今月のいろいろのページで、4月あたま生まれはホットな人が多い、少なくともわたしはビンビン心の琴線に響く人たちの誕生日が続く、なんて思ってましたが、ほんと見事に4月生まれバンザイ!です。
1日はラフマニノフ、4日はヴラディミール・ユロフスキ、5日はカラヤン、そしてもうしつこいかと思って載せなかったのですが、8日は永遠のハンサム・テナーの神のようなフランコ・コレッリのお誕生日でした。
そして今日12日、わたしは「心の妖精」と勝手に思っているカバリエが80歳になりました。お祝いとしては傘寿(さんじゅ)、と言うそうですね。こうなったらもう、ざっとYoutubeあさり、でお祝いいたしますよ。
まずはお誕生日つながりで、コレッリとのアンドレア・シェニエの最終幕の二重唱(Vicino a te s'acqueta l'irrequieta anima mia)
1968年ニューヨーク、その時はまだフィルハーモニック・ホールと呼ばれていたエイヴリー・フィッシャー・ホールでのコンサート。マーティン・ルーサー・キング牧師暗殺の3日後だったので追悼コンサートになったようです。しかしこんな歌唱が理想的に美男美女というカップルも凄い。歌唱が終わってすぐに気違いのように歓声を上げるファンの女性が凄いです。自分じゃあ死んでもそんなことはやりませんが、こんなのを目の前で聴いていたらそりゃあそうする気持ちは分からなくはないです。
そして喝采つながりで、拍手があまりに長いので役からブレイクして挨拶をするカバリエとフィオレンツァ・コッソット。ノルマから、修羅場になる前の美しい二重唱O rimembranza。
カバリエはほんと性格が良さそうで、コッソットのこともわたしのいもうと、なんて言ってたのを見たことありますけれど、わたしは二人とも大好きなので、ここではちょっとけつまづいたり録音のせいか聞苦しいところもありますけれど、これも見つけたときは嬉しかったです。
そしてノルマといえば、オランジュ版、これは強風で画質も音質も悪くて全幕見るのは苦労しますが、Casta diva、この場面はこれは巫女としてかなり理想的に不思議な神秘的な魅力があって、歌唱もたたずまいもまぁ神々しくもこの世のものではないような美しさ、うっとりします。
Caballé - Casta diva (Norma,) Théâtre Antique d'Orange, 1974
この世のものではないつながりで、こちらはサロメの最終場面、まぁこれもなんと美しい、陶酔に浸る美少女のこの世とも思われないような図、こんな素晴らしいのはありうるんでしょうか!!! まぁ確かに音だけ聴いているのですけれど、それにもかかわらず、こんな場面、見ちゃいけない、立ち会っちゃいけない、と思ってしまうくらいあやしい禁断の美に溢れた歌唱、ゾクゾクします。
この世のものではないというかもうこの世にはいない、つながりで、クィーンのフレディ・マーキュリーとのコラボレーションもありましたね。日本語の歌詞も美しいLa Japonaiseでは、今計ったら15秒もの必殺トリルも聴かせてくれてたのでした。
最後は思い出の日本公演で締めましょう。わたしはカバリエ、コッソット(、カレーラス)で知ることがなかったら恐らく一生好き嫌いして、嫌いグループに入れていただろうアドリアーナ・ルクヴルールのわたしは卑しいしもべ。カバリエ特有の、一音で微かなピアニッシモからフォルテに滑らかに美しく伸びてく、これはppからffでまたppに戻るという1サイクルやるとメッサ・ディ・ヴォーチェと呼ばれる技術だと思いますけれど、素晴らしいです。
先日7日にお亡くなりになったピエロ・デ・パルマも僧院長で出演していて、最後にちらっと声が聴こえていると思います。
Caballé - Io son l'umile ancela (Adriana Lecouvreur,) Tokyo, 1976
私もカバリエを愛する一人。ただ一回しか実演には接したことがありません。ウィーン国立歌劇場の来日公演の『ランスへの旅』(アッバードの指揮)。声は盛りを過ぎていましたが、とてもチャーミングなパフォーマンスでした。ウィーンでの公演の映像が残っているので、正規に発売してほしいなあ。
年長の知人がイタリア歌劇団の『アドリアーナ』の実演を見ていて、ことあるごとにその素晴らしさを聞かされ、いつも歯ぎしりしております。この時の上演はアメリカでは何年か前にDVD化されましたが(手元にあります)、日本ではまだ。なにか問題があるのでしょうかね。
オランジュの『ノルマ』はカバリエの一世一代の名演でしょうね。これを見たマリア・カラスは、撮影した監督に「美しく撮りすぎだ」と言って、嫉妬をしたらしいですよ。
私は一度だけコンサートを聴きました。足を悪くしていて松葉杖が痛々しかったのですが、「絹糸のような」といわれる絶品のピアニッシモが堪能できたのと、アンコールでサルスエラを歌うときはめちゃ楽しそう(笑)だったのが忘れられません。
>名古屋のおやじさん
NHKイタリア歌劇団のDVD、ぽつぽつと販売されていたのに途中までで止まってしまったままですね。何かもめることでもあるのでしょうか。
アメリカのは…私が見かけたのと同じだとすると、あそこのレーベルは○○盤が混ざっているそうですので。正規盤出して欲しいです~。
ご忠告ありがとうございます。おそらくD大先生の関連で、気づかれたのでしょう。Kinoxさんにとっても、おそらく大切な思い出の公演でしょうしね。
あのアメリカのレーベルには日本で未発売のイタリア歌劇団のDVDがかなりありますよね(じつはほとんど購入してしまいました)。DVDは国別の契約もあるので、そんなライセンス契約の一つなのかなあなどと思っていました。
さきほど、フェニーチェの『オテロ』を観てきました。妙な言い方ですが、輝かしく、フレージングにも気を配りつつ見事に「歌われた」タイトルロールに大変好感をもちました。チョン・ミュン・フンの指揮もここ数か月でいくつか聴いたヴェルディのオペラのなかでは最も優れたものだと思いました。
わたしは好き好きと言いつつも、カラヤンも生は普門館の一度だけです。しかしそれが強烈な喜びだったのと同じく、あの時のイタリア歌劇公演はもう・・・ まぁわたしはたまたま連れて行ってもらえた、という感じなので、豚に真珠的なものがあるのですけれど、ほんと強烈な記憶です。
あの頃人気キャスターだった「ちょっとキザ」な磯村さんが、シモンの時、途中まで前方座席にいらっしゃって、TV画面では想像もつかなかったけれど(その時たまたまそうだったか分かりませんが)、頭のうしろは髪がぐるんと大きい渦を巻いていて、あんなのは変わってるなぁ、と思ったとか、ふふ、オペラとは関係ない細かいことまでよく覚えてます。
ルクヴルールの面々、カヴ&パグのドミンゴ、シモン・ボッカネグラのカップッチッリ、ギャウロフ、そして近年はちょっと残念なクリップも出てきているけれど今でもわたしにとっては理想的なアメリアだったリッチャレッリ、もう子供心にも凄く素敵で、素晴らしくって、みんな別格扱いで大好きです。そしてシモンはヴェルディ作品でも特別な思いがあります。その数年前のメトの来日公演の時は椿姫だけでボエームは見てませんが、隅から隅まで読んだプログラムで、名前と顔だけは知っていたドミンゴ、まぁ声も姿も強烈に魅力的なものですからすっかり夢中、一方母はカレーラス好きですが、あれもこれがきっかけだったのでは。
見た後もNHKのラジオ放送をカセットに録音してもらってあの頃何度も何度も聴くことができたし、そしてNHKは、TVでもまた、何度も再放送をしてくれて(新聞の番組欄で発見する時はほんとうれしかった!)、何度もうっとり楽しませてくれたのでした。
そういえばNHKは、事前に対訳リブレットも出してくれてて、しかも同作品の海外公演なんかも事前にラジオ放送してくれたのだと思います。あの頃は字幕などなかった時代で、わたし自身は漢字は正確に読めてたのかどうかあやしいし、ちっちゃいゥとかッが沢山なカタカナでさえも、音を聞くまでどう読んだらいいか分かんなかったりしましたが、苦労しつつ準備勉強したのでした。それにしてもNHKは観客の予習・復習も至れり尽くせりでカヴァーしてくれたのだな、と思うと、ほんとありがたい放送局だったです。こちらでもあの回の日本公演の映像は日本語の字幕が消せないのは難だけどとてもよかった、という人に会ったことがありますが、NHKは素晴らしい公演をきちんと映像で残してくれた功績も偉いぞ!(あの頃にしては録音技術も比較的良いのではないかしら)。なので、本家本元の日本では正規版が出ていないのなら残念なことです。アメリカはNHKの著作範囲外なのかな、それで○○盤も出せたのでしょうか・・・
> オランジュの『ノルマ』はカバリエの一世一代の名演
> これを見たマリア・カラスは、撮影した監督に「美しく撮りすぎだ」と言って、嫉妬
まぁそうなのですか!面白いエピソードですね。前に見たインタビューで、カバリエはカラスをお姉さんみたいに慕っていた、という感じで喋っていて、ゼッフィレッリのトスカの演出で苦労している時に相談したら、「そりゃああなただとわたしと同じ動きじゃだめでしょう」とすぐにマリアはゼッフィレッリに掛け合ってくれたの、なんてかわいらしいことを言ってました。
まぁしかし先輩として助け舟は出してあげても、歌手としてはカラスはノルマは特に「わたしが第一人者だ」という思いがあったのでしょうか、面白いです。
カラスは一度も生で聞いたことはありませんが、TVでリサイタルは見てた記憶、亡くなったのを朝のニュースで知った記憶はあります。学校で友だちに「マリア・カラスしんだね」と言ったら、「え、森のからす?」なんて言われてしまって、こりゃあちょっとあたしには説明できないかも、「せんせー」と助けを求めました。カラスは本当に素敵な人で、真っ黒なドレスで登場したのを途中でぱっとあけたら中は真っ赤なドレスなのよ、なんてことを、その時に先生が言ってたように思います。
カラスが大スターだったということ以上に、今はもう時代が違うというかオペラ界が文化的にも多くの選択肢の一つに過ぎなくなっているので、亡くなったら特にオペラ好きでもない小学校の先生でも何かしらの思い出があるプリマなんてのは、今ではそうそういないような気がします・・・
なるほど、だから傘なのですね、いつも勉強になります、みやびさま!
> アンコールでサルスエラを歌うときはめちゃ楽しそう
前にみやびさまに教えていただいたドミンゴとのデュエットでは、途中でドミンゴがあんまり見事なので、嬉しくなってはしゃいでしまって、ドミンゴがどうどう、という感じでカバリエの興奮を抑えていたのもかわいらしかったですね。
(これの一分になるすこし前 http://youtu.be/UuUYyyzuhhI)
名古屋のおやじさまが仰ったランスへの旅のアンコールでは、ライモンディとも楽しそう!(これはけやきさまが上げてくださったのかな)http://youtu.be/9utm3pVFJsw
今回こんなドキュメンタリーのDVDの宣伝も見つけてしまって、思わず買い物かごに入れてしまいました!
http://youtu.be/-t7UmHSBw7M
「音楽は魔法、突然血液中を駆け巡るようなビタミンというか、うわっととらわれる感じがする。説明するのはむずかしいし、モンセラは一体なに言ってんだ?!! と人には言われてしまうかな。わたしは音楽を「飲む」のは人生で一番素敵なことだと思う」なんてことを言っているのも、まぁほんとこの人はいいわぁ、同時代にいてくれてわたしたちはほんと幸運だなぁ、と思います。
ま、どうでも良いことではありますが。
↑もしかして、これですか?
これはD大・先生ではなくD・大先生ですよん♪
(ですよね?名古屋のおやじさん♪)
混乱の原因を作り、申し訳ありません。
〇〇盤とのことで、中途半端なことをしてしまいました。
本来の意図は、みやびさんのご指摘の通りであります。