理解できんこの世の中

平和な日本、安全な日本。でも不満がいっぱい。理解しがたいことを考えます。

BSE-米国産牛肉輸入再開は大丈夫?!-20カ月齢以下はOKの根拠 Part2

2005年03月11日 23時02分45秒 | BSE関連
3月11日、食品安全委員会は、BSEの全頭検査を21カ月齢以下に範囲を緩和しても汚染度は変わらないという見解を示した。
でも、ちょっと待てよ。これまでに発見されたBSE感染牛の最低月齢は21カ月齢。21カ月齢の牛は感染しても、20カ月齢の牛は”ほとんど”感染していない、というのは素人ながらよく理解できんなぁー。
ちなみに、21カ月齢と20カ月齢の差っていうのは、実は30日ではなく、最短では1日しかないんですよ。
月齢の計算方法は決め方によって何種類かあるけど、例えば1カ月齢を30.4日(365日÷12か月)とすると
生後639日の牛は639日÷30.4日で21.02カ月齢となり、BSE検査必要となります。
だけど、生後638日の牛は638日÷30.4日で20.99カ月齢となり検査免除となります。この差1日。異常プリオンの蓄積量がこの1日で劇的に変わるわけじゃないよ。
たしかにどこかで区切りをつけようという発想はわかりますが、21カ月齢でBSE感染牛が判明していることを考えると、20カ月齢に区切りを求めるのはかなり乱暴であるとしか言いようが無い。
これまでの食品安全委員会の中でも、21カ月齢で感染が判明した牛が、20カ月齢、あるいはそれ以下の時点でBSE検査した場合、判明したかどうかわからない、としていた。
そう、もしかしたら20カ月齢以下の時点でもその牛は感染が判明したかもしれないのである。
世界的にみても20カ月齢以下の感染はほとんど判明した例が無いようであるが、そもそも、そんな若い牛は検査していないのである。アメリカは死亡した「へたり牛」の一部しか検査していないし、ヨーロッパでも30カ月齢以上しか検査をしていない。
これでは、20カ月齢以下の感染例が見つかる筈ないではないか。

更に、今後BSE検査精度がどんどん向上していくと考えられる。
実際、東大と伊東ハムの研究で、より短時間で検査結果がわかるようなチップが開発されている。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20050304AT2G0401204032005.html
短時間で結果がわかるということはすなわち、少量の検体で検査が行える、検査精度が向上したということである。

また、北海道大電子科学研究所の研究では、血液検査でBSE判定が可能となったとしている。
http://www.kahoku.co.jp/news/2005/03/2005030501000046.htm
血液中に異常プリオンが存在することは、あまり一般的に知られていなかったかもしれないが、輸血などでBSEは感染しているのである。しかし脳などの特定危険部位(SRM)に比べると異常プリオンの存在量は極めて少なく、これまで検査できなかったのである。
しかし、血液検査でいいとなるとこれは革命である。ノーベル賞ものだね。検査精度が大幅に向上しているばかりではなく、なにより牛が生きているうちに検査ができるのである。まぁここでも異常プリオンの蓄積度合い、即ち月齢などが課題となるだろうが、明らかに検査精度は向上の余地をみせている。

さて、これまでの検査方法では20カ月齢以下の牛は検査対象から除外してもリスクは増加しないとした今回の食品安全委員会の見解、今後、検査精度が上がった時、どうするんでしょう?
例えば「15カ月齢以上なら血液検査で結果がわかるよー」となった時は?
そう遠くない将来にはそういう時代がきますよ。
「やっぱ、検査できるようになったから、全頭検査再開しまーす」なんて安直な政策転換をするのでしょうか?

もっとドツボにはまりそうなのが、今回の決定を受けての米国産牛肉輸入再開です。
20カ月齢以下は輸入OKとした場合、「検査精度が上がったから、やっぱり15カ月齢以下に変えるわ」なんてできないよ、絶対。

だから、米国産牛肉の輸入再開は、20カ月齢以下は検査できないから、検査しないでも輸入OKなんて話じゃなく、20カ月齢以下は安全だからOKという科学的根拠が必要なのではないかな。

明日以降、特定危険部位について考えよう。