(品川小学校の校門です)
「日米友好通商航海条約」第8条第3項では、次のように、公益事業活動について、相互に、内国民待遇及び最恵国待遇を与えると規定している。
第8条
3 いずれの一方の締約国の国民及び会社も、他方の締約国の領域内で学術、教育、宗教及び慈善の活動を行うことに関して、内国民待遇及び最恵国待遇を与えられ、且つ、その活動を行うため当該他方の締約国の法令に基づいて団体を組織する権利を与えられる。
従って、この条項からすれば、アメリカの国民及び会社は、日本民法34条(公益法人の設立)の「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる」とする規定に基づいて、日本国内で公益法人を設立することに関して、日本人と同じ待遇を受け、主務官庁の許可の可否について、アメリカ人だからという理由だけで差別されることはないことになる。
しかし、これらの営利及び非営利の事業活動について、内国民待遇(非営利の場合には、さらに最恵国待遇も)を与えることについて、同条約第7条第2項で、次のように、制限が可能であると規定している。
第7条
2 各締約国は、外国人が、その締約国の領域内で公益事業を行う企業若しくは造船、航空運送、水上運送、銀行業務(預金業務又は信託業務に限る。)若しくは土地その他の天然資源の開発を行う企業を設立し、当該企業における利益を取得し、又は当該企業を営むことができる限度を定める権利を留保する。但し、いずれか一方の締約国が、その領域内でそれらの事業を営むことに関して外国人に内国民待遇を与える限度について新たに行う制限は、その実施の際その領域内でそれらの事業を行っており、且つ、他方の締約国の国民又は会社が所有し、又は支配している企業に対しては、適用しない。更に、いずれの一方の締約国も、他方の締約国の運送事業、通信事業又は銀行業を営む会社に対し、その会社が行うことを許される本質的に国際的な業務に必要な機能を営むための支店及び代理店を維持する権利を否認してはならない。
よって、造船、航空運送、水上運送、銀行業務(預金業務又は信託業務に限る。)若しくは土地その他の天然資源の開発を行う企業についてだけは(別にさらに業種を追加する特別な条約がある場合は、それらの業種も)、例えば、外国人はそれらの事業を営む株式会社の利益(「株式」?)の20%以上を取得できないといったような限度を定めることが許され、また、公益事業を行う企業についても、同様なしかるべき限度を定めることが許されるわけである。
いずれにしても、上記の条文中の「....当該企業における利益を取得し、」という箇所は、「....当該企業における持分を取得し、」の誤訳ではないかと思われるが、各位のご教示を承りたい。