1981年製のトーカイ・シルバースターストラト。たぶんSS40で定価4万円クラスのビギナー向け。ジャパンビンテージといわれる頃の成熟期で時代的にはプリCBSのフェンダーよりCBSのコピーの方がメジャーだった時期。売筋はやはりラージヘッドのカレントモデルだったのであろう。フェンダージャパン登場以前のリアルフェンダーコピーはやっぱりトーカイだった。
このギターを入手した同時期に楽器店で1973年製のフェンダーのビンテージストラトを調整してみたがこのギターと何も変わらない。本家フェンダーより音に張りがあり独特のトレブル感がしっかりある。レインボーのリッチーブラックモアサウンドだ。驚くのがこのピックアップ。フェンダーカスタムショップよりいいではないか。このころの日本のメーカーは一番売筋の廉価版クラスが妙に素晴らしく、上級クラスはピンと来ない感じが多い。その代表例だ。
ボディはセンか何かの3ピース。よく見るとアルダーのような木目も見えるが総重量3.2kgと軽量な為、アルダーの可能性大。ブリッジもダイキャスト一体型。ネックはややファットなカマボコ。ボリュームカーブとセレクトSWがいまひとつなのでPU以外のアッセンは全て交換した。コンデンサーは60年代のスプラグのバッファーというセラミックコンデンサー0.05.やっぱりラージヘッドにはフィルムじゃなくセラミック。最近はコーネルダプラーやスプラグのフィルムのコンデンサーばかり使っていたがストラトにはセラミックのほうがいいかもしれない。ミッドとローエンドを残したままトレブルが落ちていくのでトーンを絞り切ってもパンチがある。病みつきになりそうだセラミック!価格もまだフィルムよりお手ごろなのでお薦め。配線材はいつものオールドベルデン。
このCBSフェンダー最大の発明はこの3ボルトマイクロティルトネックだろう。ネックポケットの加工精度の悪さをごまかすパーツなんていうイメージがプリCBS至上主義に蔓延している話だがレオフェンダーがそんな発明するはずが無い。そこにはフェンダー・ギブソン神話を打ち崩したい他社の思惑も見え隠れする。確かに70年代後半は本家ブランドの品質低下と新興メーカーの乱立。歴史のあるアコースティック楽器製造のクラフト魂をエレクトリック楽器製造に当てはめてのイメージ戦略などエレキギターに関する価値観が変わっていく時代でもあった。ネックポケットとネックに隙間が無いとかシムが入ってないとかいろんな迷信が数多く専門誌に書かれた。それは音にどんな影響があるのか誰も知らなかったわけでイメージだったのである。チューニングが出来ないようなコンディションの楽器の話ではなく普通のギター、特にストラトに対していろんなことを言ってきたのである。デタッチャブルネックのギターの弱点を見事、商売のネタにした。本来ギターの鳴りを決める最大の部分はネック角度とブリッジにかかる適正なテンションだ。ネック交換をする時に発生するデメリットをこのマイクロティルトは適切に補正する優れものパーツ。ネック面とボディ面を鉄のプレートにあるアジャストネジで結びつけ、ネックとボディの音の伝達をタイトにし、素早く目的の弦高にアジャストできる。ネックがずれるとか強度に問題があるとかは間違ったセッティングのものにいえることだ。さすがレオ!ボディとネックをネジで止めて角度調整まで出来るとは。これでローポジションからハイまでイーブンなアクションでいける。
その後、フェンダージャパンが堂々とヘッドにフェンダーロゴを掲げてこのトーカイのコピーシリーズは終焉を迎えた。しかし、トーカイのほうがロゴが違う分、かなりのリアルさがあったがフェンダージャパンは何か甘く感じる。フェンダー本家がクレームを言ってきた程のトーカイの精度の高さは90年前後のカスタムショップを立ち上げた復活フェンダーもかなわなかった。
僕、TOKAIのストラトも持っています。
81年に買ったサンバーストの物で、定価8万だったのが「ボリュームつまみをゼロにしても音が完全には消えない」為に4万5千円でした。
ずっとアメリカボストンに住んでいますが、音楽学校のギター教師が僕のギターを見て、「オー!トーカイ!」とニッコリひと言。実は彼もトーカイを持っていたという。
しかしこの会社(ブランド)はいつ無くなったんでしょうか?
本当に偶然ですね。ギターの趣味が合うということは音楽の好みも同じでしょうね。
トーカイは今もあります。84年に一度倒産して今はいろいろな楽器ブランドの
OEM生産をしているようです。フェンダージャパンなんかも作っていますね。
しかし、80年前後のストラトのクォリティーは最高ですね。明かにその時代のフェンダー
の上をいっています。
風 様の定価8万円のものは上級バージョンです。たぶんその頃は利益追求より本家
フェンダーを超えたいという信念が強かったのでしょう。だからいまだにいいコンディション
を保てますよね。でもその数年後、倒産というある意味嘘をつかないストレートな会社だった
のでしょう。アメリカには素晴らしいトーカイのサイトも多いですよね。世界のトーカイ!
またよろしくお願い致します。
コメントありがとうございます。
70年代のカレントストラトなら本家よりいいのがトーカイです。それもSS40。この価格でこのクォリティ。フェンダーのC/Sのコストパフォーマンスの低さが目に付きますよね。トーカイワールド!盛り上がりましょう。
私も81年製のシルバースターを所有しております。が少し変わっていましてプレートに穴が開いているだけで内部にはマイクロティルト機能が付いていません。ペグはロトマチックタイプでブリッジサドルはブラス製?の様な四角い塊みたいな形状です。グレードなんかお分かりになるでしょうか?
コメントありがとうございます。
プレートは3ボルトですよね。それでティルトがついていないのならレアですね。
82,3年ごろからヘッドロゴが変わったり仕様の変更が激しい時期に入るのでパーツもいろいろあったようです。ラージヘッドなら上級バージョンかもしれませんね。どちらにしても70年代コピーならNO1でしょう。それでこの価格!素晴らしいトーカイ。大事に弾き倒しましょう。
81年製と判断しました。ブリッジも何故か6点止めのうち2点でしか止められていません。ボディにビス穴が空いてないので製造時からの状態だと思います。オークション等に出品されてる低グレードと比べて仕様が違うのでそこそこの物かと思いますがよく分かりません。グレードを調べる方法はあるのでしょうか?しかし良いギターで気に入っています。ピックアップがひとつ駄目になったので先日HS-2に取替えしコンデンサをスプラグのオレンジドロップについでにハイパス用のコンデンサをボリュームポットに取り付けましたら更に化けました。いろいろ国産のオールドのストラトを使いましたが当時のナビゲーターにも勝るとも劣らない感じでかなり驚いています。
この頃のトーカイのスペックはフェンダーのようにハッキリした違いはないのでグレード判別は難しいですね。ネックのヘッドかジョイント部分に張ってあるシールが一番の判別箇所ですが現存することはまず無いでしょう。83年以降のロゴの変更、張りヘッドストックを堺にビンテージモディファイからモダンなオリジナル指向へ変化していった事実からして81年はいい時期ですね。しかし、不思議なのは6点のブリッジ仕様でネジが2本でしか止まっていないのは製造上のミスの可能性もありますね。通常の6点シンクロナイズドで2点なら機能上問題あるような気がしますが。また3ボルトでティルト無しというのも珍しいですね。
トーカイSSのグレードに関してはあまり仕様の違いはありません。たぶん、販売上
多様な価格帯を作らないと都合が悪かったと思います。ボディ、ネックはほとんど同じものを
使用し、パーツに多少の違いを設けてバリエーションを作っていたのでしょう。
この頃の電気パーツは弱いので結局交換しますからネックのコンディションとボディの重量辺りで厳選していくと意外と売れ筋だったSS-40や38などの廉価版にアタリが多くみられるのも面白いです。手をかければかけるほどいい感じになっていくのがトーカイストラトですよね。