博単者[HAKATANMON]

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大阪ダブル選 中身濃い都市論争に期待

2011-10-30 17:51:14 | Weblog
 いまから約400年前、現在の大阪を舞台に繰り広げられた「大坂冬の陣、夏の陣」といえば、徳川家が豊臣家を滅ぼした一大決戦として知られる。戦いに勝った徳川家は、その後、約250年続いた江戸幕府を盤石なものにした。

 その大阪で、今度は「大阪秋の陣」といわれる選挙が来月27日に行われる。大阪市長選と、大阪府の橋下徹知事の辞職に伴う府知事選とのダブル選である。

 府と政令市を再編する「大阪都構想」を打ち出す橋下氏は、31日付で知事を辞職し、市長選へくら替え出馬する。

 一方、再選を目指す平松邦夫市長は市の存続を主張して激しく対立している。

 選挙結果は大都市のみならず、今後の地方自治のあり方にも大きな影響を与える可能性がある。府知事選と合わせて、中身の濃い論戦を期待したい。

 橋下知事が主張する都構想は、東京都をモデルに大阪府と政令市の大阪、堺両市を「大阪都」に統廃合するものだ。

 現在、人口約260万人の大阪市と約80万人の堺市を解体し、30万人単位の「特別自治区」を設ける。公選の区長や区議を置き、社会福祉施設の設置認可など中核市並みの権限をもたせる。一方、新たにつくる大阪都にはインフラ整備など広域行政の権限や財源を集中させる。

 構想の背景にあるのは、企業の本社機能が次々と東京へ移転するなど地盤沈下が著しい大阪の現状に対する危機感だ。

 経済活動の「東京一極集中」の影響が大きいことは言うまでもないが、大阪特有の問題を指摘する声も少なくない。

 その最たるものが、府と市による「二重行政」の弊害だろう。大阪市の行政規模が巨大なこともあり、大阪府との意思疎通が十分できないともいわれている。住民らが「府市合わせ(不幸せ)」な関係と嘆くゆえんでもある。

 これに対し、平松市長は「都構想は地方分権の時代に逆行する」と反発し、政令市の権限を府並みに拡大する「特別自治市」の実現を目標に掲げる。これは全国19政令市の市長会も今年7月、導入を提言している。ただ、都構想にしても特別自治市にしても、言葉ばかりが先行している感は否めない。選挙を通して具体的な姿を住民に示すべきだろう。

 大都市の将来像を描くことは、九州でも重要な課題だ。とりわけ北九州、福岡両政令市を抱える福岡県や、来年4月に熊本市が政令市となる熊本県にとっては正面から取り組むべき課題でもある。議論の行方を注視する必要がある。

 さらに、橋下氏が代表を務める地域政党「大阪維新の会」が府議会などに提出した「教育基本条例案」と「職員基本条例案」の是非も争点になろう。政治が教育への関与を強めるなど、強権的内容が議論を呼んでいる。橋下氏流の強引な政治手法に対する批判も少なくない。

 有権者がどのような判断を下すのか。大都市のあるべき姿を有権者に直接問う「大阪秋の陣」に注目したい。

=2011/10/30付 西日本新聞朝刊=

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