(第1部)
J.S バッハ(ワッツ編) コラール前奏曲「主イエスキリスト、われ汝を呼ぶ」BWV639
J.S バッハ(ブゾーニ編) コラール前奏曲「汝にこそ喜びあり」BWV615
モーツァルト ロンドニ長調K.485
モーツァルト ロンドイ短調K.511
シューベルト 3つの小品(遺作)D.946
(第2部)
ベリオ 水のクラヴィーア
リスト 悲しみのゴンドラ(第2版)
リスト 夜想曲「眠れぬ夜、問いと答え」
ショパン 夜想曲 嬰ハ短調 op27-1
ショパン 夜想曲 ハ短調 op48-1
ラヴェル 「鏡」より悲しい鳥たち
ドビュッシー 舞曲(スティリー風のタランテラ)
(アンコール)
ショパン 12の練習曲第7番 op25-7
ショパン 12の練習曲第1番 変イ長調「牧童」op25-1
演奏:アンドレ・ワッツ
2007年6月9日(土)14時開演 ザ・シンフォニーホール(大阪)
たまには近藤さん以外のピアニストも聴いてみたい、といつも思ってはいるものの、ピアニストは星の数ほどもおり・・・いったい誰のを聴きにいったらいいのかわからないのです。
それに私のように休みが不規則な仕事をしている者にとりましては、行こうと思えば特別に休暇をとったりしなければならず、また、「良いかどうかわからないもの」にお金を払うのももったいない・・・
でも他の人のも聴いてみたい!とは常に思っているのです・・・いったいどうしたらよいでしょう?
なので今回のように「一緒に行こう」と誰かが誘ってくれるとうれしいのです。
誘ってくださったのはたかこ姫さんでーす。
去年の秋以来の再会でした
当日の天気は雨、との予報でした。午前中に強い雨が降ったりしましたが、午後からはなんとか持ち直し、傘は結局使いませんでした。やはり日頃の行いのよさが出ましたね・・・
大阪駅まで姫さまをお迎えにあがり(「お迎えにあがる」と言いつつ遅刻したアタイ
、おまけに待ち合わせ場所を勘違いしてさらに遅刻
)、泊まりで来てもらうことになっていたのでとりあえず荷物を置きに我が家へと。
そして恐怖、アタイの手料理をふるまう(カレー・ほんとにカレーだけ。サラダすらなし
・数を増やすとボロの数も増えそうなので
)。
一方、姫さまからはおいしいものをたくさんいただいた。ますのすし、イカスミつきのさきいか、かまぼこのアソート、昆布、イカの黒造り等々。
どれもこれもおいしいものばかりです!
そしてホールへと。
シンフォニーホールは関西一、いや日本一といっても良いくらい、私にとっては「素敵」なホールです。
前置きが長くなりましたが、アンドレ・ワッツさんはお父さんはアメリカ人(黒人)、お母さんはハンガリー人だそうです。アメリカ人のピアノって華やかそうだし楽しみだなーと思っていました。
第1部はバッハ・モーツァルト・シューベルト。なかなかシブい選曲。
バッハは暗いというイメージが私にはありますが、やはりアメリカ人の血がそうさせるのか、しんみりした中にも強さというか主義主張のある骨太な演奏で、バッハもなかなか良いかもなぁと思わせてくれました。
でもモーツァルトはやっぱり私は苦手。モーツァルトを聴くと頭がよくなるとかいろいろ言われているので本当はちゃんと聴きたいのですが、いつも睡魔に勝てません・・・もったいなかったです。
気がつくとモーツァルトが終わり、シューベルトの演奏になっていましたが、睡魔を引きずったまま。あぁワッツさん、モーツァルトは最後に弾いてほしかった
後半は短めの曲がたくさんで、これは聴き応えありました!初めて聴く曲もたくさんありましたが、退屈な曲はひとつもなかったです。
中でもやっぱり一番印象的だったのはショパンの「夜想曲ハ短調op48-1」(ノクターン13番)でした。その理由はまぁ、この曲を今自分が練習しているからなんですが。最初の静かな部分からワッツさんは大きな音で弾いてたので「初めからこんなにでかい音で弾いちゃったら・・・後半どうするん?」と思いましたが、やはり後半の盛り上がり方は強烈でした。とても真似できません!60歳過ぎた人が弾いているとは思えないほど、激情的な13番でした。
この曲は「寂しく切なく美しく感傷的に」というイメージがありましたが、寂しく切なくしなくても、思いっきり弾いてもいいんだ、みたいな。思い切り弾いてもちゃんと哀愁は漂っていました。しかもただ「寂しい感じ」なのではなく、人間味というか、どこか温かみのある感じがまたよかったです。
今自分が練習していることもあり、CDで3人ほどの演奏家の13番を聴き比べしていますが、ワッツさんの演奏はこの3人のどれにも似ていない豪快な演奏で、でも素敵で。目の覚めるような思いがしました。そして改めて「この曲はやっぱり難しいんだ」ということを思い知らされたのでした。
演奏者によってこれほど違いの出る曲っていうのも珍しいんじゃないでしょうか。恐ろしい曲です。
リストはやはりワッツさん自身が得意としていることもあり、どっしりと安定感があって、「リストの音色に包まれている」という感じでした。リストの曲はいかにも難しそうに聴こえるので(実際難しいんだろうけれど)、ゆったりとした気持ちでリストを聴くということは私はあまりないのですが、今回の演奏はすっかり安心してくつろぎながら聴いてました。もっと聴きたかったなぁ、リスト。
最後は印象派のラヴェルとドビュッシーでしたが、ドビュッシーの「舞曲」、初めて聴きましたけどこれ良かったです。私にとって今回の1位はコレでした。ドビュッシー独特のフワフワな感じもありつつ、時折匂ってくるなんともいえない色っぽい感じ。ドキドキしましたネ
今回のプログラムは全体的に静かな曲が多く、明るく軽やかな曲は全然なかったような気がします。
今まで若い人の演奏ばかり聴いていたので、今回のような円熟系コンサートはかえって刺激的でした。年をとればそれだけのものが滲みでるものなのですね。
楽屋口でサイン会がありました。せっかくなのでCDを買い、並びました。
ワッツさん、小顔でした!そしてとってもにこやか。写真撮影にも笑顔&ちゃんとカメラを見てくださってました。私はカメラ持ってなかったので写真は撮りませんでしたが、サインをしてもらったあとに握手をしてもらいました。だってワッツさんの方から手を差し出してくださったのですもの!ビックリしました!!
ひとりひとりに握手、そしてサンキューと言葉をかけてらっしゃいました。巨匠と言われるレベルにいる人なのにとても謙虚で、サービスも手抜きがなく。人間的にも魅力あふれる演奏家さんでした。だからこそ何年経っても「彼の演奏を聴きたい」という人が絶えないのでしょう。
並んでいると大きなトラックがやってきました。今回のピアノ(ヤマハ)は持ち込みのようでした。ワッツさん自身が選ばれたピアノで、浜松のヤマハから持ってきたそうです。で、近々東京で公演があるので、一旦浜松に持ち帰って再び東京に持っていくそうです。
とても充実した、いい1日でした。ありがとうたかこ姫さん
そして帰宅し、姫さまとふたりでピアノを弾きあいしたり、楽譜を見せてもらったり、CDを聴いたりして過ごしました。
夜は近所の焼き鳥屋で飲み会~
と、ここまではよかったですが、家でワインを開けたのが間違いでございまして。とはいってもそんなに呑んだつもりはないのですが、夜の記憶が非常に曖昧でございます。
あとでダンナに聞きましたら「かーちゃん、ワイン飲みながらクラッカーをボリボリ食べまくり、クズをこぼしまくり」だったそうです。そしてトイレを開けっ放しで用を足していたところを姫さまに目撃され←これははっきり記憶にあり。
そしてダンナは夜中の3時にバタバタと釣りに出かけ。
「まったく、なんちゅー家や
と思われたで。もう来てくれへんかもよ」
と、ダンナに言われる始末でございました。すんません。。。
唯一まともだったのは寅次郎くんでした。あの人見知りがちゃんと部屋から出てきて「にゃん」と挨拶しておりました。意外
姫さま、ありがとうございました!&申し訳ございませんでした。これに懲りずにまた遊びにいらしてくださいね。
これから来てくださる予定の方も、もしあっこがお見苦しいところを披露いたしましても大目に見てやってくださいまし
しかし・・・飲んだといっても焼き鳥屋で中ジョッキ2杯と家でふたりでワイン1本弱なんですけど・・・こんな程度で酔っ払うなんてあり得ん。
きっと「素敵な演奏」と楽しい夜が私を酔わせたに違いありません