民法が改正されたとのこと。
その一つが、瑕疵担保責任。
この瑕疵担保責任に関する規定の法的性質を法定の担保責任ではなく、契約不適合責任、平たく言うと債務不履行責任に統一してしまったようです。
そのため、改正民法では、瑕疵担保責任に関する規定を削除し、具体的には、売主は、目的物が特定物か不特定物かに関わらず、当該売買契約の内容に適合した目的物を引き渡す契約上の義務を負っているという理解のもとで、欠陥のあるものを引き渡した場合には、売主は契約に適合しない物を引渡したことによる責任(契約不適合責任)を負うとの考え方をとることにしました。
正直なところ、おぎどん的には、どうかなあ?という改正ですね。というのも、特定物との関係ですね。これをまるっきり否定するのもどうかなと。
特定物のドグマといって、最近の学者からは前近代的などと批判をされている考え方ですが、それは、「売買などの目的物が土地や中古自動車といった物の個性に着目した物(特定物)である場合には、その物を引渡せば足りる」というものです。
これについては、改正前の民法483条には、「債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。」と規定されていたんです。まあ、例えば、この目の前にある中古車が欲しい売ってくれと言われてそれに応じた場合、基本的には、その目の前にある中古車を現状のまま引き渡せばいいということです。当初、中間案では、学者の皆さんは、この規定を削除するつもりだったようですが、さすがに、削除はされず、「債権の目的が特定物の引渡しである場合において、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、」という要件を付けて改正されました。
その特定物の売買において一定の品質が要求されたのであれば、その合意に基づく契約責任として処理すれば良く、そんな事情もないのに、あとで品質が悪かったと言われても困るでしょう。そんなことは契約時に言って欲しいというのが、売主の心情です。
とは言え、改正前の民法は、買主に対してまったく保護をしていないわけではなく、その売買の目的物に「隠れたる瑕疵」があれば、買主に契約の解除と損害賠償を認めるかたちで保護を図っています(改正前民法570条、566条)。
ちなみに、こんなのは不公平だというのが一連の契約責任原理主義者の学者の皆さんです。その結果、民法上では、欠陥のある特定物の引渡しを受けた場合に、買主が売主に対して請求できる権利の内容が拡大しました。具体的には、契約不適合責任として、損害賠償や解除の外にも、他の物の引渡しや修繕を求める追完請求や代金の減額請求も認められるようになりました。改正条文は以下のとおり。
>>>
(買主の追完請求権)
第五百六十二条1項 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
(買主の代金減額請求権)
第五百六十三条1項 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
>>>
契約解除、損害賠償請求の他に、修補請求、履行の追完、代金の減額請求が認められるわけですが、これを特定物の場合にまで一律に及ぼすのは、果たしていかがなものか。
たとえば、先に述べた中古車の売買で、エンジンの調子が良くないけれども車検には合格している場合、果たして、売主はエンジンの修理や代わりの車の引き渡しをしなければならないのか。また、代金の減額にも応じなければならないのか。正直疑問です。この場合、走行距離など品質の程度に応じて値段相応で買っていることが多く、現行法のもとでは、問題にはなっていませんが、改正法の下では、これが認めれる可能性があります。
また、契約責任原理主義者によれば、これは契約適合責任だと言っていますが、果たしてそれも本当に大丈夫なのか?
たとえば、先に述べた中古車の売買で車に何らかの故障がある場合に、これは十分に走れる状態ではないですよと売主が説明したにも拘わらず、買主がそれでも良いと言って購入し、しばらくしたら車が壊れたと言って買主が責任追及を買主にした場合、売主は、瑕疵担保責任を問われる余地はありますが、契約不適合責任については、売主は説明責任を果たしているから契約不適合責任に問われることはない。客観的な事実の問題である目的物の「瑕疵」と客観的な事実の他に当事者の主観面も合わせて解釈判断せざるを得ない「契約(不適合)責任」とは全く別の概念ですが、それを区別することもなく瑕疵担保責任を契約責任で代替するだけでは、混乱を引き起こすと思います。
まあ、しばらくは、この新設の契約不適合責任については、契約書などで別の定めをするなどして、対処することが望まれます。というか、大半の企業がそうすると思います。大半の企業が契約や約款などで民法と異なる規定を置くようになれば、この改正法も使われなくなります。契約責任原理主義者の学者の皆さんは、そこまで考えてはいないので、おそらく法律を無視しているなどと言いだすと思いますね。
その一つが、瑕疵担保責任。
この瑕疵担保責任に関する規定の法的性質を法定の担保責任ではなく、契約不適合責任、平たく言うと債務不履行責任に統一してしまったようです。
そのため、改正民法では、瑕疵担保責任に関する規定を削除し、具体的には、売主は、目的物が特定物か不特定物かに関わらず、当該売買契約の内容に適合した目的物を引き渡す契約上の義務を負っているという理解のもとで、欠陥のあるものを引き渡した場合には、売主は契約に適合しない物を引渡したことによる責任(契約不適合責任)を負うとの考え方をとることにしました。
正直なところ、おぎどん的には、どうかなあ?という改正ですね。というのも、特定物との関係ですね。これをまるっきり否定するのもどうかなと。
特定物のドグマといって、最近の学者からは前近代的などと批判をされている考え方ですが、それは、「売買などの目的物が土地や中古自動車といった物の個性に着目した物(特定物)である場合には、その物を引渡せば足りる」というものです。
これについては、改正前の民法483条には、「債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。」と規定されていたんです。まあ、例えば、この目の前にある中古車が欲しい売ってくれと言われてそれに応じた場合、基本的には、その目の前にある中古車を現状のまま引き渡せばいいということです。当初、中間案では、学者の皆さんは、この規定を削除するつもりだったようですが、さすがに、削除はされず、「債権の目的が特定物の引渡しである場合において、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、」という要件を付けて改正されました。
その特定物の売買において一定の品質が要求されたのであれば、その合意に基づく契約責任として処理すれば良く、そんな事情もないのに、あとで品質が悪かったと言われても困るでしょう。そんなことは契約時に言って欲しいというのが、売主の心情です。
とは言え、改正前の民法は、買主に対してまったく保護をしていないわけではなく、その売買の目的物に「隠れたる瑕疵」があれば、買主に契約の解除と損害賠償を認めるかたちで保護を図っています(改正前民法570条、566条)。
ちなみに、こんなのは不公平だというのが一連の契約責任原理主義者の学者の皆さんです。その結果、民法上では、欠陥のある特定物の引渡しを受けた場合に、買主が売主に対して請求できる権利の内容が拡大しました。具体的には、契約不適合責任として、損害賠償や解除の外にも、他の物の引渡しや修繕を求める追完請求や代金の減額請求も認められるようになりました。改正条文は以下のとおり。
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(買主の追完請求権)
第五百六十二条1項 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
(買主の代金減額請求権)
第五百六十三条1項 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
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契約解除、損害賠償請求の他に、修補請求、履行の追完、代金の減額請求が認められるわけですが、これを特定物の場合にまで一律に及ぼすのは、果たしていかがなものか。
たとえば、先に述べた中古車の売買で、エンジンの調子が良くないけれども車検には合格している場合、果たして、売主はエンジンの修理や代わりの車の引き渡しをしなければならないのか。また、代金の減額にも応じなければならないのか。正直疑問です。この場合、走行距離など品質の程度に応じて値段相応で買っていることが多く、現行法のもとでは、問題にはなっていませんが、改正法の下では、これが認めれる可能性があります。
また、契約責任原理主義者によれば、これは契約適合責任だと言っていますが、果たしてそれも本当に大丈夫なのか?
たとえば、先に述べた中古車の売買で車に何らかの故障がある場合に、これは十分に走れる状態ではないですよと売主が説明したにも拘わらず、買主がそれでも良いと言って購入し、しばらくしたら車が壊れたと言って買主が責任追及を買主にした場合、売主は、瑕疵担保責任を問われる余地はありますが、契約不適合責任については、売主は説明責任を果たしているから契約不適合責任に問われることはない。客観的な事実の問題である目的物の「瑕疵」と客観的な事実の他に当事者の主観面も合わせて解釈判断せざるを得ない「契約(不適合)責任」とは全く別の概念ですが、それを区別することもなく瑕疵担保責任を契約責任で代替するだけでは、混乱を引き起こすと思います。
まあ、しばらくは、この新設の契約不適合責任については、契約書などで別の定めをするなどして、対処することが望まれます。というか、大半の企業がそうすると思います。大半の企業が契約や約款などで民法と異なる規定を置くようになれば、この改正法も使われなくなります。契約責任原理主義者の学者の皆さんは、そこまで考えてはいないので、おそらく法律を無視しているなどと言いだすと思いますね。
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