最近のジェフベックはほとんどフラットピックを使わず指オンリーで神の領域に到達してしまった。到達していない自分はひたすらピックに拘ってたどり着いたのが金属製のピック。一番遠いところにあった材質だ。ピックは材質や形、厚さ、持ち方、弦にあてる角度で別物となる。比較的長く使用していたウルテムのティアドロップの薄めはよかったがどう弾いても同じトーン。ある意味ベッコウのように完成された音質でもあったが何かモノ足りない。セルロイド、ナイロン、デルリン、カーボン、ベッコウと試してウルテムで最終地点かと思いきやステンレス。この先まだまだ出そうだ。
この手の老舗メーカーの「PICK BOY」製の0.8mm(現在廃盤)が最初に手にしたメタルピック。イメージからすると冷たい感じを受けるが全く逆だった。誰もがティアドロップの尖ったところで弾くが丸い肩の部分で弾くのがスムースな感じだ。この丸い部分で弾くと引っ掛りが無い分ピックのヒットする角度が重要になる。あくまで弦に対して並行に弾くイメージ。そうすると音量があって張りがあり甘いメローなトーンになる。アタックの強さにこれほどダイレクトに反応するピックは今まで無かった。その代わり弦に対して角度をつけるとアタック・スクラッチノイズが出て独特な太さになる。ブライアンメイは硬貨をピックとして使っていたからあのトーンだったのも納得できる。一番上の写真が現行のPICK BOYの0.6mmステンレス。エッジ処理がいまひとつだからスクラッチノイズも出やすく薄い分軽い。多少エッジを研磨する必要があるが相手はステンレスでかなり大変だ。メタルは薄くなるほど音はシャープに、厚くなるほどマイルドで低音が増える傾向だ。また重量のあるピックは重心がピック側に来る為、シングルノートの場合、安定性が増すような気がする。
金属ピックは弦を切りやすいといわれているがそれは弾き方が悪い証拠。ピック自体に傷があって弦を引っ掛けてしまったりすることもある。加工精度の低いメタルピックなら弦を研磨して金属疲労を起こさせ切れやすくさせることもあるが、普通のコンディションなら実に滑らかで抵抗が無い。このピックを持つといいトーンのポイントを探し始めることが出来る。メタルピック一つでピッキングフォームまで考えてしまうという何かと発見が多いアイテムだ。
そんな時、楽器店で見つけた「BIG-WEST CREATION」というブランド。かなり古くから存在するようだが研磨技術が素晴らしい。写真のものはチタン素材のモノ。このブランドを調べると製造は富士産業機器(株)という金属のプレス加工の専門メーカー。チタン以外にステンレス、アルミ、ブラス、ニッケルなど様々だ。ぞれぞれ重量が違いトーンも違う。チタンは重量で言うと軽い方だが硬い。エッジ処理も滑らかでメイドインジャパンの雰囲気が色濃く出ている。これもかなりのメローなヤツ。ストラトなんかは太くなるし、ハムバッカーも埋もれず音量がタップリ出る。滑らかなエッジはアタックスクラッチノイズも少なくピッキングフォームが崩れてもいい状態を保てる。これはいい。全部の素材アイテムが欲しくなってきた。
しかし、よく考えてみるとフィンガーピックやマンドリン用なんかは昔からメタル素材を使用していた。ストラトなんて弦もフレットもブリッジも金属だからピックも金属だって問題ないはず。
パットマルティーノも以前は石のピックだったのが最近妙に気になる。金属の後は石?大変ディープだ。
コメントありがとうございます。文章表現が悪く申し訳ありません。参考になりました。