久しぶりに「バンド」のアナログ盤、1975年の邦題「南十字星」を聴いたらこれまた最高。近年は多数のリマスターCDが出ているが音の分離が良過ぎたり、キンキンしてたりでやっぱり当時のアナログで聴くのが一番。
バンドというと68年のファースト「ミュージックフロムビックピンク」やセカンドの「ザバンド」が傑作として上がる。本作は70年代中盤を物語るアナログシンセと生楽器の独特な世界が繰り広げられて評価も分かれる。バンド内部の人間関係の確執もあった時期で、作品のほとんどをロビーロバートソンが手掛けそれまでの「バンド」のトーンの趣が違う。しかし、演奏は素晴らしくタイトでこの時代のアメリカンロックのレイドバックしたイメージじゃない。レボンヘルムとリックダンコのリズムセクションはマッドでキレはブラック的で後にも先にも「バンド」独自のオリジナルだ。そのタイトなファンクネスにブルーズギターとアナログシンセが不思議な調和をする。
60年代初頭からロックンロールのバックバンド、中期からボブディランのバンドとして演奏者のパワーはパッと出てきたロックバンドとはわけが違う。ディランの想像力のエッセンスとサウンドを追求する演奏者の融合具合がまたオリジナルだ。時代やアーティスト性を出さずあくまで純粋な音楽を表現に徹したプロミュージシャンの集合体。こんな良質な音楽を30歳前後に作っていたとは驚き。
本作が実質最後のオリジナルアルバムで折からのメンバー間の確執、80年代に入ってからの再結成も86年のリチャードマニュエルの自殺、99年のリックダンコの死をもって完全な活動休止。
それにしても男らしいマンダム系なジャケット。70年代の雰囲気が色濃くカッコいい。大人になって初めて良さがわかる名盤かも。10代のころは確かにわからなかった。
ザバンドといえば思い出すのが中学生の頃、JR駅地下の小さい映画館でビートルズの「レットイットビー」、ツェッペリンの「狂熱のライブ」、とザバンドの「ラストワルツ」3本立てを観にいった。昼に始まって終わったのが夜。尾骶骨の痛みが忘れられない。
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