右折した直後にすぐさま左折して大通りに至る信号機の
ある交差点を運転中に携帯電話が鳴ったので、取り急ぎ
クランクにハンドルを切りながら信号を確認するとなんと
黄色から赤に変わる直前でした。
危うかった と焦りながら通りに出て電話をとると
連絡待ちをしていた相手からのコールでした。
長い話になるなら車を運転しているので路肩に止める
旨を相手に伝えると、(なぜ、さっさと止めないんだ)
(交通違反じゃないか) と、暗に催促をするかのような
トーンの声に聞こえたのです。
「運転中 … 」 とばかりに、訝(いぶか)る素振りで
非難する空気を醸し出すその声に気圧(けお)されたわけ
ではないけれど、たまたま交通量の多い大通りで運良くも
停車帯を見つけることができたので、縦列駐車をしている
大型トラックの群れの側面で大きくブレーキを踏み込んだ
のですが …
どうしたことか、なかなか車が止まってくれないのです。
それでも停車帯の終わりギリギリの位置まで来たところ
でどうにか止まり、電話に出ると今度は何回呼びかけても
まったく応答がないのです。
その時でした
着信コールが再び鳴り響いたように感じたのです。
でもそれは左手に持った耳もとにある携帯から発せられ
る着信音ではなく、どこか右手のしかも遠くから …
それも徐々に近づきながら、その音はだんだんと力強く
なっていったのです。
それが、一段とけたたましく聞こえ始めた時でした。
(電話だ) ハッ として目が覚めたのです
枕もとに置いてあった携帯電話からの音だったのです。
「おはようございます」 と出てみると、果たして、翌朝に
連絡すると約束があった相手からです。
つい先刻まで 「運転中 … 」 と訝(いぶか)られて
いたはずのまさにその相手からの電話でした。
だとしたら、さっきまでの電話は …
おいおい、
あれは (予知夢だったのかぁ) 唐突にそんなことを
考えながらも、気がかりだった案件が無事に了承された
ことを知らせる内容に安心したのか、今度は深い眠りに
陥っていったのでした。
内諾の了解を得た安堵感はそれから1時間半ほどの
熟睡を恵んでくれはしたものの、妙な蒸し暑さのなかで
汗ばむ不快感に、結局は勝てなかったようで …
日曜日の朝8時半に目覚めてなお、暫し、「あの夢」 は
いったいどうしたことだろうと考え込んでしまったのです。
運転中にかかって来た電話やクランク移動をする進路と
信号の変わりぎわの交差点というシチュエーションを辛う
じて突破し、やっと見つけた停車帯でブレーキを踏んでも
どうにも止まらない車が最後の最後で何とか停車する。
そして何よりも、交通違反行為を諌めるかのような暗黙
の恫喝をしていた相手が、なぜかこちらからの呼び掛けに
反応を示さなくなっている状況の意味するものとは …
ひょっとして、
それは得点差以上に見せつけられた 対ブラジル戦 の
衝撃 と 失望感 がなせる業(わざ)だったのか
それはまるで、ほんの2時間半ほど前まで見入っていた
コンフェデレーションズカップ の 対ブラジル戦 における
ザックJAPAN の姿を彷彿 とさせるような展開
だったからです。
昨夜、否、今日の未明にキックオフされた対ブラジル戦
を見届けてから床についたのは、午前6時過ぎでした。
9時頃にあると思っていた電話は、2時間も早く鳴って
心を楽にしてくれたのですが、その前に見た惨敗の記憶
が不安な気持とあいまって、脳が思ってもみない悪戯を
仕掛けてきたのかもしれません。
それにしても、「あの夢」 は予知夢だったのでしょうか
着信が入るその直前まで、一連の夢を見ていたのは
紛れもない事実です。
連絡を待っていた相手との電話中に、着信音が鳴って
目が覚める ―― 携帯電話に出ると期せずしてその相手
からのコールだった。
この現象は、
予知夢だけではなく 共時性(シンクロニシティ)を
も連想させるような出来事です。
でも、
なんだかんだといろいろと考えて得た結論は、予知夢や
共時性などではなく不安な気持で浅い眠りについたところ
で、承諾の知らせを告げる携帯の最初の着信音が鳴った
その瞬間にリスクを冒しながらも思い通りにならないような
夢を脳が勝手に創作したのではないのでしょうか
まあ、言ってみれば、惨敗の後遺症を引きずったままに
眠りに入ると待っていた電話が鳴った、その一瞬のあいだ
の 「刹那の創作」 …
そう思うと、それはそれで十分に腑に落ちる話なのです。
予知夢だとしたら、なんだか特別な能力が備わっている
みたいで、なんとも刺激的なのですが …
「そんな馬鹿な」 と一笑に付されるのがオチで
しょうから 「なんてこったい」 などと
叫びたくなるような嘆きのイタリア戦 とならないように
次回のザックJAPAN の戦士たちの
大いなる 奮起 と活躍に期待しましょう
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