。
同時に何所からとも無く虫の鳴き声がする。
ジー
嫌な音だ。
上りの電車まで後10分ちょっと。
さっきまで鮮やかなオレンジ色だった外の光も、
あっち側に引きずられて行きそう。
俺も一緒に巻き込まれたら大変だ。
「さて行きまっか」
鞄を持って立ち上がった瞬間かすかに声が聞こえた。
「まって」
もう見づらくなった外を覗くと、
1人の女がぽつり、ぽつりと歩いてくる。
俺はだまって彼女を待った。
「あ~電車行っちゃった」
やっと駅舎に入ると彼女は云った。
「走れば間に合ってたさ」
俺はそう云って彼女の頭をこずく真似をした。
彼女はそれを避ける真似をする。
「一時間に一本しかないってのも悪いわね」
彼女はうそぶく。
気がつくと虫の音も消えてしまって、
ただの静寂があたりをつつんでいた。
駅員の気配さえ消えてしまっていて、
今は天井の白熱電球のみが頑張ってついていた。
偉い偉い。なんか可笑しくなって含み笑を浮かべてしまった。
彼女はそんな俺の顔をしたからのぞきこんでいた。
「変なの…」
外は丁度逢魔の時で、
外を覗くと外の世界が若干歪んで見える気がする。
その時待合室の天井にブラりとさがった白熱電球が薄くついた。
同時に何所からとも無く虫の鳴き声がする。
ジー
嫌な音だ。
上りの電車まで後10分ちょっと。
さっきまで鮮やかなオレンジ色だった外の光も、
あっち側に引きずられて行きそう。
俺も一緒に巻き込まれたら大変だ。
「さて行きまっか」
鞄を持って立ち上がった瞬間かすかに声が聞こえた。
「まって」
もう見づらくなった外を覗くと、
1人の女がぽつり、ぽつりと歩いてくる。
俺はだまって彼女を待った。
「あ~電車行っちゃった」
やっと駅舎に入ると彼女は云った。
「走れば間に合ってたさ」
俺はそう云って彼女の頭をこずく真似をした。
彼女はそれを避ける真似をする。
「一時間に一本しかないってのも悪いわね」
彼女はうそぶく。
気がつくと虫の音も消えてしまって、
ただの静寂があたりをつつんでいた。
駅員の気配さえ消えてしまっていて、
今は天井の白熱電球のみが頑張ってついていた。
偉い偉い。なんか可笑しくなって含み笑を浮かべてしまった。
彼女はそんな俺の顔をしたからのぞきこんでいた。
「変なの…」