「結局、ホテルに泊まってしまうことになったね。
まさか、こんなふうになると思わなかったな。」
すっかり身体を洗って、さっぱりした顔になった立原さんが
ベットでいいます。
「でも、私、ジュースをこぼしてくれてうれしかったんです。」
「ええ?」
「だって、あのまま立原さん帰ってしまいそうだったから。
自分でなんで、立原さんが困ってるのにうれしいんだろうって思ってたんですが
やっぱりこうしてもらいたかったんですよね。
こういうの、一目ぼれっていうのかな?」
「なんだろうね。
出会い系サイトじゃないのにね。」
「私のブログはただの日記ですよ!」
「あはは、俺は、一目見て
『これは、ホテルにさそったりしちゃいけないコだ』
って思いました。」
「さそってよさそうなコもいるんですか!」
「ノーコメントで」
「だめですよ、初めて会った人なんかホテルに誘っちゃ…
って私が言っても説得力ないですね。」
「とにかく、
『大切にしなくちゃならない女の子』
だなって
そう思ったんだよ。」
「うれしい。
明日、ホテルからいっしょに直接出かけられますね。」
「どこ見たいの?」
「ホテルの天井」
「また、古い映画のセリフを!」
「あ、知ってるんですね。ネタバレしちゃってる」
「一泊の予定だった?」
「そうです、急に決めたので、予定もアヤフヤで土曜日の夕方に家に帰ろうと思ってました。」
「じゃあ、明日起きたらスグに東京駅にいこう」
「?」
「非番だから日曜日も案内できるよ。電車のチケットを買い換えようよ。
それで、ぜひ、見て欲しいところがあるんだ。」
「え、どこですか 消防博物館とか?」
「あははは
まさか、違うよ
俺のマンションの部屋の天井!」
「あはは、ぜひ見せてください。興味あります。」
(もしかしたら、そこにもルックダウンウインドウがあるかもしれないな)
と思いながら、
寄り添っている人が居る安心感の中で、
眠りについたのでした。
というリクエストで出来たお話です。
いかがでしたでしょうか?