JGFAのイヤーブック2024年版のT&Rプログラムの対象魚種91種の毎年の放流数及び再捕数、それらの累計が発表されていますのでそれを少しみてみます。
2023年12月現在、放流数累計が最も多いものから、マルスズキ129,401(再捕数1,534、再捕率1.19%)、次いでシイラ12,391(再捕数111、再捕率0.90%)、クロダイ6,690(再捕数49、再捕率0.73%)、ブリ5,768(採捕数219、再捕率3.80%) 、 ヒラスズキ5,492(採捕数156、再捕率2.84%)となっています。
再捕率で高いものからみると、メダイ放流数6(再捕数1、再捕率16.67%)、メバチ放流数77(再捕数12、再捕率15.58%)、クロソイ放流数225(再捕数19、8.44%)、アカメ放流数が911 (再捕数90、再捕率9.88%)、イシガキダイ2,118(再捕数118、再捕率5.57%)、カンパチ1,780(再捕数96、5.34%)です。
身近で人気のあるマルスズキはさすが、放流数の桁が違います。
アカメをみてみると放流数が911 (再捕数90、再捕率9.88%)です。全魚種のうち、再捕率で4位にランクされています。ただ、この数字をどう見るのか?上位の1〜3位は放流数が少なく、1位のメダイなど放流総数が6個体です。とはいえ、生息域、各対象魚への取り組み人数などそれぞれ大きく違います。難しいところですね。
特にアカメの場合、放流数が浦戸湾がとても多いのが特徴です。高知県全域に生息しているとはいえ、T&Rに参加している釣人は数えるほどです。高知市以外では5人もいないと思います。また、アカメの場合、釣りの方法によっても大きな違いがみられます。
最初の再捕例は奇しくもわたしが釣ったアカメでした。日本初のアカメの再捕獲でした。このアカメは1995年7月16日に高知市の釣り人が釣ったものに徳島県在住のJGFA会員の方がタグを打って放流したものです。そして、1996年6月20日、放流した場所から数メートル離れた同じフィールドでわたしが釣りました。
それまでタグというものがあるというのは知ってはいましたが現物を見たことはなかったのです。
当時は、釣ったアカメは全てキープしてサンプルにしていました。
家でアカメを解体しながらサンプリングしていると
あれ?背中に海藻が生えている?
見逃しているかも? 背中の異物にきをつけましょう!!
そのままリリースしていたらタグには気づかずのままだったことでしょう。当時はサンプリングのため釣ったアカメは全てキープしていたため、データをとっているうち気づいたのでした。もし、背中に海草が生えていたら要注意!タグの可能性がたいへん高いです。このタグにはカクレイト目カクレイト科スジムカデという海草がびっしりと繁茂していました。スジムカデの生息域は、海水生で潮間帯の砂地と岩がある岩の上です。
スジムカデという海草がタグにびっしりと繁茂しています
浦戸湾で多く見られる藻類の画像を紹介します。
① ②
浦戸湾内で再捕された標識に多く見られる藻類です。
①はびっしりと付着していて昼間でもタグだと気づかないかもしれません。
②は経過日数が少なく付着した藻類もうっすらと付いている程度です。
③
③ この画像は2007年12月20日、釣られたアカメのお腹の中に装着されたアーカイバルタグです。2007年6月29日に浦ノ内湾の宇佐町で放流されたものです。このアカメ、浦戸湾流入河川河口で釣られて、宇佐で放流され、174日後、ほぼ最初に釣られた場所に近いところで再捕されました。
タグに付いている肛門付近の藻類は不明ですが、大きなものはスジムカデだとおもわれます。
このように、標識放流されて日数を重ねるにつけタグには藻類が付着し、さっと見ただけではタグに気付かないことが多いと思われます。背中に異物が付着していたら是非確認してください。
余談です。
昔、東部のある河川の河口域でアカメ釣りをしていた頃の話です。そのフィールドで知り合った釣人から聞いたのですが、彼が釣ったアカメの背中に海藻が生えていて、あれえ?と思って探ってみると、銛が背中に入っていてその銛についていたロープの切れ端に海藻がびっしりついていたそうです。
アカメも釣りで狙われ、銛で狙われたいへんだなあ。そうそう、銛といえば、以前、素潜り漁をしている方から、明石海峡の明石の海岸でアカメを突いたとサンプルを送ってもらったことがあります。このアカメは兵庫県で初めて捕獲されたアカメでした。
もとい。
私が知っているアカメの釣り方といえば、エサ釣り、ルアー釣り、延縄ぐらいです。そうそう、昔、浦戸湾でサビキ釣りをしていて、アカメの幼魚がどっさりつれたという記事を見たことがあります。ただし、これはたまたまですので、主な釣り方としては、餌釣り(延縄にも餌をつけるのでエサ釣りの範疇ですね)、ルアー釣りに大別できると思います。
さて、2024年9月15日現在、アカメの再捕獲数は112例となっています。
つづく
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