Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

Gary Moore

2011-06-21 16:26:33 | ROCK

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YouTube: Gary Moore entrevista 2009

年齢を重ねるほど渋く枯れてくるギタリストが多い中、還暦間近でも熱く早く弾きまくったゲイリーが逝った。実に悲しい。

日本で人気があるといわれているがそうだろうか。マニア向けの中では解りやすいのでそう言われたのかもしれないが、そこはやはり癖のあるアイリッシュ。アメリカンブルースロックギタリストとは湿り気と粘りが違う。

90年代に入りブルース回帰したがどうしても盛り上がってくるとハードロッキーになってしまうのがお約束でそれを聴いたり見てるギタリストはみんな恍惚の酸っぱい顔になる。最近のフィル・リノット追悼ライブの模様でも期待を裏切らない堂々たる素晴らしいプレイ。フィルと二人で還暦過ぎてアルバムを出して欲しかった。

しかし、この映像も熱い。スペインでのインタビューを受けながら弾き倒す。スカシたりせず本番同様に弾きまくるのがなんたって最高だ。ギターも最近の新しいギブソン、フェンダーばかりで音も最高。お亡くなりになったところもスペインだからさぞお気に入りの土地だったのでしょう。合掌。


How to Become Clairvoyant ロビーロバートソン

2011-05-12 02:28:22 | ROCK

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大人の男が恋焦がれるギタリスト、ロビーロバートソン。67歳にして13年ぶりのニューアルバムがこの春リリースされた。「ハウ・トゥ・ビカム・クレアヴォヤント」。

上質なロックアルバムには間違えないのだが重厚さがたまらない。楽曲、演奏、録音とどれも素晴らしい。このクリエイティブさは何だろう。ただのルーツミュージックに傾倒してしまう年齢だが熱くのアメリカの音楽全てが凝縮されて静かに流れていく感覚。大御所がしっかり脇を固め、メンバーの立ち位置がしっかりあり、全員ロビーを敬う音。男が惚れるってこういうことなのか。この歳にならないと弾けないギタートーンがここにあり。


The Band :Northern Lights - Southern Cross

2011-02-18 13:14:27 | ROCK

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久しぶりに「バンド」のアナログ盤、1975年の邦題「南十字星」を聴いたらこれまた最高。近年は多数のリマスターCDが出ているが音の分離が良過ぎたり、キンキンしてたりでやっぱり当時のアナログで聴くのが一番。

バンドというと68年のファースト「ミュージックフロムビックピンク」やセカンドの「ザバンド」が傑作として上がる。本作は70年代中盤を物語るアナログシンセと生楽器の独特な世界が繰り広げられて評価も分かれる。バンド内部の人間関係の確執もあった時期で、作品のほとんどをロビーロバートソンが手掛けそれまでの「バンド」のトーンの趣が違う。しかし、演奏は素晴らしくタイトでこの時代のアメリカンロックのレイドバックしたイメージじゃない。レボンヘルムとリックダンコのリズムセクションはマッドでキレはブラック的で後にも先にも「バンド」独自のオリジナルだ。そのタイトなファンクネスにブルーズギターとアナログシンセが不思議な調和をする。

60年代初頭からロックンロールのバックバンド、中期からボブディランのバンドとして演奏者のパワーはパッと出てきたロックバンドとはわけが違う。ディランの想像力のエッセンスとサウンドを追求する演奏者の融合具合がまたオリジナルだ。時代やアーティスト性を出さずあくまで純粋な音楽を表現に徹したプロミュージシャンの集合体。こんな良質な音楽を30歳前後に作っていたとは驚き。

本作が実質最後のオリジナルアルバムで折からのメンバー間の確執、80年代に入ってからの再結成も86年のリチャードマニュエルの自殺、99年のリックダンコの死をもって完全な活動休止。

それにしても男らしいマンダム系なジャケット。70年代の雰囲気が色濃くカッコいい。大人になって初めて良さがわかる名盤かも。10代のころは確かにわからなかった。

ザバンドといえば思い出すのが中学生の頃、JR駅地下の小さい映画館でビートルズの「レットイットビー」、ツェッペリンの「狂熱のライブ」、とザバンドの「ラストワルツ」3本立てを観にいった。昼に始まって終わったのが夜。尾骶骨の痛みが忘れられない。


ボズ スキャッグス Come On Home

2011-01-27 00:50:12 | ROCK

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1997年のブルースアルバム。ブルースといってもそこはボズ。ブルースをフォーマットにした古き良きアメリカ文化そのものだ。セールスという小さい枠の外にある巨大な黒人音楽のアーカイブス。素晴らしいの一言に尽きる傑作。

これを聴いてしまうと「AORのボズ」というのは70年代にたまたま化学変化を起こして出来てしまったようなものだ。ポップスが本当の意味でフュージョンされた70年代中期に形になったAORはROCKの市場にJAZZやボサノヴァ、カントリーのフィルターを通してファンクなリズムの匂いを施した特異なジャンルだった。そこにいち早く反応したのはソフトなアメリカンロックやジャズ系のミュージシャン。しかし、そこにはブルースのような土臭いルーツをあえて消したBGM的な無味無臭なスタイルになり「大人向け」というバブルなイメージが確立した。

その時代の第一線で活躍したボズはまた別だった。そこにはアナログ最先端のバンドサウンドの中にしっかり土臭いブルーズが存在する。そんなボズが90年代中盤にそのルーツの部分だけを形にした傑作がこの「カム・オン・ホーム」。素晴らしいバンド演奏を丸ごと捉えたライブなサウンドとミックス。ボズのブルースギターがまたタマらない。ギターソロが曲のサビ以上に盛り上がる。90年代初頭に一時ブルースブームがありクラプトンや大スターがこぞってブルースアルバムをリリースし、それの相乗効果で老舗のブルースアーティストがカムバックした。そのころのデジタルとアナログが適度にミックスした質感が完全に完成系をなした形だ。しかし、決して洗練された感じではないがポップスでもない白人のボズが作りだすオリジナルのブルースがここにある。

この傑作のキーポイントが参加ミュージシャンだ。目の前で叩かれているような素晴らしいドラム。こんなにいいドラムサウンドは久しぶりだ。そのドラマーはアメリカンドラマー国宝級のジムケルトナー。いぶし銀のタイム感とスネアサウンドはやっぱり国宝級。かたやグル―ビンなエイトビートを炸裂させているのはリッキーファター。ピンとこない人もいると思うが70年代初頭ビーチボーイズやビートルズのパロディーバンド「ラトルズ」、ボニーレイットのバックをささえてきた重鎮。この2人のドラマーとボズが主役でそれをアメリカスタジオミュージシャンの大御所たちが支える構図だ。このリッキーファターは最近だとジョンスコフィールドがミーターズのジョージ・ポーターJrやジョン・クリアリー等のニューオリンズの御大たちと作った「Piety Street」で濃厚セカンドファンクを叩きまくっていた。

内容は古典ブルースからソウルのカバーに差し込むボズのオリジナルがまたいい。

これを聴くとやっぱり「生バンドは最高!」と痛感するのとボズのアメリカンルーツミュージックに対する愛情がよくわかる一作。

夜にじっくりオーディオに向かって聴いてください。


ボズ・スキャッグス DIG

2011-01-25 13:04:12 | ROCK

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ボズ・スキャッグス2001年の「DIG」。こんな素晴らしい作品がリリースされていたとは。70年代のボスを知る者は1980年の傑作「ミドルマン」で一区切りというところだろう。これだけ芸歴の長いミュージシャンになると紆余曲折やブレイクポイントが数々ある。元々が60年代のスティーブミラーバンドのギタリストでの活動や70年代に入ってのR&Bスタイルが時代のロックフレーバーとマッチして76年に「シルクディグリース」でヒット。日本的な呼び方「AOR」の代表のような地位に躍り出た。

こういうシンガー、ギタリスト、ソングライターはどちらかというと個性やアクが強く、角ばった雰囲気があるがボズは柔らかくソフトだ。自身は曲を書いて歌うだけというスタンスを崩さず、プロデューサーやバックバンドと調和を優先するセンスは素晴らしい。その時期のバックバンドが後のTOTOになったのは承知の通り。このTOTOのスティーブルカサーやデヴィットペイチがイニシアチブをとって完成させたのが多少ハードロック的な「ミドルマン」。これ以降、ワイナリーを持ち実業家としての活動もするようになる。

90年代に入りよりルーツミュージックに傾倒した音作りになり1997年傑作ブルースアルバム 「カム・オン・ホーム」をリリース。スタンダードジャズアルバムのような年齢相応の作品を出す合間に2001年、強烈なAOR作品として発表されたのが本作「DIG」である。

全体がジャケットに象徴されるようなダークにプログラミングされたバックに緩く乗せられるヴォーカルとギター。隙間に入り込む乾いたホーン。セールスを意識しない渋い名曲揃いだ。プロデュースはデヴィットペイチと名手ダニーコーチマー。スティーブジョーダン、ルカサー、ネイザンイースト、レイパーカーJrなどの名手を散りばめ誰もが前に出過ぎない大人の仕事をしている。ボズ自身ハイトーンを使わず話すトーンでのボーカルは絶品だ。

曲の完成度、アレンジ、プレイが見事に調和し、アルバム全体で堪能する大人の職人芸という作品。

普通は「これで生演奏ならもっとシビレるのに!」と思いますがこれは打ち込みのほうがステキ!カッコ良過ぎます。